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11~20

■2024年4月14日

「ねえキスして」

 大胆な要求。これが私のファーストキスだ。彼の唇が迫る。

「ん? んん~~っっ!?(ジタバタ)」


「キスしたよ」

 キスしたと言うより『舌』だった。


お題・キスをして



■2024年4月17日

「おぬし、お山に入ったのか!?」

「良い釣り場があると聞いて、どうしても」

「だから、去年の渇水で枯れたと言ったじゃろ」

「はい、見て池はなかった」


お題・見てはいけなかった



■2024年4月24日

その家の主人は本好きが高じて、溢れた本がとうとう屋根を突き破ってしまった。まるで屋根瓦が本のよう。だが更に増えた本は瓦の本すら押し上げ、とうとう本はページをぱたぱたとはためかせて飛んで行く。新たな住まいを求めて。家の主人はこの光景が堪らなく好きなのだそうだ。


お題・本の屋根



■2024年4月25日

この皿には惑星のあらゆる美味が乗る。それを食らう我はまさに全能の存在に近い。さて今日も朝食が供される。


……とでも思っているのだろうな、と今朝もウチのお猫様にエサをやった。


お題・朝食に星を



■2024年4月26日

かつて魔法は驚異の存在だった。薄暗い森。怪しげな呪い師の婆さん。精霊の囁き。


そこで老賢者は目が覚める。昔の夢を見ていたのか。窓の外には工業化された都市の姿。彼は夢中で魔法を研究した結果、魔法から神秘を奪いテクノロジー化させてしまった。


後悔はないが、最近は郷愁が彼を襲うのだ。


お題・魔法の二面性



■2024年4月26日

別れ話の後、彼女は言った。

「最後にキスしてくれないかな。あなたの優しいキスが好きだったの」


別れた後。

「あの男、本当に夜の方は下手っ糞でさあ。まあキスだけは良かったよ」


お題・それだけで良かった



■2024年4月27日

冷蔵庫は旅に出た。冷やす以外の生きる目的が欲しくて。長距離を歩きづめて、疲れた冷蔵庫は休むことにする。足が痛いな。冷蔵庫から氷嚢を取り出し、アイシングしたところで、やはり自分はどこまでも冷蔵庫なのだと知った。


お題・歩く冷蔵庫



■2024年4月30日

列車に揺られながら思う。見える光景は即座に流れて、同じ場所に居続けることがない。私たちは未来を見せられる。


その強引さは疲れるが。けど彼を失ってから何年も同じ場所から出ようとしなかった私には、ちょうど良いのかもしれない。


お題・未来の車窓より



■2024年4月13日

「私をあなたに夢中にさせて頂戴」

「とかいって今まで、君が僕に何かしてくれたことあるかい?」

「えっ」

「実はもう他に好きな人が出来たんだ。僕ら別れよう」

「待って頂戴!」

「夢中にさせろなんて、それこそ寝言は夢の中で言ってくれ」


お題・夢中にさせて



■2024年4月30日

「見て見て、新しい冬物買ったんだ」

「おっ、良いトレンチコートじゃない……てアンタまさか」

「そう、これなら、どこでも即座に素っ裸になれる!」


お題・ハレンチコート

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