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■2024年7月24日
n君に告白された翌日、人から呼び出された。
「私だってn君が好きなのに。アンタみたいな奴に!」
可愛い娘だ。眼はぱっちり、オシャレで、明るそうな。まるで私の理想像。
n君が他の女に告白した。背が高く、切れ長の目をして、賢そうな。まるで私の理想像。
ああ、私がああだったらいいのに。
お題・理想像になれなくて
■2024年7月25日
夏休みに入り数日目。町で級友のF美さんと出会った。
「偶然」
と挨拶したら、笑顔で手を振ってくれる。夏らしいワンピースで、制服とは違う格好にどきりとする。
彼女はそのまま男性と雑踏の中へ消えて行く。え、誰そいつ。
ただせめて、そんな警戒心の薄い服は止めた方が良いんじゃないかなあ。
お題・羅
■2024年7月25日
勇者が魔王を倒した場所は聖地となり、かつては観光で栄えた。しかし今ではすっかり寂れている。
そこで異世界知識のある俺がラーメン屋を始めた。するとこれが大当たり。ラーメン目当ての客が来るようになり、村はラーメン屋台が並ぶ。
観光客はこう噂した。
「あそこはラーメンマニアの聖地だよ」
お題・聖地ラーメン
■2024年7月25日
惑星衝突による地球の危機はなぜ起こっているのか。観測の結果、星々とは大いなる何者かが使う計算機の一部だと分かった。しかし計算機だとすれば、何を計算するために。さらなる研究で遂にその答えが判明した。
「5の数が繰り上がったところへ、ちょうど地球があるようです」
「そろばんかよ!」
お題・星々の連なり
■2024年7月25日
「月刊オリジナル! 毎号、世に二つとない独特なものをあなたへ!」
「取り寄せしてみるか」
「届くのは、89月、うさぴょん月、紫ヶ竜牙月になります」
「結局いつになるんだよ」
「月刊オリジナルですからね。月の名前も勝手に考えましたよ」
「金返せ」
「さらに返金には応じないという独創性!」
お題・毎月オリジナル
■2024年7月26日
昔怪談をやったから、今日は幽霊の日らしいが。太陽が照りつき、そんな涼やかな雰囲気などカケラもない。
道路の向こうは、熱気で陽炎が揺らめく。ちょうど君もこんな暑い日に亡くなってしまったけれど。せっかく幽霊の日なのだから、あの陽炎の中に立ってたりしていないかと期待してしまう。
お題・幽霊の日
■2024年7月26日
倉庫から大昔の国語の教科書が出てきた。
「サイタ、サイタ、サクラガサイタ」
後は軍国主義な内容なのは時代柄。これに比べたら息子の教科書は洗練されたものだ。
サクラの子供だから、いや歴史の結実だから、令和の教科書はサクラの次。サクランボみたいなものかな。
咲いたサクラは果実になった。
お題・国語サクランボ
■2024年7月26日
ねっとりしたポーションが開発された。いつまでも喉に残り、飲み込みづらい。まず、逆さにして振っても、なかなか瓶から出てこない。
しかし効果は抜群。大勢の重傷者を死から救った。
どうしてこんなに効果があるのだろう。尋ねると開発者は答えた。
「そりゃあ、コイツが粘り強いからよ」
お題・ねっとりポーション
■2024年7月26日
鉛筆で真っ黒に塗られた絵に消しゴムをかける。すると黒の下から、白鳥が飛び立った。どんどん消すと、ウサギが、シロクマが、羊が、白くなった紙から次々に出て来る。
最後に、とうとう世界は一面、雪の白銀に覆われてしまう。寒くてたまらない。しまったな。今度は白を消す、消しゴムを探さないと。
お題・消しゴムの白鳥
■2024年7月27日
その昔、流行病で大勢が亡くなった。そんな中、誰かが言い出した。村外れの大木には不老不死のエルフがいる。じっと我らを看取っている。
当時は意味が分からなかったが今なら分かる。何事も成せず孤独に死ぬのが恐いのだ。だから老いた私は村の皆へ優しい嘘をつく。
あそこにはエルフがいるんだよ。
お題・不老不死のエルフがいる




