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■2025年6月19日
子供の頃、僕には妖怪の友達がいた。だけど、どうしても名前を思い出せない。
それで呪い師に相談することにした。すると呪い師は困った様子で
「君は妖怪に術をかけられた痕跡があるね。それは恐らく妖怪に植え付けられた嘘の記憶だろう」
どうやら僕が出会っていたのは、思い出を操る妖怪らしい。
お題・妖怪の思い出
■2025年6月19日
「聞いてよ。さっきムカつくことがあってね。スーパーのレジに並んでたら、列を飛ばされたのよ」
確かに、割り込まれるのは腹立つな。
「列にいた人全員、無理やり飛行機に乗せて気が付いたら海外よ~。もう帰国するのに困ったわ」
「列を飛ばすって、そっちの意味!?」
お題・列を飛ばす
■2025年6月19日
どうやら私は、もう一人の自分、ドッペルゲンガーがいるようだ。気づいたら身に覚えのない悪評が広がっている。私は周囲の人たちへ、ドッペルゲンガーに注意するよう警告した。
その後、私のいない場所で語られる。
「ドッペルゲンガーだとか。あの人とうとう、自分の夢と現実が分裂しだしたのね」
お題・ドッペルゲンガーの仕業
■2025年6月19日
王女様は魔法の鏡を手に入れた。願うと、その物の真実の姿を映すのだ。
「鏡よ鏡、世界で一番美しいのは誰だ」
「あなたではありません」
だが思い通りではない答えばかり。
そんな質問をし続けて、すっかり落ち込んだ王女様。
「鏡よ鏡、私の本当の願いとは何だ」
「鏡が真実を写さないことです」
お題・鏡の精霊
■2025年6月20日
海の国で戦争が起こった。力ない民は難民になるしかない。人魚たちが地上に逃げ込んだ。これにはお役所も大騒ぎ。とりあえず人魚を桶に入れて
「この書類お願いします」
「それが終わったら次はあちら」
手続きの繁雑さに人魚は怒った。
「桶に入れられて。まさに、たらい回しじゃない!」
お題・人魚難民
■2025年6月20日
人間の性行為を、稲の生産性向上と見なす儀式が古来からある。
「愛してるよ」
「ねえキスして」
現在ではバカップルがその役割を果たす。彼らが駅前でイチャつくことで、豊穣を祈るのだ。
だが近頃は農業の高齢化が問題になっているが。バカップル役も年寄りばかり。
日本の伝統継承は難しい。
お題・豊穣のバカップル
■2025年6月20日
あなたは出張ばかりで世界中を飛び回っている。だから移動によるウラシマ効果で、いつまでも若々しいに違いない。
帰国するたび、あなたは新婚のように私を愛してくれるけど。そろそろ重く感じるようになった。ブラックホールみたい。
次会えるのは何ヶ月後か。きっとその時に私はもうお婆ちゃんね。
お題・まるでウラシマ効果
■2025年6月20日
ゴーレムの量産化に成功した国は、ゴーレム兵により他国への侵略を開始した。ゴーレムは命がないので、いくらでも投入できる。だが量産のし過ぎで経済的負担も大きかった。
薄給で働くゴーレム工場の工員は愚痴る。
「今日も残業か」
「ゴーレムに支配されてるのは俺たちの方だな」
お題・ゴーレムの侵略
■2025年6月20日
「ペパー」と付いてるから油断した。こいつもミントだったか。我が家の庭を占拠する緑。困った私は、一計を案じる。
「ペパーミント採り放題。根っこから抜いてね」
かくして千客万来。緑はほぼ引き抜かれ、後は少し自分でやるだけだ。
翌年。町中に繁茂する緑。……お前ら、なぜ植え替えた!?
お題・ペパーミント
■2025年6月20日
帰宅した彼女は機嫌が悪そうだ。会社で何かあったのだろう。外はまだ寒かったはず。僕は黙って熱いハーブティーを入れてあげる。花言葉は「効能」と「心の温かさ」。
彼女は黙ってお茶に口をつけた。リラックス効果があるはずだ。
「効能あったかい?」
ほっと一息ついて
「うん、あったかい」
お題・ペパーミント




