1.5
突然だが、俺は親父が嫌いだ。嫌いの前に大が付く位、嫌いだ。
俺の親父は現在アルンド王国の王様。ソレイダ陛下だ。
街ではソレイダ陛下が即位してくれたお陰で、アルンド王国の治安が大幅に良くなったや、前よりも食に限らず金銭的にも豊かになったと街の住民は大喜び。
だが街の奴等は忘れている。親父は反逆者だ。
どんなに前王が愚王だったからといって、前王の補佐をしていた筈の親父が反逆……謀反を起こしたんだ。
そんな事をした親父が、国王に何てなって良い筈が無いだろう?
こんな事を思っている俺がオカシイのか?
それに親父は、俺に王位を継がせようとしている。
そんな謀反を起こして手に入れた王位を、俺に継がせようと言うのか?
そんな物、俺にはいらないんだよ。
「ちょっとルデルトー、さっきからぼんやりしてどうしたのう?」
俺の胸元に抱き着き、下から見上げて来るそいつに、そういえば今俺は遊びに来ていたんだと思い出した。
ベットの上で横になっていた俺の傍で、そいつは殆ど身体何て隠せていない服を着て、無駄にデカイ胸を押し付けて来る。
「あ? 別に、何でもねーよ」
「もう、だったらもっと構ってよーっ。マリつまんなーい」
頬を態とらしく膨らませたそいつの名前は、マリというらしい。
そういえば昨日もコイツだったような気がする。
殆ど覚えていないが。
「はいはい。マリちゃんは俺に何をして欲しいんだよ?」
「何でも良いのー?」
「ああ。でも、俺に出来る範囲で、だぞ?」
そいつの頭を撫でてやり俺がそう言えば、ころりと機嫌が良くなる。
俺が優しくしてやれば、女は皆こうだ。
「じゃあね~……」
そして決まってコイツ等は、
「気持ち良くして?」
身体を求めて来る。
妖艶な笑みと共に、そいつはその艶のある唇を俺の唇スレスレまで近付けて来た。
まあ、それも当たり前か。
俺がそういう店に来ているんだからさ。
「今日はどんなのをお求めで?」
「昨日よりも激しくしてぇ? あたし、ルデルトと相性が良いのかも。昨日は今まで一番気持ち良かったし」
俺の上に馬乗りになるそいつの頬に、手を添える。
頬に触れた手を後頭部に回し、そいつの顔を引き寄せる。
「そんなに俺が好き?」
「だーい好き」
引き寄せた唇に、触れるか触れないかの距離で聞いた俺に、そいつはうっとりするような表情を浮かべていた。
コイツ等は、皆俺を見ている。ルデルトという、只の俺を見ている。
そんなコイツ等を、可愛いと思う。
「俺も好きだよ」
その待ちわびる唇を、今日も俺は喰らった。
可愛いとは思う。こうやって俺に甘えて、擦り寄って来て。まあ、それが仕事だから何だろうけど。
だけど俺は、お前等なんて親父と同じ位――大嫌い何だよ。
俺は絶対に、王位なんて継がない、筈だった……。
アイツがやって来るまでは――。