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■2024年9月28日
「なんで進学するかって?」
担任の先生は遠慮ない言い方で人気がある。
「レールを敷かれた人生なんて言うけどね、先人の用意してくれたレールに乗れば早く目的地に到着できるんだよ」
ただ、すぐ人を自分の思い通りに乗せようとするのが玉に瑕だ。
「まずは教職課程のある大学で免許を取り……」
お題・レール先生
■2024年9月28日
人類は初め楽園に住んでいた。泉からは乳と蜜が溢れ飢えることのない地。
だが働くことを知らぬ人類は、乳と蜜の溢れる泉の管理を怠った。結果
「泉の乳が腐ってる? くっさ!」
と、楽園にいられなくなって逃げ出した。神が追い出すまでもなく。
以来、人は働かずに食えなくなったとさ。
お題・堕落の楽園
■2024年9月28日
「バナナはおやつに入らない」
バナナ軍とおやつ軍とで結ばれた不可侵条約により訪れた、束の間の平和。しかしバナナ軍の電撃侵攻で平和は打ち破られる。
「だからバナナは条約を曲げると言ったでしょう! バナナのように」
「奴らは何と言っている」
「チョコバナナはおやつだから問題ないと」
お題・不可侵バナナ
■2024年9月28日
我が家は皆、帰る時間がバラバラだ。夕食も玉突き式に一人ずつ取ることになる。
その日は家族みんな大好きな酢豚。なのに僕は部活で帰るのが遅くなってしまった。大皿に残るのは脂身ばかり。
「酷いよ、姉ちゃん」
「我が家はビリヤード式に食べると分かってたでしょ。ビリはラードを食べるのみよ」
お題・ビリヤード夕食
■2024年9月29日
寝不足の男が病院にやってきた。
「眠れなくて羊を数えてたら、止まらなくなって」
「それは羊中毒ですね。多いんですよ」
「どうやったら治りますか」
「なに簡単。羊以外のものを数えれば止まります」
と男は山羊が一匹、というとスッキリした顔になる。
「これで安心して眠れます。羊でも数えて」
お題・羊中毒
■2024年9月29日
不動産屋に入ると、店員が空手着だった。
「押忍、空手不動産にようこそ!」
「じ、実は新築の家を建てようと思って」
意外なことに、土地探しの相談は丁寧にやってくれた。空手着以外はマトモだ。
「じゃあ、ここで契約したいのですが」
「押忍。ですが当方、空手形で経営差し止め中であります!」
お題・空手不動産
■2024年9月29日
未来。金持ちが貧乏人から寿命を買い取るようになっていた。ある時、齢数千才の金持ちがインタビューを受ける。
「やはり若い内にやりたいことはやっておかないと、年取ってから後悔が残りますからね」
ハタチそこそこで寿命を迎える庶民たちは怒りで暴動を起こした。
お前が言うな、と。
お題・時間格差社会
■2024年9月29日
「満月は嫌いよ。私に手の届かないものがあると夜空に思い知らされるから」
「だったら月なんて見れない分、新月の方がまだマシかな」
「ええ、新月の方が私は好きね。手が届くから」
と彼女はポケットから、淡く輝く珠を取り出してみせた。なるほど、だから今宵は空に月がないのか。
お題・ハンズフリー新月
■2024年9月30日
皆で湖畔のキャンプ。誰かが言い出した。
「ヤギを釣ろうぜ!」
すると
「ヤギは嫌だなあ」
「私はヒツジがいい」
「そもそもヤギが釣れるのか?」
「それって環境破壊にならない?」
「牛肉が好き」
「釣りよりゲームしようぜ」
「ああ、うるさい。もういっそ、ヤギもヒツジもめいめいでやれ!」
お題・山羊釣り
■2024年9月30日
聖女は世界で唯一、邪を払うことが出来る。彼女は魔王討伐の旅の中で護衛の騎士に恋をした。
彼は聖女に一目惚れをした。以来、必死の努力により護衛騎士となる。
だがこれは救世の旅。魔王討伐まで己の気持ちを明かすわけにはいかない。
結論、彼女らは最終決戦において、互いを庇って死ぬ。
お題・君のためなら




