261~270
■2024年6月28日
「大臣、魔王討伐の支援継続に口添えありがとうございます!」
頭を下げる冒険者。
「構わんよ。儂もな、昔は魔王討伐のため戦った身だ」
「じゃあ、戦う辛さが分かるから」
「いや。諸君もこれから魔王を討伐でもすれば陞爵。未来の大臣だ。今のうちに味方は作っておかねばな」
と笑う元勇者だった。
お題・勇者大臣
■2024年6月28日
揺れるカップの中を見て気付いた。ブラックのコーヒーには、星もない夜のとばりが溶け込んでいる。だから飲むと眠くならないのだ。身のうちに夜を取り込むから。
以来、眠りたくない日は夜の冷気を肺いっぱいに吸い込み、焙煎された香りを楽しむようにしている。
お題・夜のコーヒー
■2024年6月28日
結婚する際、彼女は告白した。自分は相手を束縛しがちだと。けど、それはいけない。結婚するからには互いに公平でないと、と説き互いに納得した。
それからというもの彼女の束縛癖が出ないか。僕は彼女をずっと見張り、人知れず周囲の人々にも干渉している。
だって彼女を永遠に離したくないからね。
お題・束縛したい
■2024年6月29日
豆屋の前に予言者がやってきた。
「ここの倉庫に万年に一粒、伝説のラッキー豆がある。食べず大事に持っていれば億万長者になれるぞ」
それは大変だと店主が倉庫へ駆けつけるも、在庫は既に和菓子屋へ運んだ後。
饅頭を食べながら店主は嘆く。
「ラッキー豆が餡子になるとはアンラッキーな」
お題・アンラッキー豆
■2024年6月29日
彼の騎士には家伝の盾があった。しかし広く分厚く、とても常人に扱える代物ではないと陰口を叩かれた。
ある日、領に賊が入る。迎え撃つ騎士が持つのは例の盾。四方からの攻撃を軽々と払い、賊どもを打ち倒す。そして騎士は呵々と笑った。
「賊どもめ。己が身で知ったか、我が家に盾突くこの重み」
お題・重い盾
■2024年6月29日
口論喧嘩が起こらないよう、ネット上の発言は全て、AIで柔らかく加工されるようになった。現実の顔もホログラムで笑顔がかぶせられる。
それが恐い。仮面の裏で、お世辞の影で、どう思われているのか。
……という笑顔恐怖症が社会問題となっています。今日の特集番組(と笑顔の司会者)
お題・みんなで覆面
■2024年6月29日
私の下宿に彼を連れ込んだ。
「終電があるから帰らないと」という彼に
「今夜は帰らないで」
背後から抱きしめたのが決定打。夜のゴールイン。
以来、コイツは自宅へ帰ろうとせず、私のヒモと化した。
「パチンコ代くれない?」
ああ、くそっ。
「パチンコに行ったまま、もう帰らなくていいから!」
お題・今夜は帰らないで
■2024年6月30日
誰に聞いたか知らないけどね。私のことを死人も蘇らせるとか、万病も治す神の薬師とか呼ぶ奴もいるみたいだけどね。冗談じゃない。私ゃ単に病状に合った薬を出してるだけだよ。治らない時は普通に死ぬ。
それを詐欺師とか騙したとか。もうウンザリだ。帰っとくれ。バカに塗る薬ならないよ!
お題・希望の薬師
■2024年6月30日
せっかく用意した茅の輪だったが連日の大雨。神社への人出は芳しくない。今は小雨になっているのが幸いなくらい。午後からは、また本降りの予報になっている。みな、洪水への不安ばかり口に出していた。
手をウチワに重い湿気を扇ぎつつ。厄と一緒に雨雲を払ってくれないか、と夏を期待するのだった。
お題・夏越の祓
■2024年6月30日
「仮面花」という植物がある。全世界の神話において、仮面のルーツとされている花だ。その名の通り大きな花弁は顔を覆うほどあり、仮面として使える。むしろ仮面こそ、この花を模して作ったと言えよう。
では古代人たちはなぜ、花を顔に付けたかって? そりゃあ花だからね。異性を引きつけるためだよ。
お題・仮面の花




