1-4の日常
ワイワイと賑やかな放課後の教室。部活の準備を始める者ががいれば、これからの予定を話し合うものもいる。そんな賑やかな教室の片隅、一際騒がしい集団を発見した。
これはある学校の1-4組の一際目立つ馬鹿集団に密着したものである。(※この物語はフィクションであり、実在する人物とは全く関係がありません。)
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「ねぇ、あかり。」
きっちりと制服を着こなして、校則に基づいた黒髪、淡いメイクはしているものの純情そうな美少女の雰囲気を醸し出す女の子が声を上げた。
彼女は、相坂 真里奈。一見大人しそうに見える彼女は、何故か自分の机の中を一心不乱に引っ掻き回している。
「…ん?ってか、何やってんのアンタ…」
彼女の声に反応した金髪で濃過ぎるほどのメイクを顔に纏う子が携帯電話から顔を上げると、ギョッとした声を上げながら不審そうに真里奈を見つめる。
所謂ギャルの様な短いスカート、濃いメイク、金髪と整った顔というお約束の格好をする彼女は、安達 あかり(あだち あかり)。呆れた声をこぼしながら真里奈の奇行を観察する姿は、ガンを付けてるように見えなくもない。
「今日こそはラブレター入ってないかなーって。ほら、私見た目も中身もギャップ萌えってやつだと思うしさ?ラブレターの1枚くらい…って思ったんだけど、無かったわ…。」
一見純情そうな真里奈が肩を落として、ぐちゃぐちゃになった机の中の整理を始める。なんでだよー…と声を零す様子に周りは苦笑。そう、彼女は清純勘違い系チャラ子だったのだ!
「真里奈ちゃん、俺って男がいながら酷くねェ!?」
「そういう台詞って純粋に気持ち悪いわー…」
という声を掛けながら近付く二人の男の子。坂本優樹と渡弘忠だ。猫なで声で真里奈に近付くのは坂本 優樹。爽やかな雰囲気の茶髪、甘いマスク。近くにいる女の子はとりあえず口説く、がモットーの彼の最近の標的はどうやら真里奈のようである。
その後ろを関わりたくなさそうな顔全面に出しながら近寄るのは渡 弘忠。黒髪、黒縁メガネのモブ顔感溢れる見た目。やれやれ系のアニメ主人公もびっくりのヤレヤレ顔をすれば、俺に関係ないしそろそろ、帰りたいなー…という表情のまま女子2人に近付く。
「坂本くんはちょっとねぇ…うん。ごめん、付き合うとか考えられなくて…うん。」近寄る坂本に向けて、真里奈は主に下腹部あたりに視線向けながらいつもどおりの断り文句を続ける。
「いい加減そろそろ諦めたらー?」凄み利かすような視線を坂本に向けつつ、鼻で笑いながらばっかじゃないの、とでも言いたげなあかりも同じ様に冷たい言葉を坂本に投げ掛ける。
落ち込む坂本を放置したまま、真里奈は渡弘忠の元へと近づき、おもむろに腕を絡めて坂本に向き直れば、「渡くんだってきっと…私のこと好きなんだと、思うから…。」とわざとらしく胸を抑えながら声を上げた。
「いやいやいやいや!おかしいでしょ!俺別にあんたのことどーも思ってねーから。」普段冷静と評判の渡も動揺を隠しきれないようで、慌てて絡んだ腕を振り払って声を荒らげる。
「いやよいやよも、好きのうちって言葉知ってる?渡きゅんっ。」真里奈は外された腕を名残惜しげに抑えたままウインクを彼に飛ばすのだった。