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■2024年5月14日
両親は幼い頃に離婚。私は父について行った。大人になり、母と会おうとしたら断られた。
「別れる時、娘の泣き声が忘れられなくて」
代理人の伝言。そうだっけ? 結構、けろりとしてた記憶があるんだけど。
「今でも殺してやる、という恨み声が聞こえるんです」
ねえ母さん、それ誰の声?
お題・声が離れない
■2024年5月14日
旅好きの皇帝は、旅路で公務をするため玉璽を持ち歩いていた。ところがある日、その玉璽が盗まれた。盗まれたのは方便で、実は皇帝自身が紛失したという説もある。
後に、皇帝を名乗る偽物が出ることはなかったものの。今も玉璽は旅の途中。見つかってはいない。
お題・旅璽
■2024年5月15日
「必ず戻ってくる」
戦地へ赴く前に夫から、せめて笑顔で見送ってくれと頼まれた。だから精一杯の笑顔でいたというのに。
戻ってきたのは戦死届のみ。遺骨や遺品のひとつもなかった。
あれから私は笑うことができないまま。きっと南方の島に置き去りとなっているのだろう。
お題・笑顔でさよなら
■2024年5月15日
好きになった人は親友の恋人だった。この恋は叶えたい、けど親友を失いたくもない。苦悩している内に、親友は恋人と別れた。すると私の恋人も消え失せる。代わりに親友が新しく作った恋人を、また私は好きになってしまった。
そんなことが、既に十回目。果たして私は誰が好きなのだろう?
お題・失恋の天秤
■2024年5月15日
魔法局はある日、凄まじい攻撃魔法を開発した。範囲内にいる生物の体内に爆薬を生成し、内部から破壊するという術だ。しかし効果は覿面であったが、あまりの残虐さに禁術となる。
なにせ内臓を爆破する様に、自分もああならないかと、術者の肝が冷える。
お題・臓爆
■2024年5月15日
親の決めた結婚相手は透明人間だった。妻の顔を私は見たことがない。
けど思いやりのある人で、何だかんだ穏やかな家庭を築いてしまった。
昔からの友人は気の毒だなんて言うが、とんでもない。妻の顔は見れないが。代わりに、まさか自分がこんな団らんの光景を見れるようになろうとは。
お題・目に見えない婚約者
■2024年5月15日
「見ろ、何やかんやあって街中のゾンビが浄化されてゆくぞ!」
「ゾンビが浄化されると……どうなるんだ? どのみち腐った死体だろう」
「良い感じの腐り方をするんじゃね?」
「つまり……発酵?」
「酒臭くなってきた」
「ああ、お浄めといえば酒だからな」
「今度は酔っ払いの群が襲ってきたぞ!」
お題・ゾンビの浄化
■2024年5月15日
「うわあ、こないだの投稿にインプレゾンビが大量発生してる」
「バズったもんなー。まあ大活躍だったから」
「ゾンビを生み出す悪の研究所、単独で破壊するのを実況中継!」
「で、今度は閲覧数を稼ぎたい奴らがゾンビのごとくわいてくる」
お題・インプレのゾンビ
■2024年5月16日
尻驚なる人物あり。あまりの美しい尻の噂は天下に轟き、知らぬ者はいなかった。しかし面白くないのは本人。何せ自分の尻は見えないのだから。
ところが世の平穏を乱すとして斬首を命じられる。この理不尽に大人しく従う尻驚。首を切られて、頭だけで死ぬ間際。ようやく自分の尻を見て驚けたそうな。
お題・尻驚
■2024年5月16日
リストラに親の介護で、田舎に出戻る。そこで高校の頃に付き合っていた彼女と再会した。何でも男に騙されて、出戻ったらしい。
「どうして私らフェードアウトしたんだっけ?」
話の流れで再び付き合うことに。
「もう嫌なことは忘れよう!」
多分、今から始めるために過去があったんだろう。
お題・ここから始める