プレゼントは、ドキドキの試着室で(岡田紗也)
女性家庭教師:紗也の恋愛模様
「本田くん、最近だいぶ慣れてきたね」
「ありがとうございます! 紗也先輩の教え方がうまいんです」
愛知県・大治町の大手学習塾、家庭教師派遣部門。入社3年目の岡田紗也は、後輩の本田に日々仕事を教えていた。彼は一年後輩で、いつも素直で真面目で……つい、可愛いと思ってしまうタイプだった。
「ところで本田くん、趣味とかあるの?」
「うーん……無趣味なんですよね。休みの日、何していいかわからなくて」
「もったいないね。ゲームとかやってみたら?」
「ゲーム? 俺、やったことないです」
「じゃあ、私と同じのやってみる?」
そのひと言から、本田の世界は変わったらしい。数日後には「先輩、昨日のボス倒しましたよ!」と報告してくるほどに。そこから二人は仕事の合間にも、ゲームの話で盛り上がるようになった。
――ある日の会話。
「そういえば、来週俺の誕生日なんです」
「へぇ、何か欲しいものとかある?」
「じゃあ……紗也先輩からのプレゼントください!」
いきなりの直球。
「なにそれ、子どもみたい」と笑うと、彼は真剣な顔になった。
「わかった。言い出したのは私だし、プレゼントするよ。何がいい?」
本田は少し考えた後、まっすぐに紗也の目を見た。
「じゃあ、先輩はいつもスーツ姿だから、俺が先輩の私服を選んで買うので、それを着てください。それが、俺にとってのプレゼントです」
紗也は思わず吹き出した。
「ええっ!? それ、完全に企画が逆じゃない? あなたが主役でしょ?」
「いいんです。俺、紗也先輩の私服が見たいんです」
真っ直ぐな目に押されて、結局OKしてしまった。
――休日。名古屋のショッピングモールで待ち合わせ。
「先輩! スーツじゃない紗也先輩、なんか新鮮です!」
「いや、ただのジーンズとボタンシャツにカーディガンだけど」
本田は嬉しそうに笑いながら、服屋をぐるぐる回る。そして、ある服を手に取って紗也に差し出した。
「これ、絶対似合います」
本田が選んだのは、落ち着いたジャケットに身体にフィットする白いTシャツ、そしてちょっと勇気のいる黒のミニスカート。
「えっ、これ本当に私が着るの!?」と紗也が思わず声を上げるくらい、いつものスーツ姿とはまるで違う。
紗也の服と言えば仕事では必ずスーツ。家では趣味のゲームに没頭する為のジャージが愛用着。お洒落とは無縁のファッション感覚だ。しかし、本田に渡されたのは、大人っぽくて大胆なのに、どこか可愛い――そんな服だった。
「ちょ、ちょっと待って。本田くん、これ短くない? 丈!」
「いやいや、今どき普通ですよ!」
「こんなの着たら、足が……!」
「だからいいんです!」
店員さんもにこにこと勧めてくるので、逃げられず試着室へ。
(どっ、どうしよう!? こんなの、本当に私が着ても大丈夫!?)
鏡の前でそわそわしていると、胸のドキドキまで聞こえそうで、自分でも混乱しておかしくなってくる。いつもの自分とはまるで違う、“女の子”の自分。
「……本田くん、あんまり、見ないでよ」
「いや、見なきゃ意味ないですから!」
本田の返事を聞きながらおそるおそるカーテンを開けると、本田の目がまん丸になった。
「……えっ!? 先輩っ、すごく、可愛いです」
「う、うそでしょ……?」
「いや、ほんと。なんか……ドキドキします」
「ほ、本当に?」
「はい! それに先輩、足めっちゃ綺麗です。あと……その、シルエットがすごく似合ってて」
「み、見るな、バカッ!」
ドキドキと恥ずかしさで大声が出てしまった。でも、本田は確かに褒めてくれた。頬が熱い。心臓が変な音を立てている。
(……私、こんな服で、こんな風に褒められたの、初めてかも)
「ちょっと、本田くん、そんな真顔で言わないでよ」
「だって本当のことですし」
「もぅ……!」
紗也は赤い顔で本田から目を逸らした。
この後、そのままの格好で、二人は夕食に出かけた。イタリアンの店でワインを少し飲んで、笑って、くだらない話をして。
帰り道、夜風が少し冷たく感じる。
「寒くないですか? そのスカート」
「う、うん……少し」
「じゃあ、俺の上着……」
「だめ。これ、あなたが選んだジャケットだから」
本田が少し笑って言った。
「ドキドキしてる感じの先輩、可愛いです」
「こ、こら! からかわないの!」
「いや、ほんとです。ちょっといたずらしたくなるくらい」
「……そんなこと言う子、嫌いです」
「じゃあ俺、努力するんで……いつか好きにさせてください」
その一言で、また顔が熱くなる。
「ばかっ」
ふと前を見ると、ラブホテルの看板が輝いていた。
――うわ、気まずい。
同時に立ち止まり、目をそらす二人。
「……こ、ここは……まだ、早いですよね」
「そ、そうだよ!」
一拍の沈黙のあと、二人とも吹き出した。
「今日はありがとう、本田くん。楽しかった」
「俺もです。じゃあ次は……もう少し攻めた服、いきましょう」
「ダメ! これ以上は心臓がもたない!」
「そうですか……でもゆっくり、服もゲームもレベル上げしていきましょう」
「ゲームの方は大歓迎!」
夜の大治町の風が、二人の笑い声を運んでいく。
ほんの少し距離が近くなった、その夜――紗也は胸の鼓動を抑えながら、“この服……また着てみようかな”と、こっそり思った。
- キャラクター プロフィール -
名前:岡田紗也
職業:家庭教師
好きな事:ゲーム
年齢:24
身長:155㎝(5'1")
体重:50㎏(110lb)
誕生日:8月7日
星座:獅子座
血液型:A型
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