1831~1840
■2025年7月12日
『つよすぎ戦記』いわく。かつて強すぎる英雄がいた。いわく、単騎で百万の軍を退けた。ワンパンで山をも消滅させた。
「いやいや、こんな人は実在しないでしょ。ありえない」
「けど、当時の記録はこの戦記しかなくってね。歴史を学ぶには本書から引用するしかないんだ」
戦記の影響が強すぎる。
お題・強すぎる戦記
■2025年7月12日
絵を描く際、密かにやっているチャレンジ。出来るだけ筆洗いバケツの水が濁らないよう、洗う場所を使い分けるのだ。
だからと使う絵の具が制限されては本末転倒。濁った時は仕方ないと諦める。
今回は綺麗に色分けできたぞ。これを捨てる瞬間、幾重もの鮮やかな流れになるのが、堪らなく好きだった。
お題・色水
■2025年7月12日
偉い坊様が来ると聞いて、村人は旅の坊主をもてなした。だがこの坊主、偶然立ち寄っただけの生臭。
「私は偉くなどありません」
と言い訳するも、村人は余計に謙虚な方だと関心する。
その後、本当の偉い坊様がやって来た。
「大層な袈裟を着て、何でも知ったぶり。あいつはきっと大したことないね」
お題・偉そうな格好
■2025年7月12日
政治活動家が主張する。
「オタクどもに表現の自由など不要! 馬鹿なことを言う奴らは、バンバン牢屋にブチ込めば良いのだ。ガハハ」
かくして表現の自由は規制され、社会を脅かす言論は弾圧されることになった。
「なぜ私が逮捕されるのだ! 過激なことを言った? そんなの表現の自由だろう!」
お題・表現の自由規制
■2025年7月13日
うちの国で「木馬」と言えば伝説の生き物のことさ。木肌の胴に、草葉の尻尾、紅い果実の瞳を持ち、不埒な侵入者から森を守るのさ。
「へえ、そんな伝説が。ユニークで興味深いなあ」
そして巨体の中は空洞で、そこに人が入って町に忍び込む。
「そこが一緒なのかよ!?」
お題・伝説の木馬
■2025年7月13日
天才科学者が人類には早すぎる発明をした。それを理解した途端、人類は霊的に進化。もはや物質世界に関われなくなり、やがて文明も崩壊するだろう。
だが、そうするとその天才科学者も既に人類ではなくなっていた。何かの存在になってこの世から消え失せ、彼が何を発明したか。知る者は誰もいない。
お題・人類には早すぎる発明
■2025年7月13日
サーベルタイガーは牙よ伸びてくれと願った。そうなれば強くなると信じて。
確かに自分は強くなった。だが牙が伸びすぎだ。今のままでは食事もままならない。
かといって見栄もある。今さら縮んでくれと願えるわけもなく。サーベルタイガーは我慢するしかないが、歯も食いしばれない。
お題・牙
■2025年7月13日
初恋は叶わないって? そんなことないわ。そんなアナタに教える初恋のおまじない。(検閲済み)すれば、ぜ~ったいに初恋の人があなたを好きになってくれるの。
「いやあああ! 助けて、誰か。アンタじゃない、私が願ったのは、違う!」
お題・初恋のお呪い
■2025年7月14日
遂に手に入れた、不老不死の妙薬。だが本当の不老不死になるのは勘弁だな。そこで仲間と薬を山分けすることにした。
以来、私は何をやっても死ぬことができない。なのに年は取って、苦痛は増すばかり。
あいつは年を取らないまま、ポックリ逝ったそうだ。
どうやら不老と不死とで分かれたか。
お題・不老不死山分け
■2025年7月14日
夏が来ると浮き輪を膨らませ、テレビを見る際のクッション代わりに使うのが、ここ数年のルーチン。
せっかくの浮き輪だけど、私は社畜、そんな暇はないし。第一、水着の肉体を衆目に晒したくない。
けどこうして海の映像でも見てると、どこかへ行こうかななんて、浮ついた気分にはなるかな。
お題・浮き輪




