201~210
■2024年6月14日
奇妙なシマウマがいた。ちゃんと白黒の縞模様だ。しかし一本一本の縞を追いかけると、メビウスの輪になっているではないか。
そうなると動物学者は気になることがあり、ハサミを手にしてしまう。このメビウスの輪を真ん中から切ると、シマウマはどうなるのか。
シマウマ「キャー、殺されてしまうま」
お題・メビウスのシマウマ
■2024年6月14日
「朝から悪いよ」
「いいの」
幼なじみが彼女になってから、毎日家に迎えに来る。通学帰宅とも一緒なのが日課だ。
君はもう忘れただろうね。私の些細な言葉で喧嘩してからの数年間。こうして恋人同士になるまで、口も聞いてなかった。辛い日々。
それが嫌だから、少しでも一緒の道を歩くんだ。
お題・すれ違いたくない
■2024年6月15日
「今チャリティーやっててね。あなたを異世界に転生させてあげます。嬉しいでしょ?」
「いや私はそんなの望んでない……やめろ!」
数年後。
「やっと会えたな、転生の女神。異世界で酷い目に遭った。ここで会ったが百年目。ぶっ殺してやる!」
「善意の転生が殺意になって返ってきた!?」
お題・チャリティー転生
■2024年6月15日
「誰だよ、アイツ呼んだの」
暑くなったし怪談でもやろうとなった。しかし光属性の魔法使いがいる。アイツ、陽気で良い奴なんだが、こういう場には合わないだろ。
……アイツの怪談、恐かったな。幽霊とかの話じゃない。光属性魔法使用時の事故あるある集だったけど。
ああ、明るい場所が恐い。
お題・怪談光属性
■2024年6月15日
遂に名誉ある賞を受賞した。私を馬鹿にした同業者どもも、賞賛を贈る。憎きライバルから祝儀を渡されるが、ははは、顔では不満が消せてないぞ。
帰宅後、祝儀袋を開けると直筆の手紙が入っていた。素直に私を応援していたとの内容。
途端に恥ずかしくなってきた。上っ面に拘っていたのは自分の方だ。
お題・上っ面おめでとう
■2024年6月15日
私はクラスでもトップの女だから、オタク君に告られた時、
「私に相応しくなるまで、自分を磨いてから来い」
と返した。
それから彼の努力は凄かった。成績、体力、容姿まで、みるみる見違えてゆく。今は何か、大変な所から声もかかってるらしい。
あれ? アイツの方が高嶺の花になってないか?
お題・ハードルはもっと高く
■2024年6月15日
無詠唱魔法が隆盛の世で、男はひたすら呪文の詠唱を研究し続けた。周囲から馬鹿にされようとも。
そして、とうとう新式の呪文詠唱法を開発する。新式の呪文詠唱は凄まじい威力で、社会の有り様までも一変させた。
人々は、男が自らは変わらぬことで、世界の方を新しく生まれ変わらせたのだと称した。
お題・芯己追誕
■2024年6月16日
父の日だからと、家族から財布を贈られた。とは言っても小遣いが少なくて、たっぷり入れられるほどではないんだけどな。
まあ、こういうのは気持ちさ。と家族の写真を財布に入れる。これで懐が暖かくなった。さあ今日も残業がんばるか。
お題・空っぽの財布
■2024年6月16日
ドラゴン学は参入が多く、新発見や功績をなかなか積めない。すると研究は過激化、命知らずにも知恵ある竜王へ突撃する者もいた。
竜王は疲れて言う。
「ドラゴンには宝を溜め込む習性があるが。ドラゴン学者には知恵を溜め込む習性でもあるのか? ブレスの代わりに質問攻めを吐かれるのも堪らん」
お題・ドラゴン学者
■2024年6月16日
お節介焼きとのジャンケンは鬱陶しい。
「あっ、私が勝ちましたね。申し訳ない、また勝負しますか」
「あっ、引き分けですね。どうしましょう。私の負けにしましょうか」
「あっ、負けました。気を遣わせてしまいまして」
どんな結果でも、節介を焼かれる。三方塞がりで、立ち竦んでしまいそうだ。
お題・おせっかいジャンケン




