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■2024年10月11日
わが家で冬は暖炉と決めている。暖炉の上には、様々な神像が並ぶ。南洋の奇怪な神、東の龍、自己犠牲の聖者。金で集めた。どれも厚い信仰を受けてきた、精巧な神像だ。
それを暖炉に焼べる。歴史も信仰も芸術も、均しく灰燼に帰する。
その様子を見ていると、いつか自分も灰になると安心するのだ。
お題・信仰を燃やす
■2024年10月11日
突然変異した人類、ミュータントは差別と迫害を受けた。その中でミュータントが取った進化は、可愛くなることだった。
小っちゃく愛らしいミュータントに、人類は手を出せない。いつしか人類の常識は変えられ、共存の未来が拓かれるようになった。
「もうさ、ミュータントという言葉が可愛いよな」
お題・みゅ~たんと!
■2024年10月12日
ソシャゲを始めた。どうやら地形を擬人化しているらしい。その中でも地平線の擬人化キャラに目を引かれた。よし、この地平線ちゃん目当てにプレイしよう。
だが、いつまで経っても手に入らない。気付けばSNSに溢れるのは、地平線ちゃんの入手報告ばかり。
地平線だけに、入手は遙か彼方ってことか。
お題・地平線ドロップ
■2024年10月12日
王いわく、文字とは心の種らしい。紙は土で、書物は畑。やがて人々の心に実を結ぶ。
といって国中から残らず集めた書物を焚いた。本を焼いた炎はまるで大輪の赤い花だと、美しいものを見るように。
そこへ本を焼かれた学者作家たちの涙が雨と降り注ぐ。これでまた種が芽吹くと王は笑った。
お題・本の花
■2024年10月12日
テレポートしたら全裸だった。即座に悟る。服を転移しなかったのだ。仕方ないので、服のある場所まで戻るしかない。全裸のまま、人目を忍んで進む。ああ、どうして服はテレポート能力を持ってないのよ。
と怨み言で一杯になり、服の元へ再度テレポートすれば良いと気付いたのは、戻った直後だった。
お題・服テレポート
■2024年10月12日
騎士の家を継ぐのが嫌で、魔法使いとなった。しかし戦争が起きて徴兵される。
戦場では魔力が尽きても戦わないといけない。だから実家で学んだ剣を持つ。魔法はいざという時にしか使わない。危ないから鎧兜も身につける。
気付けば皆から戦士様と称えられ、誰も魔法使いと信じてくれなくなった。
お題・戦う魔法使い
■2024年10月13日
いつも静かな日曜の朝が、どこかざわついている。そうか、今日は祭りか。
地元の秋祭りに山車などの派手なものはない。ただ神輿が家々を回る。すると祭りへ行く人や、神輿の先触れを告げる子供たちで、何でもない往来が賑やかになる。
うちへ来るのはいつになるかな? と晴れた高い空の下を眺めた。
お題・秋祭り
■2024年10月13日
インターネットにインチキ情報が溢れかえった結果、専門家の意見が重視されるようになった未来。動画サイトは専門家のチャンネルだらけになった。すると今度は、誰がちゃんとした専門家なのかが分からなくなる。
「そこで誰が権威ある専門家なのか、紹介するチャンネルを作ったわけ。専門家として」
お題・専門家チャンネル
■2024年10月13日
「王子として私は男爵令嬢と結婚する。公爵令嬢との婚約は破棄だ!」
そばの男爵令嬢が苦い顔をする。この魔女の呪いで、私はじき操り人形となるだろう。
だが婚約破棄などというバカをやれば、王位継承権も破棄されるはずだ。後は兄上に任せよう。
願わくば公爵令嬢が、あまり悲しまないように。
お題・自分破棄
■2024年10月13日
我が能力はアンデッドマスター。不死なる者を支配する。
けどこの世に不死なんて存在するわけもなし。ゾンビ? あれは死体が動いてるだけで、「死なない」わけじゃないでしょ。リッチも吸血鬼も滅びないわけじゃない。
まあ人間、能力に頼ってなんかいないで。自分の人生を全うするのが一番よね。
お題・アンデッドマスター




