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恋を運ぶみかんケーキ(三浦美咲)

旅館中居:美咲の恋愛模様

 三浦美咲は、愛知県蒲郡市にある老舗旅館で働く新米中居だ。


 高校を卒業してすぐに入社したばかりの十八歳。まだ失敗も多く、先輩に叱られることも少なくないが、それでも「お客様に笑顔で接すること」だけは忘れずに仕事と向き合っていた。


 その旅館で人気を集めているのが、地元産みかんを使った「みかんケーキ」。観光客にも好評で、売店で追加購入するお客様も多い。ケーキを届けてくれるのは、地元の小さな洋菓子店だった。


 毎週のように配達にやってくるのは、若きパティシエ・橘健太。まだ二十代前半ながら菓子製造の主任を務める。真面目で少し不器用そうなところがあるけれど、彼の笑顔はどこかあたたかく、気づけば美咲の胸を少しずつ占めていた。


「三浦さん、今日は新しい試作品もあります。お時間あれば、味を見てもらえますか」

「えっ、いいんですか? ありがとうございます!」


 包みを受け取るだけで、頬がぽっと熱を帯びる。 しかしそこから先、何を言えばいいのか分からず、ぎこちない笑顔を返すのが精一杯。 そんな美咲の様子を、同僚の先輩たちは見逃さなかった。


「美咲ちゃん、あんたあのパティシエさん気になってるんでしょ?」

「ほらほら、誘ってみなよ〜! ラグーナとか、一緒に行けば?」

「や、やめてくださいってば!」


 笑いながら茶化されるたび、美咲は慌てて否定する。けれど、まんざらでもない自分を自覚しているから、顔は真っ赤になってしまう。


 ある日の午後。ケーキを納品しに来た橘を前に、美咲はついに決心した。


(今日こそ、一歩を踏み出すんだ!)


「あ、あの……橘さん!」

「はい?」

「今度、一緒にラグーナに行きませんか?」


 橘の目が見開かれる。


「ラグーナ……って、プール!? えっ、その、水着ですか!?」

「ち、違います! 食事です! それにショッピングとか一緒に……」


 真っ赤になって慌てて否定する美咲。橘も「あ、そ、そういうことですか……」と耳まで赤くして笑った。お互い、バツが悪そうに視線を逸らす。その光景を見ていた同僚たちは、すぐさまにやけ顔で寄ってきた。


「美咲ちゃん、いいじゃん! 水着姿で誘惑しちゃいなよ〜」

「きゃー、青春だねぇ!」

「ちょ、ちょっとやめてくださいよ!」


 美咲は両手で顔を覆い、ますます赤面するしかなかった。


 ――初めてのデートの日。


 二人はラグーナ蒲郡のレストランで食事をし、イルミネーションを眺めながら土産物店を見て回った。


「三浦さん、こうして一緒にいると……なんだか旅館で会うときより自然ですね」

「そ、そうですか?」

「はい。普段は中居さんの制服姿だからかな。ちょっと距離を感じてたんです。仕事中だし、話しかけては迷惑かなって。でも今日の三浦さんは、本当に楽しそうで自然な感じで……見ててこっちまで嬉しくなります」


 橘の言葉に、美咲の心臓は跳ねた。


(……やっぱり、誘ってよかった!)


 別れ際、緊張しながらも「またお会いできますか?」と尋ねると、橘が少し照れたように「もちろんです。今度は僕の方から誘わせてください」と答えてくれた。その夜、美咲は布団の中で何度も転げ回りながら思い出を噛みしめた。


 数日後。約束通り橘のほうから声がかかった。


「もしよかったら……次は本当に、プールに行ってみませんか?」

「えっ……プール……?」


 美咲は一瞬固まった。


(み、み、水着!? 橘さんの前で!?)


 だが勇気を振り絞って答えた。


「……はい。楽しそうですね」


 旅館で同僚に報告すると、案の定大騒ぎになった。


「わー! やっぱりプール行くんだ!」

「今度はそのままホテルに泊まっちゃいなよ〜!」

「や、やめてくださいってば!! そんなの無理ですから!」


 美咲は両手をぶんぶん振り回して抗議するが、からかわれているうちに顔はまた熱くなっていた。


 ――二度目のデート。


 星がきらめく夏の夜、ラグーナのナイトプールは賑わっていた。美咲はドキドキしながら水着姿で姿を見せ、橘は目を逸らして耳まで赤くなる。


「す、すみません……似合ってます。その……すごく、可愛いです」

「や、やめてください、恥ずかしいです……!」


 ぎこちなくも一緒に流れるプールを歩いたり、波のプールではしゃいだり。最初は緊張していた二人だが、笑い合ううちに自然と距離が縮まっていった。


 休憩中、プールサイドで並んで座りながら、橘がぽつりと言った。


「三浦さんといると……不思議と落ち着きます。仕事の悩みも忘れられます」

「……私もです。橘さんといると、まだ少し緊張するけど……でも凄く安心できて」


 美咲は小さく答えた。心臓が早鐘を打って、視線を合わせるだけで胸が熱くなる。橘が真剣な顔で続ける。


「周りの皆さんにからかわれたりして……迷惑じゃなかったですか?」

「いえ……むしろ、そのおかげで今、こうしていられるので」


 美咲は勇気を出して微笑んだ。


「だから、よかったなって」


 橘は目を細め、やわらかく笑った。


「じゃあ……これはもう、周りに流されたんじゃなくて、僕たちの意思ってことで」

「……はい」


 そっと差し出された橘の手に、美咲は自分の手を重ねた。指先が触れた瞬間、胸の奥まで熱が広がっていく。橘が小声で続ける。


「……本当は、三浦さんの水着姿を見られて嬉しい反面……誰にも見せたくないって思いました。独り占めしたいくらいです」


 美咲は一瞬言葉を失い、耳まで真っ赤に染まった。心臓が跳ねる音が、夜の水面にまで響いてしまいそうだった。


「そ、そんなこと……」


 恥ずかしさに俯いたまま、それでも橘の指を強く握り返していた。 美咲は橘の顔を見る代わりに空を見上げると、プールサイドに灯るイルミネーションが揺らめき、二人の影を優しく包み込んでいた。

- キャラクター プロフィール -

名前:三浦美咲みうらみさき

職業:旅館中居

(ジャパニーズホテルスタッフ)

好きな事:ショッピング

年齢:18

身長:162㎝(5'4")

体重:50㎏(110lb)

誕生日:11月27日

星座:O

血液型:射手型


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