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音楽のない夜に手をつないで(天野美雪)

女性配送スタッフ:美雪の恋愛模様

 天野美雪は、愛知県海部郡飛島村で配送業の仕事をしている。


 朝は早く、夜は遅い。荷物の数は年々増え、人手は足りない。トラックのエンジン音と、倉庫に響く金属音が、美雪の日常だった。


 重い荷物を運ぶたび、腕や腰に疲労が溜まっていく。それでも弱音を吐く余裕はなく、今日も次の荷物へと身体を動かしていた。


 それでも、美雪は元気だった。理由は一つ。大好きなライブがあるからだ。


 照明が落ち、歓声が上がる瞬間。鮮やかな電飾、体に響く重低音。胸の奥が熱くなり、身体の芯が震える。汗と音に包まれながら会場が一体となり、同じ時間を共有する感覚が好きだった。


 美雪にとってライブは、ただの趣味ではなく、生きるための栄養だった。


 ――ただ、最近はなかなか行けない。


 残業が増え、休日出勤も珍しくない。カレンダーに丸をつけて楽しみにしていた日が、無機質な勤務表に塗り替えられる。チケットを握りしめたまま、行けなくなった夜もあった。そのたび、胸の奥に小さな穴が空くような気がした。


(今日は推しのバンドが参加するライブの日なのに……)


「無理すんなよ」


 顔が曇る美雪に、そう声をかけてくれるのが、職場の先輩、手塚だった。二十六歳。落ち着いた物腰で、周囲をよく見ている人だ。必要以上に踏み込まず、でも必ず気づいてくれる。その距離感が、心地よかった。


「今日は俺が残るから、美雪は上がっていい」


 忙しい日でも、可能な限りそう言ってくれた。その言葉に、どれだけ救われたか分からない。申し訳なさと、嬉しさが同時に押し寄せて、胸がぎゅっとなる。


「ありがとうございます! でも、それじゃあ手塚さんが残業になっちゃいますよ!?」


 遠慮はあるが、顔には正直な笑顔が咲く。


「美雪ちゃん、台詞と顔が逆だから。行きたいんだろ、ライブ。あとはやっとくから」


 図星を突かれて、何も言えなくなる。見透かされたようで恥ずかしいのに、不思議と嫌じゃなかった。その優しさが、少しずつ、美雪の胸に染み込んでいった。


 手塚の趣味は、ジャズバーだった。ウイスキーを片手に、静かな音楽に耳を傾ける時間が好きだという。美雪とは正反対の世界。音量も、空気も、時間の流れ方も違う。でも、その違いは、気にならなかった。むしろ、手塚の大切な世界を知りたいと思ったし、自分の大切な世界も見てほしいと思った。


 ある日、美雪は勇気を出して言った。


「今度……一緒にライブ、行きませんか?」


 声は少し震えた。断られたら、今までの距離まで壊れてしまう気がして怖かった。手塚は少し驚いた顔をしたあと、微笑んで頷いた。


「いいよ。たまには、そういうのも悪くないね。美雪ちゃんの好きな世界も見てみたいし」


 その言葉だけで、胸がいっぱいになった。


 その日から、二人は少しずつ時間を共有するようになった。ライブハウスの熱気。終演後の余韻に浸りながら飲む、コンビニのコーヒー。


 別の日には、手塚の行きつけのジャズバーにも連れて行ってもらった。


「どう? こういう場所も落ち着かない?」

「はい、……とっても新鮮です」


 グラス越しに揺れる照明。低く流れる音。


(やっぱり、この人はカッコイイ……)


 大人の世界に足を踏み入れた気がして、胸が少しだけ高鳴った。同時に、彼の隣に立っている自分を、少し誇らしくも思った。


(……告白はまだ早い)


 そう言い聞かせながら、デートを重ねた。でも、気持ちは膨らむばかりだった。仕事中も、音楽を聴いている時も、気づけば手塚のことを考えていた。


 数回目のデートの帰り。


 駅を出ると、夜の空気が頬に触れた。遠くでトラックが走る音がする。その音が、いつもの日常を思い出させる。


「……手塚さん」


 美雪は足を止めた。ここで言わなければ、きっとまた先延ばしにしてしまう。


「もう、分かってると思いますけど」


 心臓の音が、耳に響く。指先が冷える。


「ずっと好きでした。私を……彼女にしてください」


 一気に言った。逃げ道はなかった。言葉にした瞬間、胸の奥に溜まっていたものが、すっと軽くなる。手塚はしばらく黙っていた。そして、照れたように視線を逸らし、小さく笑った。


「俺で良いなら」


 その言葉だけで、十分だった。


 夜道を歩く二人の手が、そっと重なる。冷えた指先に、手塚の体温が伝わった。確かな重みが、そこにあった。


 飛島村の静かな夜。エンジン音も、音楽もない。ただ、二人の足音だけが、ゆっくりと続いていた。


 ……美雪は思う。


 忙しい毎日は変わらない。仕事も、疲れも、きっと続く。それでも。この夜があれば、きっと大丈夫だと。この瞬間から二人の新しい時間がはじまるんだと。


 手が重なる二人の後ろ姿は、闇の中に溶けながら、確かに前へ進んでいた。

- キャラクター プロフィール -

名前:天野美雪あまのみゆき

職業:配送業

好きな事:ライブ鑑賞

年齢:19

身長:158㎝(5'2")

体重:51㎏(112lb)

誕生日:12月16日

星座:射手座

血液型:AB型


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