1781~1790
■2025年6月30日
ブラックな我が社も遂に有給休暇を取って構わない、とのお触れが出た。これで用事を済ませて、心配させてる親に顔を見せて、夢が膨らむ。
有給休暇届を課長に持って行く、が当の課長がいない。どうしよう、届が受理されないと休めないのに。
「課長どうしたか知ってる?」
「真っ先に休んだよ」
お題・休みを取ろう
■2025年6月30日
僕の描いた水の絵は本物になる。それで僕は夢中で水の絵をたくさん描いた。
暖かい南国の水面。極光に照らされた氷山。嵐に乱れる波濤。果てない水平線。
やがて何万枚と描いた絵は、この砂漠の星を埋め尽くす。気づけば僕の絵は「海」と呼ばれていた。
お題・海の絵
■2025年7月1日
「僕には誰と誰が恋人同士か分かる能力があるんだ。ご覧よ、あの男女。あの人たちは恋人くさいな」
「君は僕の太陽さ~」
「夏の暑さにも私のラブは負けないわ」
「なるほど、僕にもくさいのが分かるよ。流石にアレは」
お題・くさい恋人
■2025年7月1日
俺は加速能力を持つ。だがこの能力、考えたら特に制限や使用回数があるわけではない。だったらと家事など日常生活でも加速能力を使うようになった。
そんな時、人と立ち話をして言われた。
「早口過ぎて、何言ってるのか分かりません」
いかん、能力の使い過ぎで通常の感覚まで加速しだしてる。
お題・加速能力
■2025年7月1日
洗濯板持たせりゃ、あたしは町内いちの洗濯名人。どんな汚れもまっさらにしてしまう。
だが旦那が三種の神器だと、勝手に洗濯機を買ってきた。機械ごときと思ったが、使ってみると案外綺麗になる。こいつなら冬の洗濯も冷たくないし。
けど名人という、あたしの小さな矜持はまっさらになっちまった。
お題・まっさら
■2025年7月1日
「遂に物質転送装置を発明したぞい!」
博士は小石を投げると、ゲートの途中で消えてしまった。
「小石はどこへ行ったんですか?」
「初めての転送装置だからな。まだ場所の指定まではできないんじゃ。確認できん」
じゃあこの装置、実は物質消滅装置では、という疑問を助手は飲み込み、消しておいた。
お題・物質転送装置
■2025年7月2日
どうせ小説なんて御都合主義のストーリーで、主人公がチヤホヤ周囲から褒められてりゃ受けるんだろ? チョロいチョロい。俺だって小説家になれるぜ。
と書き出してみたものの、さっぱり読まれない。たまに来る評価も酷評ばかり。
どうやら小説が都合良く褒められる、というわけには行かないようだ。
お題・誉め言葉御都合主義
■2025年7月2日
村には舞によって求婚するという伝統がある。だが俺の舞が下手すぎて、去年は彼女に結婚を断られた。舞の名人である彼女には許せなかったようだ。それで一年猛特訓。遂に披露する。だが俺の舞はやはり彼女に比べ、見劣りするものだった。
俺は思わず愚痴る。
「お前まで上手くなってんじゃねえよ」
お題・舞婚
■2025年7月2日
あ、もう無理。窓を開けて寝られない気温になってきた。可愛いからと買った、せっかくの風鈴だったのに。令和の猛暑じゃ、音で量を取るどころではないようだ。昼はもちろん窓を閉めてエアコンつけてないと危ないし。
風鈴で涼を取れるのは、涼しくなった秋になってしまうだろうな。
お題・風鈴
■2025年7月2日
「あなたの政権になってから貧困層は拡大しています」
官僚の報告に、首相は頭を抱えていた。
「貧困層といっても、その中でさらに飢餓の起こっている層もあり……」
そこで首相は閃いた。
「貧困層の中でも、さらに貧しい人たちを『大貧困層』と呼んで別にしよう。これで貧困層は少なくなるぞ!」
お題・貧困層対策




