EXエピソード2 電磁戦士・ドリームアーク参上
番外編その2です。
一応ストーリーは完結してるんですが、色々書きたいネタは浮かぶんです。←完結とは‥
「えーと、監督さん、お話っていうのは‥?」
私はテーブルの向かいに座る男性に訪ねた。
ここは学校からさほど遠くない、ファミレス。
平日で放課後の店内はそこそこの混み具合だが、通学路からは外れているので、柊学園の生徒の姿は見えない。
目前に座っているのは先日公開された、”電脳天使エレクトロンアーク”の監督さんだ。
何度かスタジオでお会いしたことがある。
その人が相談したいことがあると連絡してきた。
ただ、その方法が少し変則的で、Ai財団経由ではなく母親の芸能事務所を通してだった。
母親も監督の事を知っていたらしく、その事を私に伝えた訳だけど‥。
「えと、エレクトロンアークの話でしょうか?」
「ま、まぁそうなんですが‥」
監督はどうも歯切れが悪い。
「? 何か問題でも??」
放映してから問題が出る、というのはままある。
演者が問題を起こしたとか、写っていたものに権利の問題があったとか。
更に稀ではあるがそのために撮影をし直すということも。
「いや、エレクトロンアークに関しては非常に好評で‥」
「はい‥」
「その、第二弾を作れないかと、考えていまして」
「ええっ? 第二弾ですか?」
ちょっと驚いた。
あれは財団のプロモーションで、だからこそ常識外の手間と費用をかけることができた。
私は今のところ、蒼井さんから、第二弾の話を聞いていない。
結局、監督さんの話をまとめるとこうだ。
エレクトロンアークが一部の人に非常に好評だったため、第二弾が作りたい。
ただ、今回は財団には関係ない制作なので、財団経由で出演の話をしていた私達に改めて相談に来た、ということらしい。
第二弾を作ること自体は、財団に許諾は取ってあるそうだ。
「私は時間が合えば構いませんけど‥?」
でも、この確認の仕方が気になる。
それなら普通に連絡をしてくれるだけで十分なのでは?
「実は、明日香さんにご相談があるのです」
やっぱり、何か理由がありそうだ。
「実は今回、実際の屋外でバトル撮影をしたいのです」
「それは‥大変では?」
エレクトロンアークは日常パートを私達自身が演じ、バトルパートをVAが演じるように切り分けていた。
そうすることで派手なバトル演出をCGで作ることができるからだ。
現実でバトルシーンを撮影するには、撮影場所、機材、スタッフの手配など多数の課題がある。
「ま、まぁ。そこは何とか手配できますので」
「VAはどうするんですか? 合成?」
「明日香さん達にお願いできないかと‥衣装はこちらで用意できます」
あ、なるほど、それで回りくどい聞き方だったのか。
私はようやく合点がいった。
つまり、リアルJKの私達に、あの戦闘服を着て出演してもらえないかって事だ。
うーん、私は別に良いんだけど‥かすみとかどうかな‥スフィアはまぁ大丈夫だろう。
「他の娘達にも聞いてみないと」
「もちろんです」
「お話はそれだけですか?」
「実は‥もう一つ重ね重ねお願いがありまして‥」
「?」
やはりまだ何か隠してる。
この監督、結構、狸なのでは‥。
「さ、寒いんだけどーー!」
新衣装を着たヒロコが叫んだ。
数日後。
ここは東京湾のほぼ真ん中に作られた人工島、第八夢の島。
将来は巨大な街が出来るはずの場所も、今はまだ更地で、秋口とはいえ風が吹くとかなり冷える。
近場で火薬が使える撮影場所としてここが選ばれた。
「明日香はともかく、なんであんたらも平気なの?」
ヒロコはかすみとスフィアに訊ねる。
「ちょ、なんで私はともかく?」
「だって‥明日香は人外だし」
「言い方! と言うか人外じゃない!」
「わたしは最近、明日香ちゃんと早朝にトレーニングしてるから〜」
「私は代謝を自己制御できますし」
かすみとスフィアは答える。
「私の周り、普通の人間居なかった?!」
嘆くヒロコに私は、
「そんな事言ってないで、みなよんを見習いなよ」
と、目前の先生を指差す。
黒いボンデージ風衣装でセクシー度180点の悪の女幹部がそこには居た。
「ホ〜〜ホッホ、今日こそあなた達の命日よーー! ‥こんな感じでどうかしら?」
「素晴らしいです! ゲストキャラなのが勿体ない!」
‥みなよん、監督と談笑してる。
「いえいえ、ありがとうございます」
「女幹部は役者が見つからず、VAにするしかないと思っていた所で‥助かりました。まさかあの、“みなよん”に出演してもらえるとは!」
「“あの、みなよん”?」
どういう意味だろ?
「生徒の部活動に協力するのは当然です」
いやいや、私の話を聞いた時に一番乗り気だったのは、美奈代先生では‥。
監督のもう一つお願いと言うのが、新メンバーの追加だった。
第二弾と言うことで、パワーアップ要素を入れたい、というのは、まぁ分からなくも無い。
「で、でも、ガサツな私がこんな‥変だろ」
もじもじとヒロコは照れる。
確かに普段のヒロコはカチューシャで前髪全上げ、椅子にもガニ股で座る、誰よりも元気キャラ。
‥その正体が、長めの前髪を下ろした片目隠れ美少女だったとは。
めちゃくちゃファンタジーな衣装が似合ってるんだが。
「変じゃなーい、てか、前髪下ろしたら美少女とか、10話に1回の隠れキャラか!」
「隠れキャラとか言うなぁ〜。可愛いの苦手なんだからぁ」
‥言葉遣いまで変わってる。
「ほら、撮影始まるよ!」
私はヒロコを足した。
「紅の電脳天使・ルミナスアーク!」
「黄の電波精霊・ライトニングアーク!」
「青の電子妖精・タキオンアーク!」
「し、白の電磁戦士・ど、どりーむあーく‥」
「Ai世界の平和を乱す者は!」
「私達!」
「“えれくとろんあーく”がゆるさないっ!」
「ここに転身!」
“ドカーーン”
背後で七色の爆発が起こる、お約束パターン。
「うんうん、やっぱり爆発だよねぇ」
感涙にむせる監督‥もしかしてこれがやりたかっただけなのでは?
だが、あるところに、この映像を見て歓喜する人物がもう一人。
「うむうむ、良い出来ではないか!」
“エレクトロンアーク 第二弾”は一部の人こと七尾のお爺さんの一存で、またも放映が決定したのだった。
いかがでしたでしょうか。
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