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心に灯る、小さな登山日和(和田綾子)

女子高校生:綾子の恋愛模様

 春の風が、登山口の木々を軽やかに揺らしていた。和田綾子は、小さく息を吐いて、登山靴の紐をきゅっと締め直す。


――愛知県犬山市、継鹿尾山。標高273メートルの、ちょっとした丘のような山。


 登山というより、綾子にとっては散歩の延長だった。ひとりで来て、黙々と登って、誰にも気を遣わずに下りてくる。そんな静かな時間が好きだった。


 けれど、今日は少しだけ違っていた。


「こんにちは。君が、和田さんとこの娘さん?」


 明るい声に、思わず肩がびくりと跳ねた。振り向くと、見知らぬけれど、どこか安心感のある青年が立っていた。黒のキャップにグレーのパーカー。リュックを片手に、軽く微笑んでいる。


「た、高橋弘人です。父から聞いてて。今日はよろしくお願いします」


 ――実は数日前、父の山仲間同士の会話で


「息子が軽く登ってみたいらしくてさ」

「なら、継鹿尾山がちょうどいいよ。うちの娘もよく行ってるし」


 と話がまとまり、気づけば綾子が“案内役”を任されていたのだった。まさか、本当にふたりきりになるなんて思ってもみなかったけれど――。


「あ……和田綾子です。よ、よろしく……」


 自分の声がかすれて聞こえる。男子とこんなふうに一対一で話すのは、たぶん初めてだった。


「じゃ、登ろっか。案内、よろしくね」


 彼のテンポに、少し戸惑いながらも、綾子はうなずいて歩き出す。春の山道には、つくしやスミレ、小さな芽吹きが顔を出していた。自然の中にいると、気持ちが少しずつほぐれていく気がする。


「この山、よく来るの?」と弘人。

「うん。家から近いし、登りやすいから……よくひとりで」


「ひとりで登山か。なんか、かっこいいな。俺は今日が初めて。山って、こんなに静かなんだね」

「うん、だから好き。私、人と話すのって、ちょっと……苦手だから」


 言ってから、しまった、と思った。正直すぎたかもしれない。でも、弘人はふっと笑って言った。


「俺も似たようなとこあるよ。友達と一緒にいると、気を使いすぎて疲れちゃうときあるし」


 思いがけない共感に、綾子の胸に小さな灯がともる。自分と同じような感覚を、彼も持っているのかもしれない。そう思ったら、不思議と足取りが軽くなった。歩きながらぽつぽつと会話が続く。好きな音楽、学校の話、将来のこと。たまに黙っても、不思議と気まずくならない。


「……ねえ、綾子ちゃん」


 その声に、心臓が跳ねた。下の名前で呼ばれるなんて、思っていなかった。


「え、え……?」

「ごめん。なんか、急に呼んでみたくなって。変かな」

「……べ、別にいいけど」


 顔が熱くなる。恥ずかしくて、少しだけ前を歩いた。足元の落ち葉を踏む音だけが、耳に残る。やがて、山頂にたどり着く。展望台からは犬山の街が広がっていた。市街地の向こうに犬山城がぽつんと姿を見せ、さらにその先には、かすかに鈴鹿山脈の稜線が霞んでいた。


「うわ……すごい。これは絶景だな」


 弘人がぽつりとつぶやく。綾子はその隣に立ち、静かにうなずいた。誰かと一緒に山の上に立つのは、初めてだった。景色は、いつもと同じはずなのに、なぜか今日は違って見えた。


「……この景色、ひとりで見るより、今日の方が好きかも」


 口に出してから、しまった……と思った。自分でも、どうしてそんな事を言ってしまったのか分からない。ただ、綾子のつぶやきに、弘人はやさしく微笑んだ。


「俺も。綾子ちゃんと一緒だったからかも」


 風が吹いた。木々がざわざわと揺れ、春の匂いが鼻先をかすめる。下山の途中、綾子は勇気を出して話した。


「……私、男子と登るの、今日が初めてだったの。上手く話せなくて、ごめんね」

「いや、全然。むしろ、俺こそ楽しかったよ。……また一緒に来れたら、嬉しいな」


 その一言に、胸が温かくなる。なぜか、ほっとしている自分がいた。


「……うん。私も」


 登山口に戻った頃には、午後の光が街に斜めに差し込んでいた。ふたりで軽く手を振り合って別れようとした、そのとき。


「……ねえ、綾子ちゃん。今度さ、犬山城下町、一緒に歩かない? カフェとか、食べ歩きとかさ」


 唐突な誘いに、綾子の思考が止まる。


 (え……デート……?)


 心臓が暴れるように脈打つ。気づけば、口が勝手に動いていた。


「……ごめん。山ならいいけど、それ以外はちょっと……」


 言ってから後悔した。違う、そうじゃない。そういう意味じゃないのに。


「そっか……変に誘ってごめん」


 弘人の顔に、ほんの少しだけ残念そうな色が浮かぶ。その表情が、綾子の胸を締めつけた。


「……ちがうの。えっと……その、山なら……また一緒に行きたいし……カフェも、その、後なら……」


 うまく言えない。でも、気持ちは本当だった。顔が熱くて、下を向いてしまう。


「そっか。ありがと」


 彼の声が優しい。綾子は顔を上げられなかったけれど、その優しさが胸に染みた。


「……じゃあさ、連絡先、聞いてもいい? また一緒に登るなら、必要でしょ」

「……うん」


 リュックからスマホを取り出す綾子の胸には、小さな灯りがともっていた。それはまだ「恋」と呼ぶには淡いものかもしれない。けれど確かに、彼女の心に灯った一歩だった。


 スマホを向かい合わせるふたりの間を、春風がそっとあたたかく吹き抜けていった。

- キャラクター プロフィール -

名前:和田綾子(和田綾子)

職業:高校生

好きな事:軽登山

年齢:16

身長:155㎝(5'1")

体重:44㎏(97lb)

誕生日:12月24日

星座:山羊座

血液型:B型


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