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■2024年10月9日
本の中には色んな世界が詰まってる。未知の密林、荒海の冒険、人なき雪原。
人の想像力のように、世界はたまに本から溢れ出す。すると本棚は大変だ。
本から生えた蔓が根を張り、流れた水が滝となり、羽ばたいた鳥が種を運んで、気付けば一個の生態系だ。
僕はその様子を観察して、一冊の本にした。
お題・本棚世界
■2024年10月9日
朝六時起床。まず窓を開ける。朝食は決まってトーストと目玉焼きにコーヒー。一年365日、ずっと毎日だ。
君がいなくなってから、僕も随分と料理が上手くなった。君がいないから、教えられた通りの日々を過ごしてるよ。そうすれば、君とまだ一緒にいるような気がして。
けどコーヒーはまだ下手かな。
お題・perspective
■2024年10月9日
「闇属性に攻撃魔法?」
「こう、ブラックホールとか、影の中に入るとか」
「そいつは空間系だなあ。闇属性魔法なんて視界が暗くなるだけだよ」
「えー、例えばダークアタックみたいな名前の」
「ダークアタック……闇討ち?」
「印象悪ぅ」
お題・闇属性の攻撃魔法
■2024年10月10日
「最近、秘密結社に入ってさあ」
「え、何やるとこ?」
「それは秘密なんだけど。いや、そこの動画チャンネルにはまってさ」
「秘密結社も動画やるんだ……けど、はまるということは、それだけ面白いんだろうな。俺も見てみたいから、アドレスを教えてよ」
「いやそれは秘密なんだ。秘密結社だから」
お題・秘密結社ラジオ
■2024年10月10日
唐突に愛の告白をされた。しかし様子が変だから問い詰めると、前世で僕と彼女は夫婦だったらしい。
転生勇者といい、この世にそういうのが実在するのは知っている。妄言でもなさそうだ。
「だからと恋愛感情まで前世に引っ張られなくても」
「あ、好きだったのは前世の記憶が蘇る前からです」
お題・前から好き
■2024年10月10日
近頃、冒険者ギルドが閑散としている。新人がいないのだ。たまに志望者がいても、有望なら騎士団や魔術師団が人材をかっさらってしまう。
酒場でくだを巻いてると、騎士団長と魔術師団長に絡まれた。これも良い機会だと思い切り愚痴る。
すると反撃を食らった。
「初心者がいないの、初めてか?」
お題・冒険者初心者
■2024年10月10日
少子化と言うことで、この小学校にいる小学生は僕一人きりとなった。そもそも世界に小学校はここしかないので、他の小学生もいない。
先日、自分も小学生になりたいと抜かすガキが来たので、叩き返してやった。あまり小学生を舐めてもらっては困る。こちとら小学生やって半世紀の達人だぞ。
お題・本格的小学生
■2024年10月11日
妻が家具屋で組み立て式の棚を買ってきた。「うんざり棚」という。
組み立ててみると、ともかくネジが多い。一ヶ月経っても、まだ完成しない。
なかなか棚が作り上がらないのを、妻は愚痴る。
「早くしてくれない?」
こんな物を買ってきた自分の責任を棚に上げて、ああウンザリする。
お題・うんざり棚
■2024年10月11日
カフェでバイトを始めた。しかしここ、やたらと別れ話をしてるカップル客が多い。
どうしてなのか、店長に聞いてみたが。苦いコーヒーと一緒なら、涙も飲み込めるのかもね。
とはぐらかされる。けど私はやはり、ミルクも砂糖もいっぱいの、甘いコーヒーの方が良いなとしか思えなかった
お題・別れ話カフェ
■2024年10月11日
村から若者が勇者に選ばれた。皆に見送られ、魔王討伐の旅に出る。
若者には好きな女性がいた。子供の頃、結婚しようなんて約束したり。
けど彼はいつ帰ってこれるか、帰れるかも分からない。仮に村へ戻ったとしても、彼女は他の男と家庭を持っているだろう。
全て飲み込んで彼女は若者を見送る。
お題・勇気ある者の旅立ち




