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理想のヤンデレ幼馴染と過ごす幸福な毎日。それを壊しに来たのは、網タイツの催眠おじさんでした。  作者:
催眠アプリとおじさんと彼女

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第4話 NTRは許さん

翌日。俺は学校で、隙を見ては千歳の様子を窺った。

千歳はいつも通りだった。俺の隣で完璧な彼女として微笑んでいる。


「昨日、委員会はどうだった?」


「うん、本の整理が大変で……でも、悠真くんに会えない時間も頑張ったよ?」


嘘だ。 俺はその時、彼女があの「変態」と対峙しているのを見た。 千歳が俺に嘘をつくなんて、これまでの記憶にある限り一度もなかった。

……いや、そんなはずはない。千歳が自分から俺を騙すなんてありえないんだ。


「千歳は……あいつに何をされていたんだ」


昨日の二人の接触を思い出す。千歳はあの男に怯えていたのか? それとも、弱みを握られているのか? 千歳も被害者の一人に違いない。


(……そうだ。じゃなきゃ、千歳が俺に嘘をつくはずがないんだ。あいつが何か卑劣な手段で、千歳を脅して無理やり口止めしているんだ……!)


そう思わなければ、胸の奥のざわつきが収まらなかった。


放課後、俺は千歳を先に帰し、昨日の公園へと向かった。 あの男は、今日もいた。昨日と同じ、網タイツにパンティ被りという、視覚的暴力のような格好で。


俺は電柱の陰に隠れ、息を殺して男を観察した。 男は通行人の目の前で堂々と独り言を叫んだりしている。それなのに、周囲の人間は誰も気に留めない。男がスマホを操作するたび、一瞬だけ、通りすがりのサラリーマンがピクリと反応し、すぐにまた無関心に戻る様子が見えた。


(……スマホだ。あれが、周りの人間の頭をおかしくしている元凶か)


あんな異常な姿を周囲が「普通」だと思い込んでいるなら、それは常識を書き換えるような何かが起きているとしか思えない。 だが、なぜ俺にだけは、あんな気持ちの悪い格好がはっきりと見えているのか。その理由は全く分からなかったが、今はそれよりも千歳のことが先だった。


「…いくか」


俺は意を決して、男の背後に忍び寄った。 男は手に持った複数のスマホの画面を交互に叩きながら、ブツブツと呟いている。


「……あの女は催眠でもう落とした。あとは昨日のガキを捕まえるだけだ……!」


催眠。 男の口から漏れた単語は、あまりに非現実的だった。


「そのスマホで、何をしてるんだ」


俺が声をかけた瞬間、男は「ひぃっ!」と短い悲鳴を上げて飛び上がった。

振り返ったパンティ越しの目が、驚愕に染まる。


「お、お前……昨日の! 」


「……お前、千歳に何をした。正直に言え!」


俺は一歩踏み出し、男の胸倉を掴もうと手を伸ばした。 千歳を救い出す。その一心で、俺の体は恐怖よりも先に動いていた。


「くるな! くるなよ……ッ! 【命令:膝をつけ】! 【俺を神だと思え】!!」


男が絶叫し、手に持ったスマホを俺に向けた。 画面から不可視の圧力が放たれた気がした。


だが――。


「く、クソ……やっぱり効かないか」


俺の体には、何の異変も起きなかった。 膝が震えることも、意識が遠のくこともない。 ただ、目の前でパンティを被ったおじさんが、必死の形相でスマホを突き出しているという、ひどく滑稽な現実があるだけだ。


そのあまりにも滑稽で、悍ましい現実を終わらせるために、俺は鬼のような形相で一歩踏み出した。


千歳を恐怖に陥れたことへの怒りを、そのまま拳に乗せて男の顔面に叩きつける。

衝撃で吹き飛んだ男は腰を抜かし、アスファルトの上にヘナヘナと座り込んだ。

網タイツに包まれた脚が、ガチガチと震えている。


「ま、待ってくれ。お前……お前も『アプリ』を持っているんだろ!? だから俺の催眠が……」


「アプリ?そんなもの俺は知らない、それより質問に答えろ。千歳に何をしたんだ!」


俺は男を地面に押し付け、その手からスマホを奪い取った。 これが、すべての元凶だろう。


俺はスマホの画面を覗き込んだ。そこには、俺の知るどのアプリとも違う、禍々しいアイコンがあった。

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