表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
えれくとろんあーく  作者: てんまる99


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

5/22

可憐の決意

五話です。

キャラクターが動き出すと話を落ち着けるのが難しくなる面もありますね

翌日の放課後、私達はVAルームに集合した。

かすみに昨日の電話の内容を話す。


「ええっ? 明日香ちゃん、お姉さまって呼ばれたの?」

かすみは興味深げに私の顔を覗き込み、訊ねた。

「うん、突然に電話がかかってきて‥って、そう言えば、スフィアはどうやって私の番号知ったんだろ」

VAにとって電話をするのは、難易度が高いのか低いのか‥いまいち分からない。

「あー、確かに‥でもVAが電話することに比べたら、だよ」

それもそうだ。

電話そのものはグローバルネットワーク経由で可能としても、あの時のモーションや言葉はどうやって生成したのか。

それ以前に電話するという行為をAiが選択するようになった、思考はどう学習??

謎すぎる‥。


「あれ‥、もしかして私の個人情報、スフィアに筒抜け?」

「あり得るかも。でも‥」

かすみはちょっと、もじもじする。

「ん? 何?」

「お姉さま‥いいなぁ~。私も明日香ちゃんの事、お姉さまって呼んじゃダメ?」

潤んだ瞳で私を見る。

「だ、ダメ! 勘弁して! それは“超えてはいけない一線”の気がするから!」

あわてて拒否する。

「ええー」

小さくほほを膨らますかすみ。

じょ、冗談だよね?


「で、メンバーの追加は?」

「メンバー追加は‥無理だよぅ」

「だよねぇ‥。学園祭の準備もあるからね」

「うん‥どう考えても時間が…」

元々、半年近い期間で作ったデーターを1ヶ月で作り直そうとしている。

時間はかなり厳しいはず。

「例えば、他の学校からメンバーを借りるとかは?」

「普通だったら、それもありだけど‥でも‥」

もにょもにょと、かすみが言い淀む。

「VAが自分から電話してくるような、謎案件だもんねぇ」

私も頷く。

話だけ聞いたら、私でも遠慮する。

と言うか、ちょっと怖い。

ある意味、『現代版お菊人形』と言えなくもない。


「そこの女子! 困っているようねっ!!」

突然背後から声がかかる。

振り向いた先に居たのは‥。

「あ、みなよん!」

VA部の顧問、渡辺美奈代先生が腕組みをして立っていた。

昨日こそ休校ゆえ不在だったが、放課後は当然、顧問のみなよんがVAルームに居る。

「あじゃぁ‥」

ただでさえ厄介な話を、こともあろうに聞かれるとは‥。


と、

「綺羅さん、入部おめでとう!」

握手を求め、手を差し出してくるみなよん。

「え、入部は‥してませんけど?」

「それは駄目よ。 昨日、VA部の機材を使ったでしょう? 機材は部員のみの使用というのが規則よ」

「あの、それは、私が…」

慌ててかすみがフォローしようとする。

「機材を使った以上、明日香さんは入部を了承した、と判断するわ。私が」

腕組みしたまま、胸を反らすみなよん。


「あー、それは‥えー‥まぁ、それでいいや」

反論しようとして諦めた。

これだけ様々なことがあると、入部する、しないなんて些細な事に感じる。

と言うか、一昨日まで、なぜあんなに入部するのが嫌だったのだろう?

自分でも心境の変化に驚く。


「で、メンバーの追加に関してだけど…」

言いつつ、かすみを見やる、みなよん。

「居るじゃない、ここに」

と、かすみを指さす。


「ええええ~! わ、私は無理です」

かすみは手を前に突き出して断固拒否の構え。

「どうして?」

「だって、明日香ちゃんのデーター作るだけで手一杯だし‥」

「確かにそうね。 ですから、かすみさんのデーターは私が作りましょう」

「え、そんな事して良いんですか?」

私は訊ねる。

「別に大会に参加する訳ではないから、問題ありません」

断言する、みなよん。


「でも私、明日香ちゃんみたく可愛く無いし‥」

再びごねる、かすみ。

いやいや、学園一の愛されキャラが何を言ってるのだろう。

学園で100人にかすみの事を聞けば、100人が可愛いと言い、その内80人は『妹にしたい』と言うだろう(残り20人は『ペットにしたい』と言う)。


「まぁ、ぶっちゃけ私もかすみのVA姿は‥‥‥見てみたい、かな」

これは本音。どう考えても、ガサツな私よりかすみの方が魅力的だと思う。

「あ、明日香ちゃぁぁ~ん」

顔を真っ赤にしたかすみがこちらを振り向き、小さくイヤイヤをする。

‥そう言う所が小動物的で、めちゃめちゃ可愛い訳だが。


「わ、私、歌もダンスも苦手で‥転んじゃったり?」

「うむ、ドジっ子キャラ、イイね!」

先生はサムアップで強く頷く。

「でもでも~」

さらに首を振るかすみに、先生は一転してシリアスな表情で、

「では君は、明日香さんにだけ、責任を押し付けるのかな?」

と言った。


びくっ、と反応するかすみの背中。

「‥そ、それは‥‥‥」

かすみは僅かな逡巡の後、俯いていた顔を上げ、小さく、でもしっかりと、

「私、やります」

と答えた。


かすみが落ち着くのを待って、早速、ブースでのレコーディングを始めることにする。

なにせ時間が無い。

細かい調整は後日にしても、基礎データーを揃えるのが最優先になる。


とりあえず、衣装などは私が使ったものを、そのままかすみに転用する。

後々、みなよんが、かすみに合わせてカスタマイズしてくれるらしい。

衣装製作までできるとは‥渡辺先生、恐るべし。


みなよんはコンソールを手早く操作し、設定をかすみに合わせて変更する。


「先生、機材使えるんですね‥」

「何年、VA部の顧問やってると思うの? 当然でしょう」

言いながらも、かすみに細かい指示を出し、テキパキとレコーディング準備を進めてゆく。

敵に回すと怖いが、味方にすると心強い、みなよんだった。


昨日の私と同様、ヘッドギアをつけたかすみがレコーディングブースの中央に立つ。

「手順は分かってるわね? まずはステージで軽く動いてみましょう」

かすみへ指示するみなよん。

コンソールの画面表示が広い祭壇風のステージへと変わる。

『こんな風に見えるんだ‥』

かすみが声を漏らす。

当事者としての見え方は、作り手のそれとはまた違うのだろう。

かすみはふいに、

『きゃん!』

なにもない所でつまづく。

「大丈夫?」

『は、はい〜』

どうもVR空間中で歩こうとして、引っかかったようだ。


「ゆっくり動けば良いから、落ち着いて。衣装をセットするわよ」

『は、はい』

モニター画面中で、かすみの衣装が変化してゆく。

先日の私と同様、ギリシャ風のデザイン。

と、

『きゃああっ』

突然かすみが素っ頓狂な声を上げる。

「ど、どうしたの?」

『こ、この衣装、お尻が見えちゃうぅ。えっち!』

モニター越しにも判る位、もじもじと身をよじる、かすみ。

えっちって..昭和のギャグかな?

「その衣装、デザインしたのは貴方自身なんですけど」

モニター越しに声をかける。

『あ、明日香ちゃんがえっちなのは素敵だけど、わたしは駄目〜』

一体、何を言ってるのかな、この娘は?

「大丈夫、後でデーターで修正するから。続けて」

「わ、わかりましたぁ」

その後も、なんとかレコーディングを続けるかすみだった。

ちょっと短いですがここまで。

この先ももぼちぼち書いてゆこうと思います

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ