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■2025年9月21日
思い切って部長に聞いてみる。
「社長と幼なじみって本当ですか?」
「ああ、あいつは強引な奴でな。無理矢理に入社させられたよ。小さい頃から面倒ばかりかけられて」
と言いながら書類を揃えてると
「部長、社長がお呼びです」
との声に「またか」とその書類を持って出て行った。
さすが幼なじみ。
お題・迷惑慣れ
■2025年9月21日
遂に人類は永遠に近い寿命を手に入れた。コールドスリープ技術が完成したのだ。といっても起きている間は寿命が減ってしまう。
だから誰も彼もがコールドスリープをして百年千年と眠り続けているのを見て、起きたままの管理人は呟く。
「死んでるのと一緒だな」
多分彼らが目覚めることは永遠にない。
お題・不滅
■2025年9月22日
○○しないと出られない、のようなコンセプトを持った部屋を我が社では「屈辱部屋』という。屈辱部屋に詰め込まれたテクノロジーは膨大だ。機械工学、人工知能、場合によっては魔法まで組み込まれる。ゆえに優秀な職人はどこでも引く手数多。
屈辱部屋へ続く廊下こそ、名誉への近道なのだ。
お題・屈辱部屋
■2025年9月22日
昔は夏に運転しててもクーラーを付けることはなかったんだよ。窓を開ければ充分でさ。けどやっと涼しくなった。朝、窓を開けて通勤できたよ。けどこれも「朝の涼しいうち」ってやつで、昔ならまだ夏だよな。
と喋りながら彼はシャインマスカットをぱくつく。口が夏に秋にと忙しいことだ。
お題・秋朝
■2025年9月22日
幼なじみが魔女の修業をやると言い出して数か月が経った。俺に大切な相談があるという。
「こんなこと君にしか頼めなくてさ」
魔女として魅惑の術を身につけないといけない。そこで実験台になって欲しいとのこと。
構わないが、俺は既に魅惑されてるから練習にならないと思うぞ? とは黙っておいた。
お題・魔女
■2025年9月22日
孤独な方が面白い文章を書ける。そう信じた私は山ごもりするようになった。すると書ける書ける、理想の作品を物に出来るようになった。
だが面白くあり続けるため、私は孤独でないといけない。溜まってゆく原稿は誰にも読まれることはないまま。私が山奥で孤独死したことを誰も知らない。
お題・孤独な方が面白い文章を書ける
■2025年9月23日
地元は観光くらいしか産業がない。昔の偉人がいた場所ですよ。
だが新たな資料が出て逆転。地元にあの偉人は来たことはないと判明。どうしよう、土産から何から全て関連した物ばかりなのに。
仕方ないから、「あの偉人がいなかった場所」で宣伝したら大当たり。逆転ばかりする観光地と有名になった。
お題・名所逆転
■2025年9月23日
確かに今時、メールは使わなくなったな。LINEやSNSのメッセージ機能で事足りるし。じゃあ、どんな時に使ってるか? そりゃ何かに登録する際とか、ちゃんとした大切な用事がある時だよ。
と言ったら彼女にメールアドレスを交換してくれと頼まれた。どうしよう、俺から「大切な用事」を送るべきかな?
お題・メールと恋
■2025年9月23日
暑さ寒さも彼岸までというけれど。それって秋分の日のことだったのね。お盆のことかと勘違いしていた。
今年はお盆が来ても続く猛暑日。どうしたんだと思ったけど。秋分で確かにやっと暑さも終わってくれた。
けど今度は肌寒くなるあたり。暑さと寒さしかないじゃん! と文句も言いたくなった。
お題・秋分
■2025年9月23日
子供の頃に迷い込んだワンダーランド。大人のいない国。そこで僕らは冒険をした。
けど何年ぶりだろう。再び訪れたワンダーランドは、何もかもが小さく感じる。そして次来る子供のためにと危険を排除していたら、
「もう大人は来ないでくれ」
と追い出された。そうか、僕はもう大人になっていたのか。
お題・冒険




