211~220
■2024年6月17日
「超豪華夜行バスの旅?」
「車内でディナーやワインも出て」
「車酔いしそう」
「壮麗な内装を、一人で貸し切り」
「バスの意味~」
「そんな素晴らしいバス、夜に隠れて走ってたら勿体ない。だから明るい昼日中に走ってるよ!」
「それは夜行バスじゃねえ」
お題・プレシャス夜行バス
■2024年6月17日
騎士団もさすがに平和で仕事をなくした。そこで騎士のお届けサービス、ウーバーナイツを結成する。
ところが案外にこれが人気。特に馬での送迎が、早く着実と好評だった。
「何せ、我ら騎士は決して道を誤ることをしませんから。騎士道に誓って」
お題・騎士をお届け
■2024年6月17日
「見合いが確か駅前のホテルだっけ」
「あそこはもうないですよ」
「仲人が叔父さん?」
「叔母さんの方ですね」
「ああ、君との思い出も作りすぎたからな。出会いとか忘れかけてる」
「アルバムも子供や孫との写真ばかりになりましたから」
と病院のベッドで、老人は妻に語り続けるのだった。
お題・出会いを思い出せない
■2024年6月17日
両腕で抱えるほどの巨大さ。その宝玉はあまりに強過ぎる魔性の輝きを持っていた。宝玉を巡り乱世が起こるほどに。
遂に将軍が天下を統一した際、乱世を起こすからと宝玉を砕こうとした。だがどうしても砕けない。こんな堅い物、武器にしてやれと思いつく。
今度は最強の武具を巡って乱世が起きた。
お題・強すぎる宝石
■2024年6月17日
人にものを頼まれると断れない坊主がいた。おかげで坊主は朝から晩まで忙しく働き通し。これを見かねた座主は坊主を呼びつけた。
「作務も修行のうちとはいえ、経も上げ、ちゃんとした修行もせねばならぬぞ。お前は何のため仏道へ入った」
「へえ、人に頼まれて」
お題・任盛坊
■2024年6月17日
朝日の中には死が入っていて、光を浴びると体に溜まってゆくのだ。そう信じた男は、ずっと家の中、暗闇から出てこなくなった。
それも十年となると、太陽が恋しくなったか。外へ飛び出ると、とうとう帰って来なくなった。きっと男はどこか光の中で、まばゆく死に様を晒しているに違いない。
お題・朝日の死
■2024年6月18日
何万年か知らないが、人類史はロープと共にあった。
「それを、いきなり画期的なロープを開発しろとか。社長も無茶いうよな」
まず画期的が何を意味してるのか分からない。用途くらい教えて欲しい。思わずロープのほつれた端を覗き込んでボヤく。
「糸口くらいなけりゃ、構想も編みようがないよな」
お題・構想するロープ
■2024年6月18日
狂った権力者が、人の悪を社会実験で観察すると言い出した。
「まずは街を閉鎖する。盗みが横行するよう、食べ物を制限して飢えさせる。殺人も起こすよう、武器はたっぷり入れて。親子同士でも憎ませるのだ」
その話を聞いていた側近は「あなたが一番の悪じゃないかな」と思うのだった。
お題・悪属性観察キット
■2024年6月18日
僕の恋人はイケメンだが乙女な面もある。
「壁ドンされてみたいな」
「ええ、恥ずかしいよ」
「そこを何とか」
と揉めた末。彼女は僕をドンと壁際に追い詰めて迫る。
「なあ、いいだろ? 壁ドンしてくれても」
なるほど、壁ドン、悪くないかも。
僕の恋人は乙女な面もあるがイケメンだ。
お題・壁ドン
■2024年6月18日
路上寝に困った飲み屋街では灯台を建てることにした。泥酔者は不思議と灯台に誘われ、途中タクシー乗り場があるという寸法だ。
この灯台、実はアルコールを燃やした灯りで光る。酔っ払いはハシゴしようとして、酒の気配で灯台に呼ばれるのだ。
それにすても、灯台の酒のはうまいらね。うひゃひゃ。
お題・酔っ払いの灯台




