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夕焼け色の最後の音(萩原麻由)

女子高校生:麻由の恋愛模様

 愛知県津島市のとある高校。初夏の風が吹き抜ける放課後の校舎に、今日も弦の響きが満ちていた。


 萩原麻由が所属する津島南高校の弦楽部は、来月のコンクールを控え、練習量がいっそう増えている。麻由は二年生。放課後は部活でバイオリンに向き合う毎日を送っていた。


「萩原さん、そのフレーズいい感じになってきたね」


 柔らかな声でそう言ったのは三年生の音羽。入部当初からずっと指導してくれる先輩で、バイオリンの腕前は部内でも随一だ。


「ほ、本当ですか? 昨日から必死に練習したので……」


 嬉しさを隠せず答えると、音羽は「その調子でいこう」と微笑む。その穏やかな笑顔に、胸がじんわり熱くなる。


(……先輩の笑顔、やっぱり好きだなあ)


 気持ちを悟られないように、麻由は弓を握り直した。音羽には同級生の彼女がいることを、麻由は知っている。だからこそ、この想いは胸の奥に静かにしまっていた。ただ、同じ部活で、同じ音を重ねる時間だけは大切にしたかった。


 コンクール直前の最後の通し練習。部室には緊張と期待が混じる空気が漂っていた。合わせが始まり、音羽のバイオリンが柔らかく空気を切り裂く。その音はまっすぐで、優しくて、どこかあたたかい。


(先輩の音、やっぱり好き……)


 音羽の背中を見つめながら、麻由もその音に寄り添うように弓を走らせる。音が重なるたび、胸の奥がじんわり満たされていくのを感じた。練習が終わると、音羽が麻由に向き直る。


「今日の萩原さん、すごく良かったよ。入りのタイミングも安定してきたし、この調子なら本番も心配ないね」

「よかった……ありがとうございます!」

「うん。しっかり努力してるんだね。最近、残って自主練習してる成果がちゃんと音に出てるね」


(気づいて……くれてたんだ)


 その言葉ひとつで、胸がふわっと軽くなる。その声だけで、また明日も頑張れる気がした。


 そして迎えたコンクール当日。部員たちは緊張しながらも、最後まで力を出し切った。結果は惜しい入賞だったが、どこか誇らしい空気が部室に満ちていた。


 音羽がみんなを集め、いつもの落ち着いた声で言う。


「みんな、お疲れさま。最高だったよ」


 その言葉に、部員たちの顔には自然と笑みが広がった。音羽の最後の大会は、あたたかく、優しい空気の中で終わった。


(……今日、言おう)


 伝えたところで何も変わらない。それでも言わなければ、きっとずっと後悔してしまう。だから今日だけは、勇気を出そうと決めていた。


 ――夕方。


 校舎にはオレンジ色の光が差し込み、廊下に長い影を落としていた。麻由は音楽室の前で深呼吸をする。すぐそばには、まだ少しだけ余韻を残すような楽器の香りが漂っていた。


(大丈夫、大丈夫……言うだけ、言うだけ)


 震える手でスマホを握りしめ、「少しお時間いいですか」とメッセージを送る。ほどなくして「今行く」と返事が来た。やがて、廊下の向こうから音羽が現れる。


「萩原さん、どうしたの?」

「先輩……ちょっと、お話があります」


 音羽が頷く。夕焼けが二人の間を照らし、世界が少しだけ静かになった気がした。


「今日の大会、お疲れさまでした。先輩と一緒に演奏できて……本当に幸せでした」

「ありがとう。みんなのおかげで、俺もすごく良い最後になったよ」

「……あの、私……ずっと言えなかったことがあります」


 いつもより少しだけ震えた声。心臓の音が自分でも聞こえそうだった。


「私、先輩の演奏が大好きで……先輩の人柄も、優しさも、全部がすごく好きで……だから、その……先輩のことがずっと好きでした」


 言い終えた瞬間、胸の奥がふっと軽くなる。音羽は驚いたように目を瞬かせ、すぐに柔らかい笑みを浮かべた。


「……ありがとう。萩原さんの気持ち、すごく嬉しいよ」


 優しい声だった。でも、その優しさの意味もちゃんと分かっていた。


「でも、俺には……ずっと一緒にいる大切な子がいる。だから、恋人には……なってあげられない」

「……はい。分かってます。知ってます」


 口にした途端、胸の奥がきゅっと痛んだ。でも、不思議と涙は出なかった。むしろ、静かに落ち着いていく自分がいた。


 音羽はそっと手を差し出す。


「でも、萩原さんと一緒に音を重ねてこられて、本当に良かった。萩原さんは努力家だし、きっとこれからもっと上手くなるよ」

「先輩……」

「俺にはできないけど……萩原さんのことを大切にしてくれる人、必ず現れるから」


 胸の奥が、じんわり温かくなる。


「ありがとうございます……先輩。私、もっともっと上手くなります」

「うん。頑張って。応援してるよ」


 そう言って差し出された手に、麻由は両手で包み込むように触れた。一瞬、音羽が驚いたように目を瞬かせたが、すぐに優しく握り返してくれた。


(先輩の手……温かい)


 手が離れたあと、音羽は夕焼けに染まった廊下を歩き出す。その背中を、麻由はしばらく見つめていた。


(言えてよかった。この気持ちごと、これからの音に変えていける気がする)


 夕焼けがゆっくりと夜に変わる。その境目で、麻由の胸には確かな前向きさが芽生えていた。

- キャラクター プロフィール -

名前:萩原麻由はぎわらまゆ

職業:高校生

好きな事:管弦楽

年齢:16

身長:155㎝(5'1")

体重:44㎏(97lb)

誕生日:5月4日

星座:牡牛座

血液型:A型


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