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えれくとろんあーく  作者: てんまる99


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22/22

EXエピソード2 電磁戦士・ドリームアーク参上

番外編その2です。

一応ストーリーは完結してるんですが、色々書きたいネタは浮かぶんです。←完結とは‥

「えーと、監督さん、お話っていうのは‥?」


私はテーブルの向かいに座る男性に訪ねた。

ここは学校からさほど遠くない、ファミレス。

平日で放課後の店内はそこそこの混み具合だが、通学路からは外れているので、柊学園の生徒の姿は見えない。

目前に座っているのは先日公開された、”電脳天使エレクトロンアーク”の監督さんだ。

何度かスタジオでお会いしたことがある。

その人が相談したいことがあると連絡してきた。


ただ、その方法が少し変則的で、Ai財団経由ではなく母親の芸能事務所を通してだった。

母親も監督の事を知っていたらしく、その事を私に伝えた訳だけど‥。

「えと、エレクトロンアークの話でしょうか?」

「ま、まぁそうなんですが‥」

監督はどうも歯切れが悪い。

「? 何か問題でも??」

放映してから問題が出る、というのはままある。

演者が問題を起こしたとか、写っていたものに権利の問題があったとか。

更に稀ではあるがそのために撮影をし直すということも。


「いや、エレクトロンアークに関しては非常に好評で‥」

「はい‥」

「その、第二弾を作れないかと、考えていまして」

「ええっ? 第二弾ですか?」

ちょっと驚いた。

あれは財団のプロモーションで、だからこそ常識外の手間と費用をかけることができた。

私は今のところ、蒼井さんから、第二弾の話を聞いていない。


結局、監督さんの話をまとめるとこうだ。

エレクトロンアークが一部の人に非常に好評だったため、第二弾が作りたい。

ただ、今回は財団には関係ない制作なので、財団経由で出演の話をしていた私達に改めて相談に来た、ということらしい。

第二弾を作ること自体は、財団に許諾は取ってあるそうだ。


「私は時間が合えば構いませんけど‥?」

でも、この確認の仕方が気になる。

それなら普通に連絡をしてくれるだけで十分なのでは?


「実は、明日香さんにご相談があるのです」

やっぱり、何か理由がありそうだ。

「実は今回、実際の屋外でバトル撮影をしたいのです」

「それは‥大変では?」

エレクトロンアークは日常パートを私達自身が演じ、バトルパートをVAが演じるように切り分けていた。

そうすることで派手なバトル演出をCGで作ることができるからだ。


現実でバトルシーンを撮影するには、撮影場所、機材、スタッフの手配など多数の課題がある。

「ま、まぁ。そこは何とか手配できますので」

「VAはどうするんですか? 合成?」

「明日香さん達にお願いできないかと‥衣装はこちらで用意できます」

あ、なるほど、それで回りくどい聞き方だったのか。

私はようやく合点がいった。


つまり、リアルJKの私達に、あの戦闘服を着て出演してもらえないかって事だ。

うーん、私は別に良いんだけど‥かすみとかどうかな‥スフィアはまぁ大丈夫だろう。

「他の娘達にも聞いてみないと」

「もちろんです」

「お話はそれだけですか?」

「実は‥もう一つ重ね重ねお願いがありまして‥」

「?」

やはりまだ何か隠してる。

この監督、結構、狸なのでは‥。



「さ、寒いんだけどーー!」

新衣装を着たヒロコが叫んだ。


数日後。

ここは東京湾のほぼ真ん中に作られた人工島、第八夢の島。

将来は巨大な街が出来るはずの場所も、今はまだ更地で、秋口とはいえ風が吹くとかなり冷える。

近場で火薬が使える撮影場所としてここが選ばれた。



「明日香はともかく、なんであんたらも平気なの?」

ヒロコはかすみとスフィアに訊ねる。

「ちょ、なんで私はともかく?」

「だって‥明日香は人外だし」

「言い方! と言うか人外じゃない!」


「わたしは最近、明日香ちゃんと早朝にトレーニングしてるから〜」

「私は代謝を自己制御できますし」

かすみとスフィアは答える。

「私の周り、普通の人間居なかった?!」

嘆くヒロコに私は、

「そんな事言ってないで、みなよんを見習いなよ」

と、目前の先生を指差す。


黒いボンデージ風衣装でセクシー度180点の悪の女幹部がそこには居た。

「ホ〜〜ホッホ、今日こそあなた達の命日よーー! ‥こんな感じでどうかしら?」

「素晴らしいです! ゲストキャラなのが勿体ない!」

‥みなよん、監督と談笑してる。


「いえいえ、ありがとうございます」

「女幹部は役者が見つからず、VAにするしかないと思っていた所で‥助かりました。まさかあの、“みなよん”に出演してもらえるとは!」

「“あの、みなよん”?」

どういう意味だろ?

「生徒の部活動に協力するのは当然です」

いやいや、私の話を聞いた時に一番乗り気だったのは、美奈代先生みなよんでは‥。



監督のもう一つお願いと言うのが、新メンバーの追加だった。

第二弾と言うことで、パワーアップ要素を入れたい、というのは、まぁ分からなくも無い。


「で、でも、ガサツな私がこんな‥変だろ」

もじもじとヒロコは照れる。

確かに普段のヒロコはカチューシャで前髪全上げ、椅子にもガニ股で座る、誰よりも元気キャラ。

‥その正体が、長めの前髪を下ろした片目隠れ美少女だったとは。

めちゃくちゃファンタジーな衣装が似合ってるんだが。


「変じゃなーい、てか、前髪下ろしたら美少女とか、10話に1回の隠れキャラか!」

「隠れキャラとか言うなぁ〜。可愛いの苦手なんだからぁ」

‥言葉遣いまで変わってる。

「ほら、撮影始まるよ!」

私はヒロコを足した。


「紅の電脳天使・ルミナスアーク!」

「黄の電波精霊・ライトニングアーク!」

「青の電子妖精・タキオンアーク!」

「し、白の電磁戦士・ど、どりーむあーく‥」


「Ai世界の平和を乱す者は!」

「私達!」

「“えれくとろんあーく”がゆるさないっ!」

「ここに転身!」

“ドカーーン”

背後で七色の爆発が起こる、お約束パターン。

「うんうん、やっぱり爆発だよねぇ」

感涙にむせる監督‥もしかしてこれがやりたかっただけなのでは?



だが、あるところに、この映像を見て歓喜する人物がもう一人。

「うむうむ、良い出来ではないか!」

“エレクトロンアーク 第二弾”は一部の人こと七尾のお爺さんの一存で、またも放映が決定したのだった。

いかがでしたでしょうか。


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