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極東の赤黒い死神姉弟  作者: 馳多 煌
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登場人物紹介


大和月夜やまとつきや・・・この物語の主人公。『極東の赤黒い死神姉弟エステ・ラ・ムエルテ』の1人。

大和日陽里やまとひより・・・月夜の姉。『極東の赤黒い死神姉弟』の1人。面倒見がよく、礼儀正しい。

大和海琉やまとかいり・・・月夜の弟。『極東の赤黒い死神姉弟』の1人。真の天才で不良グループのリーダー。

細谷大嗣ほそやたいし・・・日本異能士育成駒沢高校の生徒指導の先生であり、日本軍異能士部隊参謀。『式覗眼しきみがん』の異名を持つ。

2045年4月15日午前8時14分


ここ、日本異能士育成駒沢高校の体育館では新たな仲間を迎え入れる入学式が執り行われていた。


俺達新入生は体育館の一番前に200席並べられているパイプ椅子にこしかけて、長ったらしい校長の話や、一回にまとめろよ!! と思ってしまう来賓の方々のお話を聞き流しつつも、予兆も無く襲ってくるあくびや睡魔と闘っていた。


俺は大和月夜、今日から日本異能士育成駒沢高校に入学した。この学校は45年前に日本に伝わった異能士ソリタリオを育成する学校だ。


異能士は1999年にスペインで作られて世界に広がり、多くの国が自国の戦力増加を目指し多くの異能士を育成している。


日本も例外ではなく、今後起こりつつある第四次世界大戦の為に異能士を育成している。この学校もその為に作られた異能士育成に特化した学校なのだ。


日本異能士育成高校は全国に5個所あり、北から札幌、東京、名古屋、大阪、福岡にある。


俺が受かった学校は、東京の駒沢にある駒沢高校だ。


異能士育成高校はとても倍率が高く、駒沢高校でも合格者200人に対して受験希望者は約1000人で、倍率は5倍近くある。


俺はそんな1000人の中から選ばれた精鋭なのだ。俺の凄さがわかってもらえたかな?


それにしても話が長い。ほとんどが同じような内容なので理解しようという気力さえ湧かない。ただただ眠気に耐えながら終わりまで待っている。


最後の1人となる頃には断片的にしか記憶がなくなり、ついには意識が真っ黒に塗りつぶフェードアウトされかけた時に、睡魔との闘いの勝利宣言おわりのことばが終わった。


入学式が終わると各教室に入ってホームルームだ。新入生の列に加わり、流れに身を任せ体育館を出る。川の字になっている三つの校舎の真ん中の校舎へと続く渡り廊下を渡り、ドアを3つ挟んで右手側に階段がある。それを3階分上ると1年の教室がある。


異能士育成駒沢高校は、学力、体力、能力、能力知識の4つを総合し、その総合点が高い人から順に割り振られる。要するに、Aクラスの人達が1番優れている異能士だと言うことだ。


因みに俺はEまであるクラスの中でDクラスと入学式前に玄関前に貼り出された名簿表に書かれていた。


上ってきた階段から見て、一番奥にあるのがAクラスで、Bクラス、Cクラスと続いてるので、手前から2番目のクラスに入る。


まずは自分の席を見つけて、黒板に書いてある指示に従い、机と一体型になっている、タブレット端末を起動し、入学式前に受付でもらったIDとパスワードを打ち込み、自分専用のアカウントにログインする。


そこまで終えると後ろから肩を叩かれ、声を掛けられる。


「ログイン終わった?」


後ろを振り向くと、俺の姉である大和日陽里やまとひよりが立っていた。


「お前は終わったのか?」

「あんたより早く教室入ってたんだからとっくに終わってるよ。」

「あれ?機械系に弱くなかったっけ?」

「そんくらいはできるわよ!」


弟の俺に弄られて少し頬を膨らまして不服そうにしている日陽里は頭と能力の成績は良いのだが、体力が平均よりやや劣る。なのでDクラスに振られたんだろう。特徴としては左目の瞳が黄色い色をしている。因みに俺は右目の瞳が青い色をしている。


「で、何の用だよ?」

「海琉が上級生に怪我させたらしい。」

「入学式早々かよ…」


俺にはもう1人弟がいて、名前は大和海琉やまとかいり。Aクラスに所属している。こいつは頭脳明晰、強力な能力、アスリート並の体力、甘いルックスの4拍子揃った本物の天才だ。


裏の顔は地元の不良グループのリーダーであり、東京の不良の間では知らないものは居ないというぐらいまで有名人だ。


不良とは言っても弱者に対する嫌がらせや恐喝、虐めなどは一切しないという正義感の塊だ。ホントにできすぎだってば。


だから、大体かいりが暴力をふるうときは決まって相手から仕掛けてきたか、相手の行動が人道から外れていた時だけだ。今回もその弟にやられた上級生が何かやらかしていたんだろう。


「で、海琉は今どこに?」

「生徒指導室。あたし達は保護者が来られないからあたし達が呼ばれてんのよ。あたし達が行くのは職員室だけど。」


俺達の保護者は今、宮崎に居る。俺達の両親は俺達が生まれた頃に死んだらしい。死因はナイフ等の刃物による首の動脈が切断されたための失血死と見られている。抵抗した跡がないし、傷口が後ろにあるため、知人や顔見知りによる犯行と見られており、犯人は未だに捕まっていない。その為、俺は宮崎にいる伯父と伯母に引き取られたと言う訳だ。


俺達は、川の字に並んでいる校舎の東側の管理棟を目指す。


職員室前に着いてスライドドアの取っ手の窪みのあたりを2回軽くノックし、近くの先生に事情を伝えて入室の許可を得る。


「遅かったですね、大和さん。」

「すいません細谷先生。」


申し訳なさそうに姉が答える


この25歳位の細身の男性教師は生徒指導の先生である細谷大嗣ほそやたいしだ。


海琉の事を悪く言われたら言い返してやろうとか思って、細谷の言葉を待っていたが。


「いやー、海琉君の能力は凄いですね。」


「「は?」」


思っていた言葉と違う言葉が来たんで俺達2人は同時に気が抜けた声が出てしまった。


「いや、実に面白い。状況を説明しますと、入学式が終わってすぐ校舎裏で3年生4人が新入生1人を囲んで脅していたんですよ。そしたら海琉君が体育館から出てくるとすぐに気付いて自己加速を発動してそのままの勢いでドロップキック。食らった3年生はいきなりの背中への強い衝撃で気絶し、ほかの3人も多分振動系能力を使った衝撃波らしきものをすごい速さで三連発。いや、あんな速い能力展開時間ロードをする異能士を見たことありませんよ。」

「あははは…」


さらに細谷の話が暴走ヒートアップしていく。

この人はアレだ、自分が好きな事になると周りが見えなくなるタイプの人だ。しかも目がキラキラと輝いているようにも見える。


細谷は急に暴走を止めて真面目な顔つきに戻る。


「でもですね、いくら海琉君が優れた異能士だからと言っても怪我をさせた事は事実ですから、無罪放免という訳にはいかないんですよね。」

「俺達にどうしろと?」


「教えて欲しいんですよ、あなた達三姉弟の秘密をね。」


「ッッッ!!」


衝撃が俺のからだを突き抜けた。


何か疑われるような素振りや仕草を出したか? いや、俺はしていない。展開式不可視化プロテクトも掛けていた。それなのになぜだ?


姉もとても驚いた顔をしている。


「おっと、その表情明らかに何かを隠してますよね。なにかまずいことでも?」


さらに追い討ちをかけてくる細谷。これ以上は逃げられないと判断し、姉と目線を合わてこの三姉弟にしかなし得ない『心理読みコラソンレール』を発動し合い、話し合おうとする。


が、


「ほら、また何かやっている。」


途中で細谷の声で中断させられた。


何故だ!!


展開式不可視化プロテクトが聞いていないのか?


「私はね、えるんですよ、発動された展開式が。」


その細谷の一言ですべて理解した。周りに人が居ないことを確認して問いかける。


「あんたは『式覗眼しきみがん』なのか?」


「確かに私の目はそう呼ばれています。」


それなら俺達の秘密は全て見透かされているだろう。この日本の中で『式覗眼』の持ち主は1人だけと聞いていたから遭遇する確率は限りなく低いと思っていたが、こんなにもあっさり遭遇してしまうとは思ってもいなかった。なんとか敵に回さないようにせねばならない。しかし『式覗眼』は日本軍異能士部隊の参謀ではなかったか? こんなところで何やってるんだ?


「ああ、でも安心してください。別にあなた達の敵に回る気なんてサラサラないですから。ただ、噂に聞いて確かめたいと思っただけですし。『極東の死神姉弟エステ・ラ・ムエルテ』?」

「で、俺達3人の秘密を聞かせろと?」

「ええ、是非とも聞きたいですね。更に日本軍異能士部隊に入隊していただけるなら嬉しいですね。」


入隊のオファーまでしてくるのかよ。敵に回らないと言うなら話してもいいが、ここでは場所が悪過ぎる。


「それでは放課後、駅前の喫茶店で待ってますよ」


有難い事に細谷から話を切り上げてくれた。流石に性格の悪い黒縁眼鏡でも場所が悪いと考えたのだろう。


職員室のドアを開けて細谷が出ていく。


「では、海琉君にも伝えてきます。早く教室に戻ってくださいね。」


入学初日から大波乱の学校生活の予感しかしなかった。






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