1881~1890
■2025年7月23日
我が校ではチャイムに、鐘の代わりに天使がラッパを吹き鳴らす。
天使がいつから学校に住み着いたか分からない。けど放課後、夕焼けに照らされる天使の姿は神々しかった。
ただし登校時。遅刻するかギリギリで、ニヤニヤしながらラッパを吹こうとする姿。あれは悪魔のようだと皆は語った。
お題・放課後天使
■2025年7月23日
友人はこう見えても腕利きの名探偵だ。失せ猫、浮気相手、殺人事件の真犯人。あらゆるものを見つけてきた。
「なのに、なんで儲け話は見つけられないかね」
俺からの差し入れを受け取りながら。貧乏探偵は申し訳なさそうに苦笑いした。
お題・探偵
■2025年7月23日
なりたての若いヒーローは、ナンバーワンヒーローに握手を求めた。
「他の奴なんてどうでもいい。あなたに憧れてヒーローになったんだ!」
すると彼はこう返す。
「私がナンバーワンになったのは最近さ。君が憧れているのは僕と、ナンバーワンという立場。どっちかな?」
お題・ナンバーワンに憧れて
■2025年7月23日
「君子豹変すると言うが。私もね、過ちはさっと改める方なんだよ。君子だからさ?」
「けど最近はすぐ態度をコロコロ変える奴、という意味もあるみたいですよ」
「なんだと、私がコロコロ態度を変えているというのか!」
「うわっ、態度が豹変した!?」
お題・君子豹変す
■2025年7月24日
石けんを燃料とするエンジンが開発された。このエンジン、排気ガスが出るどころか、大気汚染を綺麗に洗い流しながら走ってくれる。しかもとっとも良い臭い。
これこそ新時代のエコエネルギーだと、人々は飛びつく。結果、石けんエンジンは世界を席巻した、
お題・石けんエンジン
■2025年7月24日
実家に帰ると、母が見せてくれた。私が初めて履いた靴を取っておいたのだという。妙に爪先だけがヨレていた。昔の私はきっと何度も背伸びしたのだろう。実際我が人生そんなことばかりだった。
けど、これからは上ではなく、下を見ていかないと。と大きくなり出したお腹を撫でてみる。
お題・爪先
■2025年7月24日
太陽が増えてしまった。代わりばんこに出てくるものだから、大地はずっと照りつける昼。ところがしばらくすると、夜でもないのに静かになった。
疑問に思った太陽は、地球最後の花に訊く。どうして皆眠ってしまったんだい?
「暑いから枯れて、永遠の眠りについたに決まってるでしょ!」
お題・太陽がいっぱい
■2025年7月24日
田舎者は美術館に行ったこともない。本当の文化を知らないと陰口を叩かれた。
確かに俺が知っているのは、村人総出の大衆演劇、年寄りどもの長唄、虫取りに川遊び、昔話、夏祭りの盆踊り、といったところが精々。
しかし、田舎者は文化を知らないで構わないが。都会者は品を知らないのだな。
お題・文化資本
■2025年7月25日
私は激辛のジャングルを探検することになった。そこは香辛料の密生地。入れば涙が止まらず、吸う息で肺すら痛い。けど激辛好きの私には天国だ。
だが刺激が強すぎたらしい。都会に戻ると全てが物足りなくなっていた。甘さ、香ばしさといった様々な香りに満ちた、だがここは砂漠のようだ。
お題・激辛ジャングル
■2025年7月25日
宿題の感想文で読んだ小説。タイトルと主人公の名前が違っていた。何だよ、アルジャーノンは主人公じゃなかったのか。危ない、危ない。読まずにネット情報だけで感想文を書こうとしたら、お母さんに止められて良かった。さっそく僕は感想文を書き出す。
「『チャーリーに花束を』を読みました」
お題・主人公の名前




