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極東の赤黒い死神姉弟  作者: 馳多 煌
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登場人物紹介

和月夜やまとつきや・・・この物語の主人公。『極東の赤黒い死神姉弟エステ・ラ・ムエルテ』の1人。神融合異能士ディオスフュージョンソリタリオ。日本軍異能士特別作戦郡郡長補佐。

大和日陽里やまとひより・・・月夜の姉。『極東の赤黒い死神姉弟』の1人。面倒見がよく、礼儀正しい。神融合異能士。日本軍異能士特別作戦郡郡長。

大和海琉まとかいり・・・月夜の弟。『極東の赤黒い死神姉弟』の1人。真の天才で不良グループのリーダー。神融合異能士。日本軍異能士特別作戦郡郡長補佐。

細谷大嗣ほそやたいし・・・日本異能士育成駒沢高校の生徒指導の先生であり、日本軍異能士部隊参謀。『式覗眼しきみがん』の異名を持つ。

孫英剛ソンヨンガン・・・北朝鮮海軍統帥。『爆烈火焔ポクバル・プルコ』と言う能力を使う。

金鎧石キムカイシー・・・北朝鮮海軍副統帥。神融合異能士。

2045年4月17日午前10時27分


「副統帥、前線が維持出来なくなりつつあります。如何なさいますか?」


北朝鮮軍の本陣である、隠岐島の北部の沖にある航空母艦『强朝チェガン』の司令官室に北朝鮮海軍副統帥の証である金の大山蓮華を模したバッチの付いた軍服を着て、金鎧石キムカイシーは居た。伝達兵から伝達を聞いて少し思考した後、決断する。


「俺が出る。日本の秘密兵器とやらを見せてもらうとするか。伝令

、負傷兵が居るグループは撤退し、いないグループは俺達の援護に回れ。それに、冥府の王デ・ビョルワンに連絡を取れ。行け。」

「はっ!!」


伝達兵は敬礼すると踵を返して司令官室から出ていく。


出ていったのを見て、金鎧石は腰を上げた。隣にある出撃準備室に向かい、服装の乱れを直す。直し終えると、戦闘機の発着場に出て、そのまま助走をつけて岸辺へと飛び出す。距離は300m以上はあるが、軽々と岸に着地する。彼は朝鮮神話に登場する、東明聖王との神融合異能士ディオスフュージョンソリタリオである。異能を通り越す奇跡を扱う者だ。これくらいの芸当は容易いのだろう。


「さて、『極東の赤黒い死神姉弟エステ・ラ・ムエルテ』を殺して来ますかね。」


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「グハッ!!」


ドサリと音を立て、さっきまで日本人の命が宿っていた肉塊が崩れ落ちる。矢に貫かれたような傷が肉塊の急所に的確に当たっている。


「なんだ彼奴あいつは!?」

「いきなり穴が空いたぞ!?」

「なんという能力を使


最後の日本軍異能士特別作戦郡の兵士は最後まで言葉を発することが出来なかった。いきなり首に3本の矢が突き立ったように穴が開き、そこから噴き出した鮮血を撒き散らしながら死んでいった。


「この程度か日本人ジャップ共。」


金鎧石は日本人の死体を踏み越して歩んでいく。


「『極東の赤黒い死神姉弟』はどこだ?」


金鎧石は日本軍に問い掛けるが答えは返ってこない。


「まぁいいだろう。ここで虐殺でもしていれば向こうから寄ってくる筈だ。来なかったら来なかったで楽しめそうだしなぁぁぁ!」


参謀とは思えない殺意を剥き出しにして日本兵に次々と襲いかかる。


ヒュン!!


その音は金鎧石が5人の日本兵の首に穴を開けたときに訪れた。


金鎧石は飛んできた水の槍を左手で振り払う。


ガキン!! と音がなり、水があたりに飛び散る。


「意外と早かったな。死神姉弟?」

「早かったとかいわれてもこのザマだからな。」


と言って海琉は首から鮮血の水溜りをつくっている5つの死体に目をやる。月夜は少し遅かったかと奥歯を噛み締めて、確認する。


「お前が金鎧石でいいんだよな。」

「そうだが?」

「ならいい。ぶっ殺す!!」


吠えながら海琉は金鎧石へとダッシュして距離を詰める。

金鎧石は左手を前に出す。


ヒュン!!


海琉の横を見えない何かが通り過ぎる。


(なんだ?)


海琉は訝しがる。

異能力の12系統の中にはものを見えなくするというものはない筈だ。まだ発見されていない応用式があるのなら別だが。

(あの殺された5人の傷もこれにられたんだろう。見えないから、避けるのも厳しいしな。)


もう1度金鎧石は後ろにおおきくステップしながら左手を振る。

海琉は違和感・・・を感じて首を右に素早く振るが、左の頬に赤い線がはいる。

(ジャンプしながらよく狙いがつけれたな。避けなきゃ今頃死んでたぞ。)

海琉は思考を巡らせる。

(なんだあの違和感は、濃密な殺気みたいなのを感じた。よくわかんねぇな。)

右手と左手に生成した水を槍の形にして、高く飛び上がり、金鎧石の頭を狙い振り下ろす。


しかしこれも避けられる。

もう一度金鎧石は後ろへジャンプしながら左手を振る。


次は額辺りに違和感を感じて頭を少し下げる。その上を何かが通過していく。


(なるほど、この違和感の塊が照準となっていて、これに向かって飛んでくるのか。)


「ほう、これくらいは避けれるんだな。これで死んだら失望していたがな。」


次の瞬間、金鎧石の左手に150cmぐらいの洋弓が出現する。


「これからはこの『架け橋のチュモンアロー』を可視化して、正々堂々と勝負と行こうではないか。」


海琉は口端を上げてニヤリと笑う。


「オーケー、こちらも本気を出すとしようか、なっ!!」


言葉の途中で本気のダッシュ。

一気に距離を詰めて右手に生成した水を槍型に固めて突き出す。

金鎧石はヒラリと躱して、距離を取る。

弦を素早く引き絞り、放つ。


海琉は頭を振って避ける。


(矢が見えるようになって避けやすくなった。金は自分を不利にしたんじゃ無いのか? それとも、策が有るのか。)


もう一度金は弦を引き絞り、放つ。


次も避ける。


もう一度金は弦を引き絞り、放つ。


また避ける。


トス


自分の胸から何かに矢が突き刺さる音が発されたのを海琉は聞いた。


グホッ!! ゲボッ!!


海琉は口から鮮血を吐き出し、何が起こったのかを確認する。


(なんだ? 避けた筈なのに。矢を2本同時に放ったというのか? ちょっとナメていたようだな。)


「残念だな。お前はここまでの様だ。苦痛を感じさせずにあの世に送ってやる。」


金鎧石はさも勝ったかのようなことを言う。すると、


「は? 何勝ったような口聞いてんの?」


海琉の後ろから声がした。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



月夜は後ろから弟の戦いぶりを見ていた。

金鎧石はなかなかの強敵だ。あのようにの名を『架け橋の弓チュモンアロー』と言っていたので、多分、朝鮮神話に出てくる東明聖王との神融合異能士ディオスフュージョンソリタリオなのだろう。


そんなことを考えていると、1つの矢が海琉の胸板に突き立った。

(なんだ!? もしかしてこいつは2本の矢を同時に放つことができるのか?)


月夜は昔、父に無理矢理教えられた各国の神話を知識の海から引っ張り出す。


東明聖王・・・東名王とも呼ばれ、姓は高、いみな朱蒙チュモン又は衆解しゅうかい

朱蒙の意味は弓の達人という意味であると言われており、名は体を表すということはまさにこの事、東名聖王は1度に3本もの矢を同時に放つことができるほどの弓の達人といわれている。

ある日、東明が住んでいた国の王は東明の弓の腕前を恐れ、殺そうと考える。東明は南へと逃れ、掩淲水 へと至った。対岸に向け東明が弓を射ると魚や鼈が橋をつくり、東明はそれを渡り逃れることができたという。


と、こんな感じだったような。

月夜は心の中で父に礼を述べ、次なる行動に出る。


「は? 何勝ったような口聞いてんの?」


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


金鎧石は弓の先を声の主である、『極東の赤黒い死神姉弟』の長男である大和月夜に向ける。


月夜は同様することも無く続ける。


「『極東の赤黒い死神姉弟』は3人いるんだぜ? それに、たったのこれだけで海琉が負けるとでも思ったのか?」

「なっ!?」


さっきまで片膝を地面につけていた海琉が見当たらない。いきなり後ろから囁くように声をかけられた。


「もしかして、勝ったとか思ってたのか? 」


金鎧石は驚きの余り声がでない。そりゃそうだろう。海琉は胸に矢を突き刺したまま素早く移動し、平然と話しかけているから。

更に金鎧石は無意識に2、3歩後ずさる。


「それならお前は馬鹿だね。大馬鹿ものだ。あんま舐めてると、死ぬぞ?」


首筋に凍てつくような殺気を感じて飛び退く。すぐ一瞬前に金鎧石の首があった所を正確に水の槍の穂先が突き抜ける。


飛び退いてもすぐ後ろには月夜がいた。


「どれだけ凄い弓を持ってても、どれだけ凄い技術を持ってても、近づかれれば意味無いよね?」

「くっ!」


だが、金鎧石の様子が一変する。


「フッハハハハ!!フッハハハハ!!」


突然笑い出す金鎧石。


「実にいい戦いだ。神融合異能士となって戦いを純粋に楽しめたのは初めてかもしれぬ。作戦を立てるよりはるかに面白いかもしれん。だが、これは俺を異能士ソリタリオとしての枠の中にいれ込んでいる場合だ。」

「どういう事だ?」


月夜は考える。

まるで金鎧石が言ってることは、異能の力以外の力があるという事だろうか?

そんなものは聞いたことがない。共産主義・社会主義陣営は何を企んでいるのだ?


しかし、考える時間はここまでのだった。


「俺を『魔術』という、古来の枠に当てはめると言うことだ!!」


ドンッ!!


金鎧石から圧倒的な力が開放される。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



北朝鮮側の陣営から、ロシア語での会話がされている。

「なかなか上手くいきましたね。」

若いロシア人の男が、背の低い女の子と言った方が良いと思われる体型の女に話しかける。

「当たり前だ。誰が儀式を執り行ったと思っている?」

「それはもちろん、スラヴの7柱神を束ねる七頭女神セマルグル様でございます。」

「わかってるではないか。私が失敗する事など」

その後は男が引き継ぐ。

「有り得ない。」


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


ロシア語での会話が行われている時と同時刻。戦場となっている隠岐島の沢山の穴が空いているビルの屋上で派手な服装をした男が金鎧石と極東の赤黒い死神姉弟を見下ろしている。


「おー、なんか凄いことになってんじゃん?」

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