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■2024年7月22日
抜け殻を見つけて、やっぱり今年の夏も蝉はいたのだと知る。
暑過ぎると蝉も熱中症になるらしく、最近の夏は静かなものだ。代わりに朝夕に鳴き声がするけれど、それでは夏という気がしない。
蝉のいない炎天。風情も何も置き去りにした、まるで夏の抜け殻のようだ。
お題・空蝉
■2024年7月22日
「あなたのスキルは中級槍術です」
「へえ、それは悪くないな。何の努力もなしに最初から、そこそこ槍を使えるんだろ?」
「ただし一生、中級のまま。どれだけ研鑽を重ねても上級になれることはありません」
「と言われてね。なにくそと、一から剣術を始めたのさ」
「それが今や世界一の剣聖ですか」
お題・大器晩成のスキル
■2024年7月22日
逞しい人が好きだ。なので、君みたいに線の細い人はタイプじゃないのよね。なのに毎日毎日、私に好きだ付き合ってくれと告白してはフラれ、いちいち傷つき、でも翌日にはまた告白してくる。
このやりとり、もう何年になるのよ。そろそろ諦めてもいいのに。
本当にタフなやつね。
お題・もっと逞しい人が好き
■2024年7月22日
あの神様は星を常に明るくしたくって、東西をなくしてしまった。すると残った南極北極の寒気が地上を覆い尽くす。今じゃ生きる物なき氷の星さ。
東西南北の方向をなくしてしまうなんて、信じられないね。あの方は迷走ばかり。まず神様に向いてないんじゃないかな。
お題・凍った東西
■2024年7月23日
「昨日も酷い暑さだったな」
「もう、あれで限界だぞ」
「今日はさらに上がるんだと」
「まじか。どうすんだよ。仕事できねーぞ」
「どうすると言われても……」
「まあカレンダーを見ても……」
「対処のしようがない」
「大暑で仕方がない」
お題・大暑
■2024年7月23日
雇用の流動化が叫ばれる昨今。キャリアが液状化していると聞いたことはないだろうか。
管理職になっても責任が重くなるだけで給料が増えるわけではない。しかし最初の一歩を滑らせたが最後、底なし沼に足を取られ沈むのみ。
キャリアの階段は今や登るものではない。滝のように落ちて溺れるものだ。
お題・液状化した階段
■2024年7月23日
「忘却の聖女」か。彼女は慈悲深く、民が苦しむ姿を見ていられなかった。そこで苦痛をなくす奇跡を起こす。奇跡により苦痛を忘れた者は、どんな怪我や病気をしても平気で動けた。果ては死ぬことも忘れて動けるようになる。
だから死を忘れた、アンデッドと呼ばれるんだよ。あのゾンビどもは。
お題・痛みをなくす祝福
■2024年7月24日
オリンピックの新種目、それは「呼吸法」だった。スター選手の登場により人気爆発。メジャースポーツとなった。
呼吸法は応援も熱烈だ。熱が入りすぎて、とうとう酸欠で倒れるファンが出た。
大会後、選手たちは注意する。
「呼吸法の応援をし過ぎて、自分たちが呼吸するのを忘れてはいけないよ」
お題・呼吸法応援歌
■2024年7月24日
新入社員なんだからと、今年もスーパーの店先でウナギを焼く係となった。また汗と煙でドロドロになるのだ。
次の新入社員が入ったらと願うが。先輩から、いやー新入社員がウナギ焼きさせられるの有名だからな。来るかどうか、と言われた。
今時、ウナギも新卒も絶滅危惧種なんだから大事にしろよ。
お題・スーパーのウナギ焼き
■2024年7月24日
都会の水属性魔法使いはウォーターカッターとかいう術を使うらしい。どんなのか知らないから、独学で開発することにした。
結果できた、水を切る魔法。水面に映った月を切ったのが最初。今じゃ水をサイコロ状に切ったり、海を割って歩くこともできる。
しかしコイツをどう攻撃に使うんだろうな?
お題・ウォーターカット




