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ゆっくり、二人で進む恋の始め方(榊原美希)

公認会計士:美希の恋愛模様

 榊原美希、二十九歳。本日――誕生日。


 朝から胸の奥がそわそわと落ち着かないのは、仕事終わりに“彼氏”とデートが控えているからだ。


 彼の名前は金子。愛西市の商工会議所で働く、同い年の穏やかな男性である。仕事の相談を重ねるうちに距離が縮まり、ようやく二か月前、長かった片想いが実った。


 ただし、ふたりとも恋愛経験ゼロ。年齢は大人だが、恋に関しては初心者のまま大人になってしまったタイプだ。


「美希さーん、今日お誕生日でしょ? 夜はデート?」


 明るい声で詰め寄ってきたのは、同僚のケイコ。二歳年下の既婚者、美希にとっては恋愛相談のプロみたいな存在だ。


「うん……デートだよ。でも、緊張しちゃって」

「なんで緊張するの? 付き合って二ヶ月じゃん。ちょうど盛り上がる頃でしょ? 色んな意味で」


「ちょっと! 色んな意味って!」

「はいはい! 言いにくい理由のやつね! 分かる分かる、皆まで言わなくても!」


 ケイコは美希の肩をバシッと叩いた。


「つまり、今日は“進展”がありそうってわけじゃん? 美希さんにとって一生忘れられない夜になるわけじゃん?」

「ちょ、声が大きいって!」

「良いの良いの! 二十九歳の誕生日にデートだよ? むしろ進展しなかったら奇跡だよ。覚悟しときなって!」


 覚悟――その言葉が美希の胸にずしんと落ちる。恋愛初心者に覚悟は重い。でも、どこか期待している自分もいた。


 仕事を終え、駅へ向かう。


 少し湿った冬の夜風が頬に触れた。いつもより駅前が明るく見えるのは、今日が特別だからだろう。改札を出た瞬間、金子が笑顔で手を振った。


「美希さん、こっち。今日は誕生日だね、おめでとう」

「ありがとう! 忙しいのに」

「いえ、今日はどうしても会いたかったから。あ、はい、これ……」


 差し出された小さな包み。開けると、ラベンダーの香りのハンドクリームが入っていた。美希が“手が荒れるのが悩み”とこぼしたのを覚えてくれていたらしい。


(……やだ。好きが加速しちゃう)


「ありがとう、覚えていてくれたんだ? 本当に嬉しい」

「よかった。今日はゆっくり過ごせたらと思ってます」


 ふたりは駅近くのレストランへ入った。おしゃれな照明、静かなBGM。なのに、どこかぎこちない空気が漂う。


「美希さん、今日は……忙しかった?」

「うん、えっと、午前中に月次チェックがあって……金子くんは?」

「僕も。地方の補助金申請の相談が多くて……」


 ……会話が続かない。

 

メニューを眺めるふたり。お互い恋人なのに、初デートの高校生みたいに緊張している。会話の節々に妙な間が現れる。


「なんか……変だね、今日の私たち」

「うん、変だね」


 でも、顔を見合わせると、自然と笑いがこぼれた。その瞬間、張りつめていた空気がほどけていく。


 食事を終え、外へ出る。愛西市の夜は静かで、遠くの街灯が水面のようにきらめいている。歩きながら、ふたりとも何かを言いかけて黙る。不思議な沈黙。


その沈黙を破ったのは、金子のほうだった。


「……あの、美希さん」

「うん?」

「僕……美希さんを、本当に大切にしたい。ずっと。だから、その……今日、ちゃんと気持ちを伝えたくて……好き、です。心から」


 美希の胸がぎゅっと熱くなる。シンプルで、まっすぐすぎる言葉。逃げ場がなくて、でもとても嬉しい。


「私も……金子くんのこと、大事に思ってる。好き、だよ」

「……ありがとう。言ってもらえると、僕も嬉しい。本当に……」


 金子は、そっと手を伸ばした。指先が触れる。それだけで、胸が跳ね上がる。


「手、つないでも……いいですか?」

「……うん」


 ぎゅ、と。繋がった手は、思ったより温かくてびっくりした。


「美希さん……僕、今日のこと、絶対忘れません」

「うん。でも、誕生日は……まだ終わってないよ? あと二時間位残ってる」


(ああっ、私! 何を言っちゃってるんだろう!)


 自分で言ったくせに、顔が真っ赤になる。けれど、言ってよかったと思う。恋は照れくささを乗り越えないと、前に進めない。ちょっとだけ驚いたような顔をした金子も、耳まで真っ赤にしながら笑った。


「あっ、えっと……じゃあこのあと、もう少し歩きませんか?」

「うん、歩きたい」


 夜の愛西市を、ふたりで歩く。ぎこちなく、でも確かに恋人として。恥ずかしくて、ドキドキして、嬉しくて……でも温かい。


初めてできた恋人がこの人で良かった。好きになったのがこの人で良かったと美希は思う。


 ――二十九歳の誕生日。


 不器用で、恥ずかしくて、笑えるくらい初々しい。けれど人生でいちばん甘くて、ぎこちなくて、でも確かにあたたかい夜だった。

- キャラクター プロフィール -

名前:榊原美希さかきばらみき

職業:公認会計士

好きな事:散歩

年齢:29

身長:159㎝(5'3")

体重:52㎏(115lb)

誕生日:2月24日

星座:魚座

血液型:O型

血液型:A型


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