リースに込めた最後の想い(田沢里穂)
イベントスタッフ:里穂の恋愛模様
愛知県一宮市のあるイベント会社。秋の風がビルの谷間をすり抜けて、街路樹の葉をそっと揺らしている。
里穂は、舞い上がる落ち葉をぼんやりと見つめていた。イベント会社に入社して三年目。今日は朝から妙に胸がざわついていた。社内の打ち合わせで「特別な発表がある」と通達されていたからだ。
――妙な不安が現実となるまで、そう時間はかからなかった。
「実は私、川島はこちらにいる女性と結婚することになりました」
川島――。直属の上司のその言葉が耳に届いた瞬間、里穂の心臓は強く跳ね、次の瞬間にはぎゅっと締めつけられるような痛みが胸を走った。周囲が拍手に包まれ、温かな祝福の空気が流れている中、里穂だけが時間の外に取り残されたように感じていた。
(そんな……)
川島は、穏やかで、優しくて、でも芯の強い人だった。新人の頃から、困っていると必ず気づいて声をかけてくれた。緊張してミスをしたときも、責めることなくフォローしてくれた。そのたびに、胸の中に静かに灯る想いを育んできた。上司と部下という関係をわきまえ、心に秘めてきた気持ちだったけれど、いつしかそれは簡単には抑えられないほど大きくなっていた。
川島の隣には、華やかで洗練された雰囲気の女性が微笑んで立っていた。モデルのように整った顔立ちと、品のある佇まい。誰が見ても、川島には彼女が似合っている。
(あの人なら、川島さんにふさわしい――)
そう自分に言い聞かせたけれど、胸の奥の苦しさは消えてくれなかった。打ち合わせが終わった後、川島がふいに里穂に声をかけてきた。
「田沢さん、ちょっといいかな?」
「……はい」
声を出すのも少し苦しかった。
「実はね、結婚式で使うリースを手作りにしたいと思っていて。君、ガーデニングが趣味だって前に言ってたよね? センスもいいし、ぜひ君にお願いできないかな」
一瞬、心臓が止まりそうになった。結婚式のリース――それは新郎新婦の幸せを象徴する特別な飾り。二人の未来を彩るそのリースを、自分が作るというのだ。
断れば、この痛みから逃れられるかもしれない。けれど、それ以上に、彼との最後のつながりさえも失ってしまう気がした。
「……わかりました。心を込めて作ります」
張り裂けそうな胸の内を悟られないように、精一杯の笑顔を浮かべた。
その日から、里穂はリース作りに没頭した。休日も、仕事帰りも、花屋や市場を何軒も回った。秋らしい色合いを意識して、色づく葉、ドライフラワー、柔らかな蔓を集める。仕入れた花材を一つひとつ丁寧に並べ、試作を重ねた。
(このリースに、私の想いを込めよう。でも、それは誰にも知られてはいけない。誰の迷惑にもならないように)
作業をしながら何度も自分に言い聞かせた。リースの輪は永遠の幸せを象徴する。でも、自分はその輪の外側にいる――その現実をかみ締めながらも、手を動かすことはやめなかった。
作業中、何度も心が揺れた。ふとした瞬間に川島との思い出がよみがえる。初めて褒められた日のこと、ランチを奢ってくれた日のこと、仕事帰りにたわいもない会話を交わした日のこと――どれも小さな思い出だけれど、里穂にとっては宝物だった。
ある日、川島がアトリエ代わりにしている会議室へリース制作の様子を見に来た。
「わあ……本当に綺麗だな」
「ありがとうございます」
「無理してない? 忙しいのに…」
「大丈夫です。植物に触れていると気持ちが落ち着くので」
それは本当だった。けれど今回の作業は、癒しと痛みが背中合わせだった。指先を動かすたびに、胸の奥がきゅっと締めつけられる。それでも、作業は止めなかった。
「やっぱり、君にお願いして良かったよ。田沢さんって本当に優しい人だな」
その言葉が、刃のように胸に刺さる。優しい人――本当は、ただ諦めが悪いだけなのに。
そして式の前日、ついにリースは完成した。直径50センチの輪に、秋の深まりを感じさせる色彩が広がる。柔らかなオレンジと深紅、黄金色の葉、優雅に絡む蔓、そして静かなアクセントとしてあしらった白いカスミソウ――それは川島の穏やかな笑顔を思い出しながら選んだものだった。
(これで、本当に最後にしよう)
完成したリースを見つめながら、そっと目を閉じる。込み上げる涙が、静かに頬を伝って落ちた。
(もう、想っていても仕方がない。私は、私の未来を歩かなきゃいけない)
苦しい。でも、涙は止まらなかった。むしろ流れるままに、心の中の想いを洗い流すように泣き続けた。
翌日。結婚式当日。里穂は、朝早くから会場にリースを届けた。披露宴会場の入り口に飾られた自作のリースは、秋の日差しを受けて優しく輝いていた。幸せを祈るために編んだその輪が、今はまるで自分の別れの儀式のように感じられた。
式が始まり、川島が新婦と並んで入場してくる。華やかな拍手の中で微笑み合う二人は、まるで映画のワンシーンのように眩しかった。
(もう、終わりにしよう――)
胸の奥から声が響く。もうそこにいるのは辛すぎた。そっと席を立ち、会場の外に出た。披露宴会場に併設されたガーデンでは、秋の風が優しく吹き抜け、リースに使った蔓と似た葉がくるくると空を舞っていた。高く澄んだ空は、まるで新しい季節の始まりを告げているようだった。
(ありがとう、先輩。お幸せに)
里穂は、涙を流しながらもそっと微笑んだ。これが、彼への最後の恋心だった。
- キャラクター プロフィール -
名前:田沢リホ(たざわりほ)
職業:イベントスタッフ
好きな事:ガーデニング
年齢:21
身長:162㎝(5'4")
体重:56㎏(123.5lb)
誕生日:9月30日
星座:天秤座
血液型:O型
このサイトでは可愛い女性キャラクター(AIで生成)のイラスト・動画・エピソードを紹介しています。是非、あなたの「推し」を見つけてください!
・彼女のショートアニメ配信動画はコチラ↓
https://youtube.com/shorts/tAZlDLmiivo
・彼女のイラスト配信動画はコチラ↓
https://www.youtube.com/shorts/f5vHKec3A1I
・彼女のイラストデータをこちら↓のサイト(SUZURI)で配信しています。携帯電話の壁紙等にご利用ください☆
https://suzuri.jp/teruru4040/digital_products/60593




