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■2024年9月6日

広告が月見バーガーばかりになっていた。

「どうする?」

友人から昼食に誘われるが、まだまだ暑い。油っぽいものは構わないかな。

「冷やし中華か、ざるそばかな」

九月になっても、秋の風情にはなれない気温。今は月見は様子見かな。


お題・月見バーガー



■2024年9月6日

「どうぞお座り下さい」

「まさかこの椅子は!?」

「世界樹から作った椅子ですよ。まずは麓にあるエルフの村を焼いて皆殺し。大樹ゆえ切り倒すだけでも三年かかりましたが。なにせ手入れのしてない木材。椅子として加工するのに適していませんでした」

「道理で座っていて、据わりが悪い」


お題・世界樹の椅子



■2024年9月6日

「黒いイカロス? あの昔話のイカロスが闇堕ちでもしたか」

「ああ、イカロスは空を飛ぶことを諦めた」

「闇堕ちだな」

「それで他の趣味を持とうと釣りに出かけたが、釣り上げた獲物に墨を吐きかけられたんだ」

「それってイカです?」


お題・黒いイカロス



■2024年9月6日

貴族の結婚では、家を象徴する杖を当主から婿に手渡す。このバカ男、可愛い娘を誘惑しやがって。杖で殴ってやろうか。一瞬、力が入ったのを見抜かれたか、妻に肩を叩かれる。


それで思い出した。自分も入り婿で最初は義父に結婚を反対されたものだ。自分もこの杖で殴られかけていたのかもしれない。


お題・入り婿の杖



■2024年9月7日

「ニュース見たぞ。直木賞候補おめでとう、おまえんちのポチ」

「いやあ、まさかあの時の捨て犬が小説を書けて、しかも名作としてバズるとはなあ」

「吾輩が本当に犬だとは」

「こうなったら、受賞できるかな?」

「もちろん犬だからな。ナンバーワンに決まってる」


お題・ノミネートと犬



■2024年9月7日

十歳になると全国民は魔力測定を受けなくてはならない。村にも測定官が来た。僕は15。なかなかじゃないかと大人が褒める。


けど幼馴染みの女の子は180。周囲は驚き、僕は忘れられる。きっと都から迎えが来るだろう。


好きな女の子に僕も、おめでとうと言った瞬間。もう子供でなくなったと分かった。


お題・成人の儀式



■2024年9月7日

夏も終わり、夜の冷え込みで朝ともなると草葉に露がつく。


と思ったのも束の間。昼にもなると、また真夏並みの猛暑。天気予報は無慈悲な月間予報を伝える。いつになれば暑さが終わるんだ。


労働で額にかいた汗は、白露となって蒸発した。


お題・白露



■2024年9月7日

この地域は大きな木材が乏しい。代わりに竜の墓場があり、竜の骨から船が造られる。


ある船大工見習いは初めて、小型艇なら独力で造っても構わないと許された。舫い綱を解くと、完成した船はふわりと浮く。竜は空を飛ぶもの、竜骨の船も空を行くのだ。


成功に見習いは歓喜する。彼の独り立ちは近い。


お題・竜骨の船



■2024年9月8日

「また前衛的な形をしているな」

箱の中に入っているジャガイモは全て同じ大きさだった。大きさだけではない。全て正確な立方体をしている。農作物とはいえ生き物。それがこうも人工的だと気味悪さを覚えた。

「でこれが何の役に立つ?」

「輸送が規格化されます」

「前線への軍の後方支援か!?」


お題・前衛的ジャガイモ



■2024年9月8日

顔と背丈と年収が僕と付き合うことにした理由らしい。けど彼女のわがままについて行けなくなった。僕は別れ話を切り出す。大泣きする彼女。

「どうして私たち、いつからこんなふうになったんだろうね」

それは最初からじゃないかな。


結局、君は僕を愛してなんかなかったのだし。


お題・いつから

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