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■2024年6月28日

「大臣、魔王討伐の支援継続に口添えありがとうございます!」

頭を下げる冒険者。

「構わんよ。儂もな、昔は魔王討伐のため戦った身だ」

「じゃあ、戦う辛さが分かるから」

「いや。諸君もこれから魔王を討伐でもすれば陞爵。未来の大臣だ。今のうちに味方は作っておかねばな」

と笑う元勇者だった。


お題・勇者大臣



■2024年6月28日

揺れるカップの中を見て気付いた。ブラックのコーヒーには、星もない夜のとばりが溶け込んでいる。だから飲むと眠くならないのだ。身のうちに夜を取り込むから。


以来、眠りたくない日は夜の冷気を肺いっぱいに吸い込み、焙煎された香りを楽しむようにしている。


お題・夜のコーヒー



■2024年6月28日

結婚する際、彼女は告白した。自分は相手を束縛しがちだと。けど、それはいけない。結婚するからには互いに公平でないと、と説き互いに納得した。


それからというもの彼女の束縛癖が出ないか。僕は彼女をずっと見張り、人知れず周囲の人々にも干渉している。


だって彼女を永遠に離したくないからね。


お題・束縛したい



■2024年6月29日

豆屋の前に予言者がやってきた。

「ここの倉庫に万年に一粒、伝説のラッキー豆がある。食べず大事に持っていれば億万長者になれるぞ」

それは大変だと店主が倉庫へ駆けつけるも、在庫は既に和菓子屋へ運んだ後。


饅頭を食べながら店主は嘆く。

「ラッキー豆が餡子になるとはアンラッキーな」


お題・アンラッキー豆



■2024年6月29日

彼の騎士には家伝の盾があった。しかし広く分厚く、とても常人に扱える代物ではないと陰口を叩かれた。


ある日、領に賊が入る。迎え撃つ騎士が持つのは例の盾。四方からの攻撃を軽々と払い、賊どもを打ち倒す。そして騎士は呵々と笑った。

「賊どもめ。己が身で知ったか、我が家に盾突くこの重み」


お題・重い盾



■2024年6月29日

口論喧嘩が起こらないよう、ネット上の発言は全て、AIで柔らかく加工されるようになった。現実の顔もホログラムで笑顔がかぶせられる。


それが恐い。仮面の裏で、お世辞の影で、どう思われているのか。


……という笑顔恐怖症が社会問題となっています。今日の特集番組(と笑顔の司会者)


お題・みんなで覆面



■2024年6月29日

私の下宿に彼を連れ込んだ。

「終電があるから帰らないと」という彼に

「今夜は帰らないで」

背後から抱きしめたのが決定打。夜のゴールイン。


以来、コイツは自宅へ帰ろうとせず、私のヒモと化した。

「パチンコ代くれない?」

ああ、くそっ。

「パチンコに行ったまま、もう帰らなくていいから!」


お題・今夜は帰らないで



■2024年6月30日

誰に聞いたか知らないけどね。私のことを死人も蘇らせるとか、万病も治す神の薬師とか呼ぶ奴もいるみたいだけどね。冗談じゃない。私ゃ単に病状に合った薬を出してるだけだよ。治らない時は普通に死ぬ。


それを詐欺師とか騙したとか。もうウンザリだ。帰っとくれ。バカに塗る薬ならないよ!


お題・希望の薬師



■2024年6月30日

せっかく用意した茅の輪だったが連日の大雨。神社への人出は芳しくない。今は小雨になっているのが幸いなくらい。午後からは、また本降りの予報になっている。みな、洪水への不安ばかり口に出していた。


手をウチワに重い湿気を扇ぎつつ。厄と一緒に雨雲を払ってくれないか、と夏を期待するのだった。


お題・夏越の祓



■2024年6月30日

「仮面花」という植物がある。全世界の神話において、仮面のルーツとされている花だ。その名の通り大きな花弁は顔を覆うほどあり、仮面として使える。むしろ仮面こそ、この花を模して作ったと言えよう。


では古代人たちはなぜ、花を顔に付けたかって? そりゃあ花だからね。異性を引きつけるためだよ。


お題・仮面の花

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