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■2024年8月2日
駆け落ち同然に家を出た。新天地での慣れない貧乏暮らし。苦労も多かったが、燃えるような恋だった。
今では収入も安定、子供もできて、親とも仲直りしている。だから不安になる。この安心感は愛なのか。
たまに全てブチ壊してしまいたくなる。そんな不安と戦う日々を、私は愛と呼ぶことにした。
お題・恋愛中毒
■2024年8月3日
魔法による兵站、そして食料問題の解決はずっと研究されてきた。
転移魔法も量と距離は無限ではない。その場でパンが生成されないか。
一応、それなりのパンは作られたが、ひたすら不味い。魔法使いは生涯かけて美味いパン作りに取り組んだ。
結果、やはりパン職人に任せた方が効率的となった。
お題・魔法のパン
■2024年8月3日
夏の果て。盆前を目の前に、ちょうど今頃は暑さの伸びも落ち着き、夏の終わりが垣間見える……。
……というのが嘘だろ、という熱中症警戒アラート。昨日より今日、今日より明日はもっと暑いと天気予報。
屋外に出ただけで命の危険を感じる。こんなの、夏の果てじゃなく、もう世も末だろ。
お題・夏の果て
■2024年8月3日
初めてのレストラン。メニューに苦手なピーマンが入っている。そこでシェフにチップを渡しながら頼んだ。
「ピーマン抜いてくれない?」
「その符号……貴様『組織』の人間か!」
いきなり銃をつきつけられた。慌てて弁解する。
「申し訳ありません。では『調理』させてもらいます」
恐い恐い。
お題・シェフの気まぐれ裏金
■2024年8月3日
エリートたちに家庭料理を作らせたところ、てんでダメだった。なぜなのか調査すると、学問学問でロクに家で食事も取れない生活だったか。金持ちで親は料理など作らない環境だったとわかる。
つまり家庭料理の作り方を見たことがない。過程を知らなかった。
お題・正解率5%の家庭料理
■2024年8月3日
エビの体を半導体に置き換えた、エビのサイボーグを作ってみたよ。
しまった! エビは海中でしか生きられないから、電気回路が海水でショートしてしまった。
ああ、半導体のエビが半死半生の体に。
お題・半導体のエビ
■2024年8月3日
ある百手巨人ヘカトンケイルは全てを得ようとした。そのために手は増え、千手、万手となり、遂に世界手となる。
しかし結局自分は何も手に入らぬと悟った巨人は嘆くと、身は大樹、手は枝になった。それが今の世界樹だ。
だから世界樹の葉は、手の平の形をして、今でも空を掴もうとしているのさ。
お題・世界樹/手
■2024年8月4日
真夜中、クーラーが寒くて目が覚めた。トイレへ行くと、どこからか蝉の声に、オリンピック中継の音がする。
気温計を見ると、確かに少し下がりすぎていた。昨日までと同じ設定温度だったんだけどな。
もしかして夜は少し涼しくなっているのかもしれない。ま、どうせ昼は猛暑のままなんだけど。
お題・夜の秋
■2024年8月4日
分量を間違え、鍋一杯にカレーを作ってしまった。仕方ないので夫の皿は山盛りにしておく。
「どうしたの山盛りで」
「普段からの感謝よ」
もしかして妻に浮気がバレたかもしれない。カレーがあからさまに大盛りだ。
「いやあ愛情がこもってるから、何杯でも食べられるな」
うぷっ、胸焼けしそう。
お題・山盛りの苦し紛れ
■2024年8月4日
営業では外回りの間、サボってないかGPSで監視されることになってしまった。すると自分は間が悪いのか、ガミガミ怒られるようになった。
その点、同僚のnはいつ、どう監視されているのか先読みして、効率良くサボっているらしい。
あいつは上司受けするにはどうするかの、立ち位置が上手い。
お題・褒められる位置情報




