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恋は、図書館よりも静かに(宮田綾香)

女性図書館スタッフ:綾香の恋愛模様

 宮田綾香は、愛知県碧南市の図書館で働いている。


 小さな頃から本に囲まれた静かな空間が好きで、この仕事に就いた。本の貸出・返却だけでなく、資料の整理や保存、検索の支援、イベントの企画運営などを行い、忙しいながらも充実した日々を送っている。


 多くの利用者が訪れる中、土日の午後になると、決まってやってくる親子がいた。


 父親と、五歳くらいの娘。二人は入館するとまず、自然に海の動物の棚へ向かう。イルカ、ペンギン、クラゲ。娘は背伸びをしながら本を手に取り、父親に見せるように掲げる。


「きょうはこれ、よみたーい」

「いいよ。じゃあ、それをもってキッズスペースに行こう」


 父親の声は穏やかで、押し付けがましさがない。数冊選んだあと、二人はキッズスペースへ向かう。柔らかいマットの上に並んで座り、父親がページをめくり、娘は指で写真をなぞりながら話をする。


 綾香はカウンター越しに、その光景を何度も見てきた。


(いい時間だな……)


 仕事中だということを忘れそうになるほど、静かで、あたたかい時間。


(私もいつか母親になったら、あんな時間を過ごすのかな……)


 幸せな光景に想像した未来の自分を重ね合わせ、心を温めてしまう。


 そして親子は、本を読み終えると必ずカウンターへ来て、本を借りて帰っていく。それが、いつもの流れだった。


 ある日、返却と貸出の手続きをしていると、娘がカウンター近くにあった水族館に関する新刊の本を指さして顔を上げた。


「ねえ、これもかりていい?」


 父親は少し困ったように眉を下げる。


「もう三冊借りてるよ?」

「だって、おさかな、すきなんだもん。これもよみたい」


 そのやりとりが微笑ましくて、綾香は思わず声をかけた。


「その本、新刊で子供たちに人気なんですよ」


 父親は少し驚いたようにこちらを見て、丁寧に頭を下げた。


「そうなんですね。ありがとうございます。では、こちらもお願いします。よかったね、ヒマリ」

「うん! お姉さん、ありがとう!」

「ヒマリちゃんって言うんだね。元気にお礼を言えて偉いね」

「えへへ」


 その時のヒマリの笑顔と、申し訳なさそうに頭を下げる父親の姿が妙に心に残った。その時、綾香は初めて、彼の姿に胸が少しだけ高鳴ったことを自覚した。


 ――数週間後。


 休日、綾香は一人で碧南水族館を訪れていた。水族館巡りが好きで近場から県外まで、水族館を巡る綾香だが、派手さは無くても地元の碧南水族館は何度来ても落ち着く大切な場所だった。


 水槽を眺めていると、背後から元気な声がした。


「あ、図書館のお姉さん!」


 振り向くと、ヒマリが手を振っていた。


「ヒマリ、走らないで」


 父親が追いつき、綾香に気づいて目を丸くする。


「……あっ、図書館の方ですよね」

「こんにちは」

「こんにちは。えっと……鳴海です。いつもお世話になってます」

「ふふ。仕事の取引相手じゃないんですから。丁寧な方ですね。改めまして、宮田です」

「ええ、知ってます。いつも名札付けてらっしゃいますから」

「私も知ってますよ、鳴海さん。図書カード、名前書いてありますから」

「あっ……そう言えば」


 思いがけない再会と会話に、胸がざわついた。少し照れながら、二人で笑い合う。するとヒマリが徐に綾香の手を取った。


「おねえさん! いっしょにあっちもみようよ!」


(えっ……)


 小さな手、でも温かい手が綾香の手を掴んで引っ張る。


「こら、ヒマリ、お姉さんに迷惑だから」


 鳴海は父親として娘を注意しようとしたが、綾香は自然に返事をしていた。


「うん、いいよ、ヒマリちゃん。鳴海さん、私は構いませんから」


 三人で水槽を巡るうち、自然と会話が増えた。ヒマリは覚えた知識を一生懸命話し、綾香は相槌を打ちながらヒマリに質問をして、父親はそれを静かに聞いている。なんだか心が温まる不思議な時間だった。


 ヒマリがクラゲに夢中で見入っている中、鳴海と綾香は水槽の後ろのベンチに腰掛ける。


「宮田さん、ありがとうございます。娘の相手をしてくれて」

「いえ、私もちょっと楽しんでますから。ヒマリちゃん、いい子ですね」

「あはは、それは嬉しいです。ありがとうございます。娘を褒められるのは……自分を褒められるより何だか嬉しいです」


(鳴海さん……)


 その後、少しの沈黙を置いて鳴海がぽつりと言った。


「娘とは、月に数日しか会えなくて」


 綾香は、言葉の続きを察してしまった。


「……離婚しているんです」


 責めるでも、悲しむでもない声。胸の奥が、きゅっと締め付けられた。


(そうなんだ……)


 心の中に大きなものが引っ掛かった。それでも、鳴海に惹かれ始めていた自分を、否定できなかった。


 ――数日後、平日。


 図書館に鳴海が一人でやってきた。


「先日は、ありがとうございました」


 少し緊張した様子で言い、紙切れを差し出す。


「よかったら、いつかお礼をさせてください。カフェでも、食事でも。……これ、僕の連絡先です」


 その夜、綾香はベッドに横になって携帯を見つめた。


 迷いはあった。子どもがいる人。離婚歴がある人……。


 それでも、綾香の指は自然に動いた。


『ご連絡先、教えて頂いてありがとうございます』


 未来はまだ、何も分からない。それでも綾香は、この気持ちから目を逸らしたくなかった。


 ――恋は、静かに、心に入り込むものだから。

- キャラクター プロフィール -

名前:宮田綾香みやたあやか

職業:図書館スタッフ

好きな事:水族館巡り

年齢:20

身長:152㎝(4'12")

体重:43㎏(95lb)

誕生日:12月9日

星座:射手座

血液型:AB型


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