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■2025年6月14日
道楽者の国王陛下が射撃大会に出場した。ところが下手糞で、観客を誤射してしまう。弾道はまっすぐしか進まない。何と記録に残そうか。
悩んだ挙げ句、嘘を作った。国王陛下は観客の中に曲者がいると気づいた。それで射ったのだと。
まっすぐな誤射は、正射命中であったと事実を曲げた。
お題・まっすぐ誤射
■2025年6月14日
幼い息子は漫画の影響で、軍師キャラになりきってい
た。今もこっそりプリンを食べて、狡猾なフリをしている。それを私は黙って騙されてあげるのだ。
数日後、私が全て知った上で騙されてあげていたのだと気付き、息子は落ち込む。
「この私がだまされるとは。お母さんの方が狡猾だった」
お題・はじめての狡猾
■2025年6月14日
私の肉体は中央部で分離できる。だが私は右利き。歩くたびに右足だけが大股で、左半身が遅れてしまい、ズレそうになる。
なので右半身は気遣いが細やかに。左半身は遅れまいと、せっかちになった。
全く違う性格となった私の左右の半身たちは、結果的に同じ歩調で進めるようになっている。
・半身の気配り
■2025年6月14日
あの人にまた会いたい。けど戦争が終わって何年もしているのに、夫は戦地から帰ってこない。
失意の底にある私を周囲は励ましてくれた。良い人とも出会い再婚。子供もできて、やっと立ち直れる。そんな時に、見知った顔がいた。
「なんだその男と子供は」
もう、あの失意を思い出したくなかったのに。
お題・失意から立ち上がる
■2025年6月15日
お客さんに腹一杯食べてもらいたい。定食屋の名物は山盛りにしたご飯、通称「三角盛り」。
だが物価の高騰化で、ご飯の山盛りサービスは辛くなってきた。けど名物はやめられない。そこで一計を案じる。
「三角盛りで頼むよ」
「へいお待ち!」
「メシの三角が円錐形じゃなく、平面になってる!?」
お題・山盛りの三角形
■2025年6月15日
誰かが喧嘩すると、すぐ仲裁してくれる。あいつは我が社でも頼りになる奴だ。
それが新商品の情報を持って、敵対会社へ行ってしまった。
なんで裏切ったんだと問い詰めたら、出されたのは離婚届。
「お前らが喧嘩ばかりするから家に帰れず、ご覧の有様だ。こちらから喧嘩別れしても構わないだろ?」
お題・喧嘩の仲裁
■2025年6月15日
我が結社最高の改造人間が洗脳前に脱走した。奴は現在、ヒーローを名乗り結社の邪魔をしている。流石の強さで連戦連敗。
だが幹部は余裕そうだ。
「同じ怪人を作ればいいではないか」
すると博士は苦々しく。
「脱走の際にデータも破壊していったので、もう無理なのだ」
幹部は再び敗北感を味わった。
お題・ヒーローに連敗する
■2025年6月15日
私もインフルエンサーとして時代遅れになってきた。近頃はバズることもない。だけど次の話題はバズること間違いなし。今から大勢に根回しし、いいねしてくれるよう頼んでいるから。
すると自作自演が露呈して大炎上。この話題は大きくバズることとなった。
お題・具体的にバズる
■2025年6月16日
恐怖の箸なるものを渡された。こいつで料理を食べると、少し美味くなる。ただし何分の一かの可能性で針が飛び出し、口の中を引き裂くというのだ。
結果、怪我はしなかったが、確かに少し美味くなっている。
「口に入れる際のドキドキを美味さと勘違いするらしいよ」
「なるほど、吊り橋効果の箸」
お題・恐怖の箸
■2025年6月16日
師匠の打った刀は何人斬っても刃毀れすらしないと名高い。そんな鍛冶場の神棚には、一振りの刀が鎮座する。見ると凡庸な作り。これは何かと尋ねたら
「刀鍛冶なんて人に恨まれて当然の商売。いざという時は自らの腹を切るため、小僧の時に打たされたのさ」
とオイラが初めて打った刀も一緒に置いた。
お題・死の刃




