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■2024年12月13日
「人魚の涙は真珠になる? 冗談。あんなのが目から出てきたら、涙腺が痛くなっちゃうわ。真珠はね、私たち人魚が一個一個、アコヤ貝に芯を入れて養殖してるのよ。大変でね、養殖技術を確立するまでにどれだけの苦労が……」
と人魚は泣き出した。
成る程。やはり真珠は人魚の涙で出来ているらしい。
お題・海
■2024年12月13日
人魚の涙は真珠になりました。え、そんなの嘘っぱち? 涙が真珠になる生き物なんているはずない。いやいや、人魚は実在したさ。ただ昔にいなくなっただけ。その証拠に、人魚の鱗は海の波となった。人魚の歌は渡る風となった。人魚の真珠? そいつは海を湛えた青く大きな星になったのさ。
お題・海
■2024年12月14日
「うい~、まだまだハシゴするぞお」
といって課長は飲み屋の軒先で寝てしまった。いつもこうだ。飲み会になると、ハシゴするぞハシゴするぞと無茶な飲み方をして。結局は酔い潰れる。ついたあだ名が、ハシゴで寝転ぶから「ハシゴネコ」。
だから僕らは課長を放置して、「去ぬ」ことにした。
お題・ハシゴネコ
■2024年12月14日
天才の友人が妖精数学なるものを解明したという。これは大偉業で、なんたら賞も確実だとか。で、それってどんなの? と訊くんじゃなかった。
「さらりとした粘液の緑がふわふわでオッピロピー係数は」
何言ってるのか、さっぱり分からない。妖精の数学の前に、まるで妖怪の使う国語のようだ。
お題・妖精数学
■2024年12月14日
近未来、人類の滅亡は不可避となった。こうなれば仕方ない。せめて人類がいたという証拠を詰め込んだ、語り部ロケットを外宇宙へ打ち上げよう。
そう大統領が提案すると、反対意見が出た。なのに強行してしまう。
語り部ロケットは打ち上がったが、末代までの語り草だと不満も吹き上がった。
お題・語り部ロケット
■2024年12月14日
俺は魔王を倒した!
「よくやった、だが
……」
虫の息の魔王は玉座をまさぐる。
「何だ?」
「いや、玉座に城を崩壊させるスイッチがあるんだけど。さっきの戦いで故障したみたいで」
確かにスイッチは俺の剣の跡がある。
「もう台無しじゃんか! 城を壊したかったのに、我の計画を壊しやがって」
お題・屋台崩し
■2024年12月15日
友人にそういう趣味があるのは知っていたが、勤めだしたというので女装カフェへ行った。すると、可愛い子ばかりで、中は男だから話も弾む。まさに男の理想郷だと浮かれていたら友人。自分はまだ可愛さで勝ててない。まるで西部劇のガンマンのような顔。
なるほど彼らに女装は荒野の厳しさなのか。
お題・荒野の女装
■2024年12月15日
「やべー女を好きになっちまった」
友人は女の趣味が悪い。
「破滅願望がある奴でさ。何度も自殺未遂をやってるし。こないだは俺も心中に巻き込まれかけた」
という友人は全身包帯だらけだ。
「けど、そんなトコが可愛いんだよな」
「お似合いじゃないか。お前は好みがやべーくらいに破滅してるから」
お題・やべー奴
■2024年12月15日
科学者の父は、ロボットのパイロットである息子に機械の部品を手渡した。
「このダーク歯車を付けることで、ロボットの性能は数倍に跳ね上がるぞ」
だが息子は怪訝そうな表情。
「数倍って、どんな理屈なんです?」
「それは私にも分からん。ダーク歯車の中身はブラックボックスだからな」
お題・ダーク歯車
■2024年12月15日
今宵は今年最後の満月、コールドムーン。コンビニへ散歩がてら、冬の月見も一興と思ったら。空は重い曇天、ちらほら雨まで降ってきた。
おかげで興醒め、体も冷めた。月が見えないとは、ツキがない。
お題・コールドムーン




