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大切な場所が、もっと大切になる瞬間(増田美穂子)

女性ホテルスタッフ:美穂子の恋愛模様

 増田美穂子は、愛知県豊川市にあるホテルで働いて三年目になる。


 専門学校を卒業してすぐ就職し、目の前の仕事に真剣に向き合ってきた。気づけばフロント業務にも慣れ、今年の春にはセクションのリーダーを任されるようになった。


 セクションリーダーとなってからは、よりいっそう忙しい日々だった。クレーム対応、後輩指導、急なシフト調整。責任は重いが、不思議と嫌ではなかった。自分がこの場所で必要とされていると感じられることが、少し誇らしかった。


 そんな日々で、美穂子を癒してくれるのが趣味のトレッキングだった。お気に入りのコースは新城市。清々しい空気の中、木々が風に揺らぐ音、穏やかに差し込む日光の中にいる時間が好きだった。一人で行くこともあれば親しい友人と一緒に歩くこともある。美穂子にとってはどちらの時間も楽しかった。


 美穂子のホテルは観光スポットの豊川稲荷近隣にある。年末年始は、ホテルが一年で最も慌ただしくなる時期だ。その時期を支えるのが、短期アルバイトの大学生たちだ。


「美穂子さん、お疲れさまです。今年もよろしくお願いします」


 挨拶を順番に済ませる姿の中に、見慣れた顔があった。


 ――寺島。昨年に続き、二年連続で年末年始のアルバイトとしてやってきた大学四年生だ。


「今年も来てくれるって言ってたもんね。助かるよ。ありがとう」

「はい。ここ、雰囲気好きなんで。あと、美穂子さんと一緒に働く時間も」

「こらこら、またそんな事を言って」

「はは、すみません」


 そう言って笑う表情は、去年より少し大人びて見えた。言葉遣いも、立ち居振る舞いも落ち着いている。


 昨年のバイト最終日、連絡先を交換した。それから時々、就職相談に乗ったり、休日に軽いトレッキングに出かけたりする関係になった。


(かわいい年下の後輩。元気な男の子。きっと……友人でいなきゃいけない人)


 それが、美穂子の正直な認識だった。好意を向けられていることには、気づいていたけれど。ある日の休憩中、寺島が改めて言った。


「今年で、ここで働くのも最後です」

「そうだよね。もう四月で卒業だもんね。卒業後は、長野で就職だっけ?」

「はい。長野の地元で、製造業の会社に勤めます」


 迷いのない声だった。その一言に、美穂子の胸が小さく揺れる。


(ちゃんと、自分の道を決めてるんだ。当たり前のことだけど、やっぱりしっかりしてるな……)


 嵐のような繁忙期はあっという間に過ぎ去った。アルバイト仲間と社員たちで開催された、お疲れさま会の帰り道……寺島は少し照れたように言った。


「美穂子さん、最後にトレッキング行きませんか。あの、新城市の美穂子さんが好きなコースに」


 美穂子が何度も通ってきた、大切な場所だ。寺島が言った『最後』という言葉に胸が少しつっかえたが、快く返事をした。


「いいよ。久しぶりだし。一緒に行こう」

「美穂子さん、ありがとうございます」

「でも、改めて『最後に』って言われると、いよいよ卒業なんだなって感じるね」

「そう……ですね、すみません」

「いや、別に謝らなくてもいいから。むしろ、卒業おめでとう、寺島くん」


 微妙になった雰囲気を打ち壊すかのように、美穂子は寺島の肩を軽く叩いた。


 トレッキング当日、山の空気は澄んでいて、冬の光が静かに差し込んでいた。並んで歩く寺島の背中を見ながら、美穂子は気づく。歩幅が大きい。去年より、頼もしく感じる。


「やっぱり、ここは落ち着きますね。俺もこの場所、好きです」

「寺島くん、ありがとう」


 トレッキングコースの終盤、開けた景色の前で、寺島は足を止めて深呼吸をしてから言った。


「美穂子さん」


 真剣な声に、胸がざわつく。


「美穂子さんのこと……ずっと、好きでした」


 予想していたはずなのに、心臓が大きく跳ねた。


「年下だし、すぐ長野に帰るし……迷わせるのは分かってます。でも、言わないままは嫌だった」


 不安が、はっきりと形になる。距離。将来。環境の違い。それでも――。


「正直、怖かった。ううん……今でも不安だよ」


 美穂子は自分の気持ちを口にする。


「でもね。今の寺島くんを見てたら、ちゃんと前を向いてるって思えた」


 顔を上げると、彼の目が揺れていた。


「寺島くん、私でよければ……付き合ってください」


 一瞬の沈黙のあと、寺島は力強く頷いた。そして、唇が触れた瞬間、胸の奥が熱くなった。静かな山の中で、二人が穏やかに見つめ合う。


「……私の大切な場所が、もっと大切な場所になっちゃった」

「美穂子さん……」


 そう言うと、二人は照れたように抱き合った。


 下山する道すがら。手をつなぐ感触が、確かにそこにあった。


 忙しい日々は、これからも続く。それでも、この気持ちがあれば大丈夫だと、美穂子は思う。二人の影は、寄り添うように静かに伸びていた。

- キャラクター プロフィール -

名前:増田美穂子ますだみほこ

職業:ホテルスタッフ

好きな事:トレッキング

年齢:23

身長:159㎝(5'3")

体重:52㎏(115lb)

誕生日:10月25日

星座:蠍座

血液型:O型


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