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■2024年8月4日
「万能の鍵」はあらゆる扉を開くことが出来る。神々の秘宝の中でも最も危険なものだ。
異世界との壁、邪神の封印、秘められた進化の可能性。何でも開ける。
今は地下深く幾重もの鉄板岩塊によって埋められ何者も開くことはできない。
そう、誰かが内側より、当の「万能の鍵」でも使わない限り……。
お題・最後の鍵
■2024年8月5日
看護師さんが上体を起こしてくれる。今日は夏祭り、夜からは花火大会だ。窓を揺らす爆音が届く。
死にかけて長期入院。今はリハビリの日々を送っていた。そういえば花火は送り火が由来と聞いたことがある。
どうやら自分はまだ、そちらへは行けないようです。窓から小さく見えた花火に手を合わせた。
お題・花火が見えた
■2024年8月5日
旅人に謎を出すスフィンクスは砂漠で産まれたから雨を知らない。
「雨を降らす雲なーんだ」
「雨とは何だ。空から水が降る? 雲とは何だ。空に浮かぶ?」
「もしかしてスフィンクスは雨も雲も知らない?」
「知っておるわ。砂嵐の日は空が隠れて砂粒も」
「それは雨降りではなく、知ったかぶりです」
お題・スフィンクスと雨雲
■2024年8月5日
お勉強がんばりましたねシール?
あら良いわね。これでウチの子も勉強するかしら。
と思ったのに。どれだけ塾へ行かせても成績が上がらない。それもこれもアンタの努力が足りないからよ。このクズ、怠け者!
と罰を与えていたら口答えされた。
「もう、そういうレッテル貼りやめてよ!」
お題・育てるシール
■2024年8月5日
僕は自分を完璧主義者だと信じていた。けど、完璧なんて通じるのは自分の知る範囲内だけ。他人まではコントロールできない。
というわけで昨日、クラスの女子に告白されて困っている。どう返事しよう。
そもそも、なぜ彼女は僕へ好意を持ったのか。情報不足ではある。まずは完璧なリサーチをせねば。
お題・完全なる知恵
■2024年8月6日
村の四方は砂漠に囲まれ、外へ出た者はいない。けど時折、商人が来ては外の物を持ってくる。あんな、か弱い生き物でも砂漠を渡れるんだ。いつか自分も旅に出たいな。
「流刑地は安定しています。ただ外界に興味を持った若い個体が」
「再教育か処分頼むぞ。もう二度と魔族どもを自由にはできん」
お題・閉じられた村
■2024年8月6日
ハーレムというと、相手をよりどりみどりに思えるが、人間関係もある。そこで平等になるよう、夜の相手はサイコロで決めていた。
だが同じ相手ばかり選ばれる。嫉妬した妃は宮中へ忍び込む。そこで見たのは、イカサマサイコロの数々だった。
「何よ、これなら好きな出目をよりどりみどりじゃない!」
お題・サイコロハーレム
■2024年8月6日
あちーあちーと言いながら帰宅。網戸にしていた窓を閉め、すぐクーラーを入れた。しかし窓を開けていられないのだから、そりゃあ風鈴も廃れるよな。
昼からは疲れたので、涼しい部屋で軽く昼寝する。聞こえるのはクーラーの低い音のみ。もしかして、これが現代における涼風の音なのかもしれない。
お題・現代の風鈴
■2024年8月6日
山と海しかない田舎者にとって、初めての広島は都会だ。果てまで続く綺麗な町並みに、はしゃいで広々しているねと言うと。連れは
「いっぺん全部壊れて、ブルドーザーで均したからだな」と答えた。
町並みの向こうに、焼け野原が見えた気がした。
お題・原爆の日
■2024年8月6日
英雄が神様から、お前を星座にしてやろうと言われた。するとこの英雄、少し欲張りだった。星座になるなら、たっぷり星を使って下さい。夜空はとっくに星座だらけで使える星は残りわずか。銀河の端っこでも構わないか。
と英雄も了承したが、銀河の端っこは遠くて、地球から星座は小さく見えたとさ。
お題・小さな小さな星座




