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卒業アルバムの片想い(松下麻衣)

中学教師:麻衣の恋愛模様

 冬の名残がまだ少し残る三月の校舎に、柔らかな午後の日差しが差し込み、港から吹き上げる潮の風と磯の香りが、麻衣の髪を優しく揺らした。中学三年の教室では、生徒たちが卒業アルバムに載せる寄せ書きの原稿を書き合っている。教室の空気は楽しげで、けれどどこか名残惜しさも滲んでいた。


「先生、これ見てください! こんなこと書かれちゃった!」


 生徒の明るい声に呼ばれ、松下麻衣は笑顔で寄り添った。愛知県南知多町のとある中学校。赴任して二年目の春、麻衣は初めて三年生の担任を任された。


 小さな町の中学校は、全校生徒は二百人程度。職員室もアットホームで、教師同士の距離も近い。だが、教師としての責任は日々重くのしかかってくる。1年間はあっという間に過ぎ去ってゆき、生徒たちはもうすぐ卒業を迎えようとしている。


「ふふ、みんな仲良しだもんね。きっと素敵な思い出になるよ」


 そう声をかけながらも、胸の奥には別の緊張が渦巻いていた。教室の扉の向こうに、彼の気配を感じたからだ。


「松下先生、アルバム用の写真データ、今日確認お願いできますか?」


 控えめに声をかけてきたのは、卒業アルバム制作を担当しているカメラマンの坂本亮介だった。彼が初めて学校に出入りし始めたのは冬休み明け。それから何度も顔を合わせるうちに、麻衣の心は次第に揺れ始めていた。


「あ……はい。職員室でよろしいですか?」

「ええ、大丈夫です」


 その落ち着いた声に、いつものように麻衣の心臓は小さく跳ねた。坂本は、決して多くを語る人ではない。でも、生徒の自然な笑顔を引き出すのがとても上手だった。カメラを構えるその姿には、どこか優しさと誠実さが滲んでいて、麻衣は知らず知らずに惹かれていった。


 職員室の隅に並んで座り、モニターに映る写真を一枚ずつ確認していく。生徒たちの屈託のない笑顔が次々と画面に現れる。


「やっぱり、すごくいい表情ですね。坂本さんの写真は、いつも自然で温かくて……」


 自分でも少し震える声に気づきながら、麻衣は言葉を続けた。


「ありがとうございます。でも、被写体が素直なんですよ。生徒たちは、見ていて飽きません」


 坂本は淡く笑った。そんなさりげない表情すら、麻衣には胸が熱くなるほど眩しかった。けれど、彼と話すたびに感じる微かな距離もあった。ふと視線を落とすときの沈んだ表情。その奥に、まだ癒えきらない何かがあるのだと、麻衣は感じ取っていた。


――少しの沈黙の後、麻衣は勇気を振り絞った。


「坂本さんは……いつからカメラマンになられたんですか?」


 不意な麻衣の問に、坂本は一瞬、遠くを見つめた。


「本格的に始めたのは、三年前です」

「三年前……?」


「ええ。その頃……結婚を考えていた人と別れたんです。色々あって。ずっと写真は趣味だったんですが、何かに夢中にならないと前に進めなくて……気がつけば、仕事になっていました」


 坂本は苦笑したが、麻衣の心は静かに締めつけられた。やはり、彼の心にはまだ過去の影が残っている。けれど、それでも彼のことを想わずにはいられなかった。あたたかな笑顔も、寂しげな横顔も、全部愛おしかった。


(私……坂本さんの事、やっぱり好きなんだな)


 麻衣は言葉にすることができない思いを押し込める様に、机の下でぎゅっと手を握り締めた。


――卒業式当日がやってきた。晴れ渡る春の空の下、体育館には厳かな空気が流れていた。生徒たちは皆、少し大人びた表情で座っている。麻衣は壇上から、誇らしくも切ない思いで生徒たちを見つめていた。


「ご卒業おめでとうございます」


 拍手が湧き上がる。その中で、麻衣の目はふとカメラマン席へと向かった。坂本がファインダー越しにこちらを見ていた。目が合った瞬間、彼はほんのわずかに微笑んだ。


 胸がきゅっと締めつけられた。こんなふうに見つめ合うのは、もう何度目だろう。けれど、今日で最後かもしれない――そんな思いが麻衣の胸を苦しくした。


 式が終わり、撮影も無事に終わった夕方。生徒たちは笑い声を残して帰っていき、校庭は静まり返っていた。麻衣は一人、咲き始めた桜の蕾を見上げていた。


「松下先生」


 後ろから聞こえた声に振り返ると、坂本がゆっくりと歩いてくるところだった。仕事を終えた安堵の表情。その目に、迷いと決意が入り混じっているのが分かった。


「今日で一区切りですね」

「……そうですね。1年間、バタバタであっという間でしたが、ここまでくるとやっぱり、寂しいです」


 風が静かに二人の間を通り抜ける。沈黙が降りたその瞬間、坂本がゆっくりと言葉を紡いだ。


「先生……」


 麻衣は胸の高鳴りを抑えきれず、そっと唇を噛んだ。


「正直に言うと……ずっと迷っていました。まだ前の恋を引きずっている自分が、誰かを好きになっていいのか分からなくて。でも……あなたと話しているうちに、心が少しずつほぐれていったんです」


 坂本の声が震えているのが分かった。そんな彼を見つめる麻衣の頬にも、熱いものが込み上げる。


「私……坂本さんと話す時間が、いつも楽しみでした。あなたの優しさに、何度も励まされました」


 目の奥がじんわりと滲んでいく。けれど、嬉しくて、切なくて、苦しくて――今までに感じたことのない温かな涙だった。


「もし……もし先生が迷惑じゃなければ、これからは……あなたの笑顔を、僕が写真に残していきたいです」


 不器用な告白に、麻衣はもう堪えきれず、ぽろぽろと涙をこぼしながら、ゆっくりと頷いた。


「……お願いします。私も、坂本さんのそばにいたいです。坂本さんの専属モデルになれたら嬉しいです」


 柔らかな春の風が、二人の間をそっと撫でた。今日という日が、卒業と共に始まる新しい一歩となった。

――これは、卒業アルバムに静かに記された、小さな恋の始まりの物語だ。

- キャラクター プロフィール -

名前:松下麻衣まつしたまい

職業:中学教師(国語)

好きな事:バドミントン

年齢:23

身長:155㎝(5'1")

体重:52㎏(114.6lb)

誕生日:7月22日

星座:蟹座

血液型:B型


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