表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
31/31

26話:輝く星

1/4に閑話:掲示板4を25話の前に割り込み投稿しました。

読まなくても大きな問題はありませんが、戦争のルールについて説明するような話になっているため、読んでいただけると話が理解しやすいと思います。

それに伴って『四天王拠点』だった名称を『バフ拠点』に変更しました。

拠点の役割・効果などに変更はありません。

拠点を落としてから数分後、勢いに乗った俺たちは"攻撃"のバフ拠点へとやってきていた。


未占領状態だった一般拠点とは違い、バフ拠点は最初から相手の陣地。

バフがかかることを除いても、攻略難易度は段違いだ。

門は固く閉ざされているし、空から攻め入ろうものなら矢の雨で撃ち落とされる。

つまり、門を壊さないと何もできないわけだが……


俺の攻撃では門のゲージはもうぴくりとも動かない。

ダメ元で試した影呑ももちろん不発。

わかってはいたことだが……対物戦闘において、俺はあまりにも無力だった。


「仕方ない、帰るか」


こういうのは適材適所だ。

俺がここにいてもできることがないし、門のゲージはチャットで共有されているから、タイミングを合わせて戻るのも簡単。

となれば、門が壊れるまでは他の場所にいた方がいいだろう。


そう考えた俺は門から離れ、少し前にいた一般拠点へと走り始めた。


◆ ◆ ◆


たどり着いた一般拠点の門の前。

そこには一人、予選で戦ったポージングゴーレムが佇んでいた。


「……なあ、お前なんで一人で突っ立ってるんだ?」


「それは僕が、誰よりも輝く星だからさっ!」


そう言ってポーズを決めるゴーレムは、それから少ししてポーズを解き、肩をすくめながら俺に語りかける。


「実はみんなバフ拠点に行ってしまってね。前衛は僕ぐらいしか残っていないんだよ」


一瞬何を言っているのか理解ができなかった。

俺が言えた事じゃないが、闇陣営は攻撃が好きすぎる。

そんなことを思った俺に、ゴーレムは言葉を続ける。


「もちろん、僕一人で守り切れるからこうなっているんだけど」


そう言ってニヤリと笑うゴーレム。

そこにはハッタリではなく、揺るぎない自信が込められているように感じられた。


……ポージング好きな怪しいゴーレムを信じ切れるかは別として。


「さて、そろそろここに敵がやってくる。君も中に入るといい」


ゴーレムが門を指差す。

おそらくは予選でも見せた爆発に巻き込まないための気遣い。

だが……


「上から撃ってるだけじゃつまらない。俺も前で戦わせてくれよ」


「そうか……なら一緒に戦おうじゃないか!僕の輝きに見惚れないように気をつけてくれよ!」


「ああ、今回は気をつけるよ」


予選と同じ轍は踏まない。

そんな決意を胸に、俺はゴーレムから少し離れた位置にあった岩に擬態する。


それから数十秒後、道の奥から敵軍が姿を現した。

俺の視点じゃ後ろまでは見通せないが……大体三十人ぐらいはいるだろうか?

鎧を着込んで盾を構える前衛の後ろには、杖や弓を持った後衛。

足並みを揃え、整然とこちらに向かってくる様子に、少しの不安が胸をよぎる。

そんな気持ちを吹き飛ばすかのように、敵と対峙したゴーレムがポーズを取った。


「やあ、よく来たね!存分に僕の輝きに見惚れていってくれたまえ!」


そんな明確な煽りにざわつく敵軍から、金色の鎧を身に纏った男が前に出てくる。


「おうおう、確かにお前の輝きもなかなかだ。だがな……俺たちの方がもっと輝いているっ!!!さあ、行くぞおめえら!5分であの城、ぶっ壊せぇぇ!!!!」


その言葉と共に、黄金鎧が手にした槍をゴーレムへと突きつける。

次の瞬間、前衛が数人の守りを残してゴーレムへと走り出し、後衛が詠唱を始め、空には輝く障壁が浮かび上がった。


「俺のスキル《黄金障壁》だ。俺の体力が尽きるまで弓矢はここには届かねえ。俺とお前、どっちが先に落ちるか勝負と行こうじゃねえか!」


その言葉の通り、城壁の上から放たれる矢や魔法は障壁に阻まれ、敵の元まで届かない。

元より厳しい戦いだったが、さらに援護まで断ち切られる形。


「いいだろう、その戦い、受けて立つ!」


そんな言葉を発したのも束の間、ゴーレムは瞬く間に敵に囲まれてしまう。

だがしかし、敵の隙間からちらちらと見えるポージングが、彼が囲まれてなお余裕を持っていることを伝えてきた。

味方だからいいけど、ほんとどうやったら倒せるんだよこいつ。


「魔法部隊、あいつを足止めしている間に門を落とせ!」


味方への誤射を恐れたのか、動けないなら排除する必要もないと考えたのか、黄金鎧はゴーレムを前衛数人に任せ、拠点を落とすことを選ぶ。

その命令に従って門へと発射された魔法たちは、ゴーレムがポージングと同時に展開したシールドによって撃ち落とされた。


「そうはさせないよ。まずは僕と踊ってくれたまえ!」


「なんだよ、てめえ。最高に輝いてんな……?俺も戦おうじゃあねえか!後衛は前衛にバフと弓矢の対処だ!」


そう言って自身もバフを受け取り、上空の障壁を消し去ってゴーレムの元へと歩み寄る黄金鎧。

何やら盛り上がってきたところ申し訳ないが……

そこは俺の射程圏内だ。


━━《影呑》


黄金鎧の足元の岩から溢れた闇は、黄金鎧をなんの抵抗もなく飲み込んだ。

突然の出来事に、辺りが一瞬静まり返る。

ゴーレムはその隙を逃さなかった。


「美味しいところを持っていかれてしまったねっ!」


その言葉と共に、ゴーレムの体が光を放つ。

溜めが短かったからか、予選とは比べ物にならないほど小規模な爆発。

だが、その爆発はゴーレムを取り囲む前衛を吹き飛ばすのには十分だった。


「さあさあ、守りきってくれよ!」


爆発でできた包囲の隙間をポージングですり抜け、ゴーレムが残された後衛部隊へと突撃する。

もちろん、俺も。


リーダーの死亡、現れた伏兵、前線の崩壊、そして降り注ぐ矢の雨。

戦場は一瞬で乱戦へと変化した。


だがまあ、流れはこっちのもの。

気づけば俺たちは後衛部隊を食い荒らしていて、火力を失った敵軍はどこかへと逃げ去っていった。


「僕らの輝きの勝利だね!」


ゴーレムがポージングをしながら俺に笑いかける。

基準はよくわからないが、どうやら黄金鎧よりも俺たちの方が輝いていたようだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ