表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
えれくとろんあーく  作者: てんまる99


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

4/22

光は囁く

第四話、アップします。

登場人物が動き始めました

かすみと色々話したが、やはり素人の私たちには、分からない事が多すぎた。

一旦、頭を整理しようという事で解散し、帰宅する。


玄関から自室に向かう途中のリビングには、珍しく母親が居た。

「ただいま。今日は早い‥ね」

「あら、おかえりなさい。 まだシステムが正常に戻らなくて。仕方ないから切り上げて来たわ」

微妙によそよそしい会話。

昔はもっと自然に話せていたと思うけれど‥忘れてしまった。


母親は小さな芸能事務所を経営している。

VAについては否定的な立場で、それゆえ事務所では所属するのが生身のアイドルのみ、という今時珍しい特徴を持っている。

仕事柄、色々付き合いやトラブルもあるらしく、いつもは日にちが変わる頃に帰ってくる。

今日は大規模障害の影響で、諸々の予定が立たなく成り、帰宅したらしい。


「ご飯作ったわ。早く着替えてらっしゃい」

「うん‥‥」

「どうしたの? もう食べて来た?」

「あのさ‥私、VAのモデルやることにした‥」

息をのみ、しばしの沈黙‥。

「そう‥明日香はVAのリスクはもう分かっているハズよね」


あくまでデーター上の存在であるVAには、それゆえの問題も発生している。

最も大きかったのは一昨年の「そっくりさん事件」だろう。

どこからか流出したデーターにより、人気のVAが複製されてしまった。

人間と違い、複製されたVAはどちらがオリジナルか判断できない。つまり本人が二人いることになる。

最悪な事に、そのVAは過激なアダルト作品に出演させられ、その事を知ったモデルの少女は自殺した。

それ以外にも、過激なアンチファンによる嫌がらせ等、VAには人権が無いが故のトラブルも多い。

そして時には、その攻撃がVAのモデルの人間にも向けられる事件も起こっている。


VAの仕組みとしては、モデルと全く違った性別や容姿を設定することも可能だが、再現性がどうしても低くなる。

それは高度なシミュレーション性を持ったVAゆえの弱点だ。


「うん、分かっている。悪いけど、かすみを助けたいから」

母親は、ふぅ、と溜息をついた。

「別に私、VAの事が嫌いって訳じゃないわよ。ただ、生身の方がより素晴らしいと思っているだけ」

「うん」

「セキュリティには気をつけなさい。あと何か有ったら絶対に相談して‥ご飯は?」

「食べる」

一瞬、スフィアの事が頭をよぎったが、結局話さなかった。

今の時点ではあまりに分からない事が多すぎたし、結局はいたずらに過ぎない可能性もある。

もやつく気持のせいで、折角の夕食も全く楽しめなかった。



夕食後、自室に戻った私はベッドに寝転がり、デスク上の写真パネルを眺めていた。

そこには幼いころの私と、両親が映っている。

「父さんなら‥こんな事、簡単に解決したかな?」

思わず写真の父に問いかける。

父さんなら‥Ai研究者の父さんなら‥?


思い出の中の父は、いつも研究室に籠るか、帰宅すればロクに話もせずに寝てしまっていた。

あまり遊んで貰った覚えもなく、何度か”ラボ”と呼ばれる研究室に見学に行ったくらい。

それでも、まれに話せば私のことを気遣ってくれたし、その研究が世界に貢献すると信じていたから、誇らしかった。

実際、ほとんどの交通機関に搭載されている”トリニティAi”システムは父の研究成果の一つだし、Ai演算ネットワークもそうだ。

あんな事故さえ無ければ、もっともっと世の中に貢献する成果が出せたハズだ。

‥あんな事故さえ無ければ‥。

‥事‥故さえ‥。




ブブーーッ!ブブーーッ!ブブーーッ!

スマホの着信音ではっと目が覚める。

‥どうもベッドでうつらうつらしてしまったらしい‥。



「はーい、誰‥かすみ??」

寝ぼけまなこを擦りながらスマホを取る。


「お姉さまーーーーっ!お姉さまーー!」

ハイテンションな声が、スマホの向こうで呼ぶ。

私は未だかつて”お姉さま”呼びされた覚えがない。

「え、誰?」

取り出したスマホの画面に映っていたのは、何とスフィアだった。


「えぇーーー!?」

このVA、普通に電話して来てるんですけど!

人の事、”お姉さま”呼びするんですけどーー?!


「ど、ど、どうし‥」

あまりの出来事に言葉が上手く出ない。


「ごめんなさい、お姉さま。寝てらっしゃいましたか?」

「い、いや、大丈夫‥」

あまりに普通の受け答えに、少し平静を取り戻す。

「すみません、うっかり失念していて‥」

VAが失念?? 失念?

「---?」

「VAフェスって、最低1ステージ3名以上らしいんです」

「あ、そうなんだ…」

「もう一人共演者が必要なんですが、どうしましょう?」

「その‥スフィアの方で手配は?」

「私以外のVAを用意するのは難しくて‥私が二人になるなら可能ですが、それで良いですか?」

このVA、何か訳分らない事言ってる‥。

それでも、このテンションが倍になるのはご勘弁願いたい。

思わず、

「ちょっと、こっちで考えてみる…」

と言ってしまった。

「分かりました、お願いします、お姉さま」

「いや、そのお姉さまって‥?」

「また連絡しますねっ!」

そう言うと、ウインクを残して電話は切れた。


恐らくスフィアはVAではなく、裏に誰かが居て、表示をVA化しているのだろう。

でなければこんな事考えられない。

混乱のあまり目が冴えてしまい、遅くまで眠れなかった。













楽しんで頂けましたでしょうか?

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ