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彼女たちの恋模様 (高校生から大人の女性が主人公の恋愛、短編小説集)  作者: 田山照巳


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距離の処方箋(鶴田彩香)

薬剤師:鶴田彩香の恋愛模様

 愛知県あま市にある市民病院。その薬局の一角で、鶴田彩香は白衣の袖をまくりながら、患者に渡す薬の確認作業をしていた。朝の光が薬局の小窓から差し込み、棚に並んだ薬の箱を柔らかく照らしている。


「えっと……この薬、患者さんに説明する時って、やっぱり“朝食後”ってハッキリ言ったほうがいいですか?」


 ふいにかけられた声に顔を上げると、真剣な眼差しを向けてくる後輩の佐藤蓮が、手帳を片手に立っていた。表情はどこまでも真面目で、まるで一言一句も聞き逃すまいとするように、まっすぐな目で彩香を見てくる。


「そうだね。“食後すぐに”って言った方が伝わりやすいかな。患者さんって意外と“あとで飲もう”って思っちゃうから」

「なるほど……メモしときます」


 蓮は素早くノートにペンを走らせた。その動作にも迷いがなく、何度か見てきた彼の成長ぶりが、彩香の胸にふわりと温かなものを運んでくる。


 入職して三ヶ月。最初はやや頼りなげだったが、今ではしっかりと周囲に溶け込み、後輩ながらも信頼される存在になりつつある。何より、彼の真摯な態度と礼儀正しさ、そして不器用ながらも懸命に取り組む姿が、どこか放っておけなかった。


(年下なのに……ちゃんとしてるな。よく気が利くし)


 彩香はそんなふうに思いながらも、自分がどこかで意識してしまっていることに、最近ようやく気づきはじめていた。彼のまっすぐな瞳に向き合うたび、ほんの少し胸がざわめいてしまうのだ。


 仕事が終わる頃、二人は並んで薬局内の片付けをしていた。静かな時間の中、蓮がふと、照れくさそうに声をかけてきた。


「彩香さん、いつも指導ありがとうございます」


(えっ……? 彩香……さん?)


 その言葉に、手に持っていたボックスを思わず落としそうになった。普段の苗字での呼ばれ方から一転、“彩香”と呼ばれた名前に、思わず心が跳ねる。


「えっ……あ、うん。どういたしまして。あの、でも、あなたの指導は私の仕事だし……私にできることなら、何でもするし、教えるから」


 なんとか取り繕ったつもりだったが、自分でもわかるほど声が甘くなっていた。胸の内で何かがひそやかにきしむ音がする。意識しないようにしていた距離感が、ふいに揺さぶられた気がした。 そのとき、蓮が少しだけ間を置き、少し戸惑いながら口を開いた。


「じゃあ……一つ、お願いしてもいいですか?」

「えっ? 何か困っていることでもあるの?」


 真面目な表情が、どこか気恥ずかしそうに緩んだ。


「実は……明日、僕、誕生日なんです。誰にも言ってなかったんですけど」

「そうなんだ……! おめでとう」


 笑顔を返そうとした瞬間、続いた一言が彩香の胸を軽く突いた。


「もし良かったら……お祝いしてくれませんか? できれば……二人きりで」

「えっ……!?」


 ぽかんと口を開けたまま、彩香は言葉を失った。心の中で何かが弾け、軽い混乱とともに顔が熱くなっていく。 そんな彩香の反応に、蓮は少しはにかんだ笑みを浮かべた。まるで、いたずらが成功したときの子どものように。


「いや、無理なら全然いいんです。ただ……その……彩香さんと二人で過ごせたら、すごく嬉しいなって思って」


 頬をかきながら言葉を濁す蓮。その姿に、彩香の胸はきゅっと締めつけられた。


(……ずるい。そんな顔されたら、断れないよ)


 いつもは頼れる後輩。けれど今は、どこか年相応の素直さと不器用さが同居していて、それがやけに心に響いた。


「分かった。……何時に、どこ行けばいい?」

「え? いいんですか?」

「私、約束は守るタイプだから。行くって言ったら、ちゃんと行くよ?」


 にこりと笑って返すと、蓮の顔がふわっと明るくなった。その笑顔に、また胸が高鳴る。


「ありがとうございます……! じゃあ、明日の昼、駅前のカフェでどうですか?」

「OK。楽しみにしてる」


 そのやり取りの直後、薬局のガラス越しに帰り支度を終えた同僚たちが手を振ってきた。彩香も手を振り返しながら、心のどこかでまだふわふわとした感覚を持て余していた。


(“二人きりでお祝いしてほしい”なんて……ストレートすぎるよ)


 だけど、嫌な気持ちはしなかった。むしろ、胸の奥がじんわりと温かい。


 その夜、帰宅後。いつものようにゲームを起動するものの、どうにも集中できなかった。何度も同じステージで操作ミスを繰り返し、ついには笑い出してしまう。


(ダメだ……完全に気が散ってる)


 原因は、わかりきっていた。明日の約束。蓮の笑顔。あの声。 頭から離れない。胸の内で静かに芽吹いたこの気持ちは、もう見ないふりなどできない。


(“年下の後輩”って肩書きが、明日には違う意味になるかもしれない……)


 その予感は、どこかくすぐったくて、でも心地いい。薬剤師としての毎日では得られない、もっと個人的で、特別な何かが、今まさに心に処方されていく。


 それはまるで、じんわりと効いてくる優しい薬のように――彩香の心を、静かに、でも確かに温めていた。


- キャラクター プロフィール -

名前:鶴田彩香(つるたあやか)

職業:薬剤師

好きな事:ゲーム

年齢:25

身長:165㎝(5'5")

体重:56㎏(124lb)

誕生日:8月19日

星座:獅子座

血液型:AB型



・彼女のショートアニメ配信動画はコチラ↓

https://www.youtube.com/shorts/I0s0-23E2eI


・彼女のイラスト配信動画はコチラ↓

Ayaka Tsuruta Illustration Gallery #animegirl #AIart #kawaii


・彼女のイラストデータをこちら↓のサイト(SUZURI)で配信しています。携帯電話の壁紙等にご利用ください☆

https://suzuri.jp/teruru4040/digital_products/75491

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