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■2024年5月12日
磁気嵐による低緯度オーロラが話題だが。近所の宝くじ屋にもオーロラが出ていた。
「これは当たるという、めでたい証拠なのかね?」
「まあ、既に運を使い果たした気もしますが。ははは」
などと店員と軽口を叩く。
果たして私は宝くじが当たったらしい。今や我が家にオーロラが出ている。
お題・宝くじのオーロラ
■2024年5月12日
「大乱闘する某ゲーム、新しく出たヤツが面白すぎて依存してしまい社会問題になってるらしいね」
「全く最近の若いのはゲームなんぞ夢中になりおって。やるなら酒か博打かに来まっとるだろう」
「いいや、薬物だぜ!」
「なんだとぅ」
「やるか?」
「依存症の内容で大乱闘するのはやめたまえ!」
お題・大乱闘依存症患者
■2024年5月12日
宝物庫など、人を立ち入れない前提の建築は古来より「鍵設」という。ある時、鍵設の名人がいた。彼に惚れ込んだ皇帝は国の財を尽くして、宝物庫を作らせる。結果、国は貧窮により滅んだが。
宝物庫の中にどんな宝があるのか。さもなけば貧しくなったからと、何もないのか。誰も入ったことはない。
お題・鍵設
■2024年5月13日
通勤途中、交通整理の人が手旗を振っている。
「信号でも故障しました?」
「実は信号が五月病で」
僕も五月病で憂鬱なんだ。そういうこともあるかな。
横断歩道を渡ろうとすると、手旗で止められる。
「あなたも五月病なので、こちらへ進んでください」
そちらは行ったことのない道。それも良いか。
お題・五月病の信号
■2024年5月13日
「今度の新バーガーはどうだ!?」
「田舎で珍しいからと続けて来られただけでさ。店長って味オンチじゃん。もう無理だよ。せめてさ……」
「うるさい、安くて美味いチェーン店なんかに負けるか。次だ!」
「うわ、新しいハンバーガーで話を挟み込んできた」
お題・悪あがきハンバーガー
■2024年5月13日
ドライブで夜の海岸をデート。自然といい雰囲気に。
「私だけをずっと見つめていてね」
「もちろんさ」
と次の瞬間、彼女から顔を背ける。そして夜風で冷えたか、大くしゃみ。
思わず二人で笑ってしまった。申し訳なく僕は謝罪する。
「それで目を離しちゃったけど。また君を見つめてもいい?」
お題・見つめたままでいて
■2024年5月13日
「自分を助けてくれた人を逆に恨んでしまう、あなたは心の病です」
「じゃあ、アイツは私に何もしなかった?」
「調べましたが、良いお友達で」
「でも、どうして私がこんな病を持つようになったんだ……そうか! 全てはアイツが悪い!」
「だからさぁ」
お題・友恨症
■2024年5月13日
「大臣、儂はダイエットするぞ」
「良きお考えで御座います、王よ」
「そのために民を総出でカロリーカット食品を作らせるのだ。研究のために富をいくら使っても構わん。逆らう者は監獄行きじゃ」
「王は……既にカロリーの奴隷となられていたか」
お題・低カロリーの王様
■2024年5月14日
どんな色の火がつくかわからない蝋燭。
「ハッピーバースデー」
ケーキに刺して火をつける。
「わ、不思議」
食卓がオーロラのように彩られる。お互い年を取ったもんだ。
幻影に揺らいで、蝋燭の本数もあやふやになる中。老いて病気に弱った妻の顔も、若かりし頃のように見えた気がした。
お題・サイコロのロウソク
■2024年5月14日
「やはり多様性の現在、特殊性癖のひとつやふたつで差別するのは間違ってるよな」
「全くその通り。ただ俺のメイドさんのヘッドプリムから出汁を取って味わうと性的に興奮するというのは普通なんだけど」
「そうそう……いや、話の流れでニッチなエッチを正当化しようとするな」
お題・ニッチな正当化