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星空の下、もうひとつの灯り(遠藤佳代)

女性舞台監督:佳代の恋愛模様

「……嘘でしょ。なんで、あんたがいるの」


 愛知県豊根村の山奥にあるキャンプ場。舞台監督として日々走り続ける遠藤佳代にとって、ソロキャンプは心と身体をチャージする大切な時間。誰にも会わず、一人で自然と向き合うはずだったその夜、思わず口をついて出た言葉を、佳代はすぐに飲み込んだ。


 だが、驚きは隠しきれない。視界に入ったのは、テントを設営中の男――西村輝明。舞台照明のプランナーであり、かつて佳代が演出を手がけた小劇場公演で衝突した因縁の相手だった。


「よう、舞台の鬼監督さん。こんな山奥で再会とは、奇遇だな」


 にやりと笑う顔に、佳代は思わずため息をついた。


「悪運でしょ。まさか舞台照明の人間と、キャンプ場で鉢合わせるなんて」


 ――数年前の舞台で、西村は照明プランをめぐって一歩も譲らず、「そんなに全部コントロールしたいなら、ロボットにでも照明やらせろよ?」と吐き捨てた。自分もまた、正しさに固執していたから、真正面からぶつかって、空気は最悪だった。


 もう二度と会うこともないと思っていたのに――。


 結局、隣の区画だったこともあり、二人は渋々焚き火を囲むことになった。夕暮れの静けさのなか、炎の揺らぎに照らされながら、ハイボール缶のプルタブが静かに鳴る。


「遠藤、お前、酒飲めたっけ?」

「なんで呼び捨て?」


 ……沈黙。会話はぎこちない。


「じゃあ、佳代さん?」

「……ごめん、それは無理」


 今度はふたりとも、ふっと笑った。


「今の、ちょっと面白かったわ」

「そりゃどうも。評判の実力派監督さんに笑ってもらえたら光栄だ。で、飲むか?」

「強くはないけど……ありがと。雰囲気くらいは楽しみたいわ」


 西村から缶を受け取る。その手が、ほんのわずかに震えていた。火のあたたかさとアルコールのやわらかな感覚が、時間とともに緊張を溶かしていく。


「……そういえば、最近のお前の演出、評判だったぞ?」

「ありがとう。劇場も人も変わったけど……あの頃よりは、少しは丸くなったかな。思ってることが、ちょっとずつ形にできるようになってきたかも」


「いや、あのときの鬼っぷりときたら、伝説だったからな」

「うるさい」


 冗談を交わすこの空気が、妙に心地いい――そんなことを思ってしまうのが、少しだけくすぐったい。夜が更け、焚き火の灯りが静かに揺れる。空には、無数の星が広がっていた。佳代は、ふと顔を上げる。


「……こんなに綺麗に星が見えるなんて。どんな舞台照明でも、これには敵わないかもね」


 ぽつりと漏らしたその言葉に、西村が静かに応える。


「俺、本気で照明が負けてるって思うことがある」


 佳代は目を見開いた。


「頑固な照明さんにしては、意外なセリフね。何? 今さらあのときのことを謝って、演出家に媚び売っても無駄よ」

「違う。……山で見るこの星空を見て、毎回思うんだ。俺たちがどんなに光を操っても、自然の光には敵わないって」


(この人……そんなふうに思ってたんだ。……でも、わかる気がする)


 黙って顔を向けると、西村は空を見上げたまま、どこか寂しそうに笑っていた。


「……あのとき、お前とぶつかったのも、自分の技術に酔ってただけだった。周りが見えてなかった。ごめんな」


 胸の奥でくすぶっていた何かが、そっと溶けていくような気がした。自然の包容力のせいか、佳代もふだんなら言わないことを、つい口にしていた。


「……私も、あの頃は誰にも頼れなかった。全部、自分で背負わなきゃって思い込んでた」


 缶を胸元に抱きながら、焚き火を見つめる。ぱち、と薪がはぜる音が、夜の静寂に溶けていった。


 沈黙――けれど、それはもう気まずさではなかった。ふと目が合う。


(なに……この感じ)

(なんで俺、今こんなに心が揺れてるんだ?)


 そして、ほんの少しだけ、距離が近づく。


(え、ちょっと……なんで?)

(やばい、止まらない……)


 互いに言葉を探すより先に、唇がふれ合った。驚くほど自然で、やわらかなキスだった。触れた瞬間、時間が止まり、佳代は思わず身体を引いた。


「……なんで、今の……」

「たぶん、星と酒のせい」


 しばらく、静寂がふたりを包む。


「……そんなロマンチックなこと言わないでよ。照明でしょ? 役者ならともかく」

「いや、本気で思ったんだ。今の君は、焚き火に照らされて、すごく綺麗だった」


(ばか……)


 言葉が出ない。でも、顔は熱い。きっと火のせいじゃない。佳代は照れ隠しのように、西村から目を逸らした。


「これ……明日には忘れてくれていいから」


 そう言いながら、どこかでその言葉が本心じゃないと、自分でも気づいていた。西村は少し寂しげに、でも優しく笑った。


「忘れたくないって言ったら、だめか?」

「……」


 返事はできなかった。でもその夜、佳代はテントの中で胸に手を当て、何度も自分の鼓動を数えていた。そして、ぽつりとつぶやいた。


「……もう、何なのよ。ずるいよ、あんた」


 たった一晩の出来事。でもその記憶は、星空と同じように、佳代の心にいつまでも瞬いていた。

- キャラクター プロフィール -

名前:遠藤佳代えんどうかよ

職業:舞台監督

好きな事:キャンプ

年齢:30

身長:159㎝(5'3")

体重:50㎏(110lb)

誕生日:7月9日

星座:蟹座

血液型:A型


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