未来のその先に有るモノ
西暦2126年……
人類が求めた最新技術が遂に開発された重力発生装置。重力を発生させる為に必要な電力が電卓程度で済む事も大きな話題になった。
ニュースでも連日報道され、開発者がテレビに登場しない日はない。
重力を発生させる事が出来れば反発する重力も発生させる事が可能になり、その技術を利用し、応用した商品が末端の一般販売にまで広がると、人々が販売店に押し掛け、売り切れが続出した……。
車にタイヤが不要になった。
鉄の板に張り付けるだけで車のように移動できることから、魔法の絨毯が作られた。
荷物の運搬が非常に楽になった。
浮かせて押すだけでどんなに重い物でも運べることから、運送会社の殆どが廃業に追い込まれた。
空中住宅や、海上住宅が作られた。
土地が不要になり、何処にでも家が移動可能になった事で、地震に怯える必要もなく、簡単に国境を越えられてしまい、不法入国が増えた。
それに伴って航空会社も殆どが廃業したが、必要な手続きを代行する業者として一部が残った。
シェルターに取り付け、月に行く旅行が流行った。
放射能に耐え、水や食料を持ち込めば、一週間程度を無重力で生活が可能で、地球に居ても無重力を体験でき、それによって新たなスポーツも誕生した。
常に昼間の生活をする者が現れた。
逆に夜を求める者も少数ながら存在した。
ずっと夕焼けを眺めるツアーが組まれたが、旅行会社の提供はそのまま個人で行われた。
国境の意味がなくなった。
各地でテロや戦争が発生する事を危惧した国家の首脳達政治家が各国共通の法律やルールを設け、一定の高度より低かったり、勝手に住居を着邸させた場合は不法入国になるなど、細かく定められたが、殆ど守られなくなった。
直ぐに月に逃げてしまうからだ。
重力発生装置によってもたらされたモノはとても大きく、特に惑星間移動に必要だったエネルギーがほぼ不要になり、超高速移動が可能になった。
その代償としては事故も多く、10万人に1人くらいの割合で恒星にツッコむ事故が発生した。
超高速だが、無重力での減速に問題は無く、本来は安全装置が働いて停止する筈だったのだが、何故か事故が多い。
「事故の原因の殆どが安全装置を切っての緊急用マニュアル操作によるミスで……」
メーカー側のミスではない事が強調され、通信すら無い遥か彼方にまで移動して行く者が後を絶たない。
そして、戻って来た者はいない。
一部学者が、光速を越えて移動した為にタイムワープしたのではないかという見解も示されたが、証明するにはまだ時間が足りない。
ICチップより薄くて軽い小さな物体に最高の技術が詰め込まれているが、そもそもこの技術を開発したメーカーと開発責任者は、ある日突然、空から叡智が降ってきたと語っていて、最初の頃は謙遜だとして流されていたのだが……。
「本当に分からないんですよ、その技術を持ち込んでだスタッフは行方不明ですし」
開発チームは、それと同じモノを作っただけで、実際は開発していないとまで言い出したが、その理由は不明のまま、報道では無視され続けた。
世界が無法地帯になって一週間後。
世界は消滅した。
地球だけではなく、宇宙そのものが消滅した。
ある人物による疑問を解消するための実験によって……。
彼は重力発生装置を重ねた。
発生した重力に重力を重ねれば、質量は増すと考えた。
……結果、増す事は無かったが、発生した重力によって引き寄せた重力発生装置を引き寄せる事に気が付いた。
これをプロペラのように配置し、全てを同時に作動させると……。
重力が発生し、引き寄せ続けると回転し続ける。
低コストな動作で、高エネルギーを発生させ続ける。
とんでもないこのエネルギーは増大する事を止められず、僅かに発生する自家発電機能によって数億年は稼働し続けられる。
そして、それは突然起こった。
高速回転で光速を超えるかどうか、興味を持って観察していたのだが、数秒後に彼は忽然と姿を消したのだ。
それは光の速さを越えた直後に質量が0に成り、重力を越えて無限に吸い込み始めたのだった。それは事情の地平線が目の前で発生した事を示していた。
西暦2036年……観測されたエネルギーが膨大な事を示している。
西暦2026年……ブラックホールが複数観測される。
西暦2015年……ブラックホールが初めて観測される。
西暦1919年……ブラックホールの観測を始める。
西暦不明……空の観測を記録する。
紀元前……人が生まれる。
紀元不明……
地底観測チームは地球の中心を観測することに成功した。
そこには何も無い空洞が広がっている事に驚いたが、その中心部には液体水素らしきものが存在していて、さらにその中心には、小型のなにかが在る。
まだ、それが何であるかは解っていない……。
なお、観測された地球は、今回が6度目である。
短編集
https://ncode.syosetu.com/s0374k/
一話完結
たまに思い付いたら書くような
気軽に読めます系




