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■2024年6月26日
教祖は後悔した。信者を増やせとは言ったが、増えすぎだ。増殖した信者は全世界の大陸から溢れ、とうとう海をも埋め尽くしだした。このままだと信者の山で大気圏を突破し、月軌道にまで積み上がるのも近くないだろう。
きっと宇宙は我が聖なる教えに満ちて滅びる。こんな天国のような地獄があるとは。
お題・僧職の増殖
■2024年6月26日
「上京したら立派になって迎えに帰る。そうしたら結婚しよう」と約束した彼女から、結婚式の招待状が届いた。二人の約束はどうなったんだ。
仕方なく式に出席する。すると新郎新婦の紹介が始まった。
「新郎は立派になったら迎えに行くと約束し……」
なるほど、約束したのは一人じゃないらしい。
お題・ふたりの約束
■2024年6月27日
「チェーホフの銃というのがあってね。あっ、銃といってもピストルではなくライフルらしいんだけど。私はピストルが好みかな。格好いいよね。で壁に銃がかかっていたら、後のストーリーに。まあ壁ではなくても、机に置いてても良いんだけど。やっぱり壁かな」
「銃の話なのに、的を射ない話だなあ」
お題・おはなしピストル
■2024年6月27日
「今日の仕事も安全行動で行こう!」
「指差し確認ヨシ!」
「今月の安全標語は防塵防フラグです」
「なんだそれ」
「まず防塵マスクの着用。そして事故に繋がる危険な行動は避ける、ということです」
「なるほどな。ところで俺、今日の仕事が安全に終わったら、嫁さんと外食するんだ」
「おいやめろ」
お題・防塵防フラグ
■2024年6月27日
せっかく建造した転移門だが、すぐ近くにしかワープできない。
「どうすんだよ。大量の魔力を使って、この距離とか」
「うるせえ。俺は悪くない。第一、お前らこそ無能だから!」
「近くにしか転移できないからって、身近な人間に責任転嫁するのはやめろよな」
お題・手間のワープゲート
■2024年6月27日
喫茶店にて。
「閑古鳥が鳴く、て奴すね」
「梅雨だから仕方ないよ。こういう時はお気に入りのジャズを流しながら、コーヒーでもいれて待つさ」
「そういや閑古鳥って何の鳥か知ってます?」
「カッコウだっけ」
「客が来なくて暇だからと、そんな格好つけなくても」
お題・梅雨の閑古鳥
■2024年6月27日
私の中で良心とエゴが裁判をしていた。
「さすがにn子の男を寝取ったのはやり過ぎたかな」
「でもムカついたしー」
判決は無罪。だいたい浮気する男も、浮気させるn子も悪いよね。
けど、ひとつだけ反省。つまりは私が可愛過ぎるのが悪い。ああ、美しいって罪だわ。
お題・私裁判
■2024年6月28日
「俺は絶対に口は割らねえぜ」
「そこで秘密道具、正直ハンマー! 正直ハンマーで殴られた人は絶対に嘘をつけなくなるんだ」
「いや単なる金槌じゃねえか。まだ値札がついてるぞ。何が秘密道具だ。指を固定された。やめてやめて恐い恐い。喋りますから、お願いします、許して」
お題・正直ハンマー
■2024年6月28日
今日は統計上、雨の確率が多いとされる、雨の特異日。
私は別に梅雨が嫌いではない。雨の日の過ごし方があると思っている。けど今年は空梅雨で、そうした生活ができないと落ち込んでた。
でも今日はさすがに雨が降ってきた。私はそそくさと音楽に本に、用意をする。私は雨の過ごし方が得意なのだ。
お題・雨の特異日
■2024年6月28日
会社の急な出張で予約する暇がなかった。飛び込みで入った宿だが、なかなか風情がある。
「一泊50ゴールドになるぜ」出迎えてくれるのは太ったオヤジ。
一階は酒場になっていて、荒くれ冒険者が飲んだくれている。
昔ながらの風情を残す良い旅館だ。ただ寝たのが馬小屋の藁の上だったのは勘弁かな。
お題・旧態依然宿屋




