1741~1750
■2025年6月21日
境内を掃除しようとして驚いた。ご神木にびっしりと藁人形が打ち付けられているのだ。これは流石に腹が立った。
真夜中、寝ずの番をして、藁人形を打ち付けた当人を捕まえる。
「ここはね、予約制なんですよ。それにこんな沢山。他の人の迷惑があるでしょ」
藁人形の使い方について釘を刺しておいた。
お題・藁人形道徳
■2025年6月21日
髪を切ると、その度に伸びるという呪われた人形。それがこの寺に納められているという。無理を言って是非にと見せてもらった。
だが出てきたのは、こざっぱりした髪型の人形。だが和尚は別の物も出した。
「髪の毛を切るたびに伸びるのです」
それは刃先が長大に伸びきったハサミの山であった!
お題・髪を切ると伸びる人形
■2025年6月21日
友人はとても慎重だ。
「将来はミュージシャンになりたくて」
「いいじゃん」
「なので今から夢が挫折した時のことを考えて」
「なんで挫折前提なんだよ!? まずは挑戦しようぜ!」
「全くその通りだな。だから今は、夢が挫折した時のことを考えるのに挑戦してる最中さ」
お題・夢に慎重
■2025年6月21日
夏至とは一年で最も昼が長く、夜の短い日。だとしたら、もう何日も夏至が続いている。夜はどんどん短くなり、今や瞬きほどの時間しかない。ああ眩しい、夜が待ち遠しい。
すると天文学者が、ようやく冬至が訪れ夜が来ると宣言する。やった!
今度は何日もかけて昼が短くなります。
お題・長い夏至
■2025年6月22日
お姫様はソシャゲのガチャが大好き。課金のし過ぎで、とうとう国庫を傾けるまでになった。
貧しい生活を強いられ国民の怒りは爆発。姫様は断頭台の露と消える。
となると新たな国の顔を決めなければならない。他の王族から代表を決めることにした。
「次の王族ガチャはマトモだといいなあ」
お題・ガチャのお姫様
■2025年6月22日
「会えるかもしれない」
いま話題、水鳥の親子。会いたかったけど、お父さん次の日曜は仕事だという。けど叔母さんが車を出してくれるって。やった!
そして到着した湖。えっと、どこかな?
「それで会えた?アヒルの親子」
「会えたのは、カモか知れない鳥だったわ」
お題・会えるかもしれない
■2025年6月22日
広い版図を誇った銀河帝国も今や衰退した。超光速宇宙船を持つ者など、今や一握り。超光速通信も滅多に使えない。
なので辺境へ行くと、こう驚かれるのだ。
「えっ、銀河帝国は衰退したのか!?」
中央の事情すら知らなくて当然。銀河帝国の衰退すら伝わってないとは。銀河帝国も衰退したものだ。
お題・銀河帝国の衰退
■2025年6月22日
「写真を撮られると魂が奪われる」
婆さんはよく冗談を言っていた。まさかその孫が芸術写真家になるなんてね。
今まで何万枚も写真を撮ってきたが、魂を奪えた試しなんてない。
魂を捧げているのは撮影者の方だ。今や時代遅れと言われるようになった僕は、きっと魂を奪われ尽くしているのだろう。
お題・写真の魂
■2025年6月23日
頃合いと赤ん坊に離乳食を与えることにした。どれも美味しく食べている。だがリンゴ、イチゴ、ミカンなど果物を与えると途端に泣き出す。どうやら微かに残る酸味が苦手らしい。
「果物くらい構わないわよ」と泣く息子をあやす母。
そうやって甘やかすから、酸っぱさに慣れないんじゃないのかな。
お題・酸っぱい泣き虫
■2025年6月23日
八兵衛は長屋で一番の粋男。それが近頃は暗い顔をしている。
「どうした、今年は初鰹も食べなかったそうだが」
「あっしも粋だ粋だと言われましたが、もう流行りを追っかけるのも疲れましてね」
それを聞いた町の衆。皆に流されないとは、なんて粋な男なんだと褒め称え。八兵衛は余計に頭を抱えた。
お題・粋




