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■2025年6月5日

山奥にある体毛村には因習があった。体毛様を祭り、一切の体毛を剃ってはいけない。さもなくば村八分だというのだ。


すると若者は村を出て行くばかり。村は寂れて過疎化した。


すっかりハゲた長老たちは、それでも因習を止めようとしない。そして嘆くのだ。これが体毛様の祟りかと。


お題・体毛村



■2025年6月5日

その木は森の中で芽吹いた。毎日愚痴をもらす若木に、小さな花は何が不満なのかと尋ねる。

「僕は大木になれる木なんだ。だけど他の木が影になって育ちにくい。ああ生まれた地を間違えた」

「へえ、大木になってどうするの?」

「そりゃ葉で影を作り、他の草木が育つのを邪魔するのさ!」


お題・不満の影



■2025年6月5日

某国に潜んだスパイは驚いた。母国がクーデターで滅んだというニュースが入ってきたからだ。


やっとか。このために母国へ偽情報を送り続けてきたのだ。


これからは新たな母国で平穏な生活が送れる。二重スパイは、まだ幼い我が子を抱き上げた。


お題・スパイの母国



■2025年6月5日

クローゼットの中、夏に冬に服が出入りするのに。彼はじっとして出されたことがない。彼は他の服からバカにされていた。


そのうち、服たちの持ち主が交通事故で亡くなった。全ての服を片付けるため、人間がクローゼットを開く。

「まだ若いのに」

「この喪服なんて仕立てて、一度も着たことないのよ」


お題・喪服



■2025年6月6日

登校すると、校庭にどんと飛行機があった。一体、誰の飛行機なんだ。先生たちも困ってる。


だけど広くない校庭にどうやって着利したんだ。翼に穴が空いてるぞ。中を探検したら機械がない。謎は深まるばかり。


気づけば「誰のものか」なんて疑問は、どこかへすっ飛んだ。


お題・誰の飛行機



■2025年6月6日

今日は稽古始めの日。本来は幼い子供のための日だが、こういうのは何才になっても構わないはず。今度こそ英会話をマスターしたい。

「ハワユー」

「といって何年目よ。そして私相手に何やってんの」

「英会話スクールに入るのも度胸がいるからさ。まずは入会するための練習から始めないと」


お題・稽古始めの日



■2025年6月6日

イカロスは空を飛ぼうとしたが、太陽に近づき過ぎて落ちてしまった。それを他の工匠は笑う。空を飛ぼうとしなければ、地に落ちることもなかったろうに。


その様子を見て父ダイダロスは嘆いた。奴らは愚かではないのだろう。だが工匠としては空を飛ばずして、既に地に落ちている。


お題・地に落ちる



■2025年6月6日

我らこそ古代王国の後継者だと言い出して、王が戦争を始めた。そして実際に勝利し、古代王国と同じ名で呼ばれるようになる。


だが王は老いて死ぬ直前、こう呟いた。

「栄光といっても過去の借り物。誰も自分の新たな業績を見てくれない」

再び過去をやり直したい。それが王の遺言だったという。


お題・過去の栄光



■2025年6月6日

玄関が開かない。間違って閉じられたかな。どうよう、鍵は持ってないのに。


するとイヤホンで音楽を聴きながら、友人がどうしたと尋ねる。

「ロックされてるみたいで」

「いけねえな。ロックてのは自らの生き様、お前がロックしないとな」

「いや今は開けたい」

「昼から酒か。ロックな生き様だぜ」


お題・ロック



■2025年6月6日

将来への不安。転がる岩のように刹那に生きたい。すると地面から声がする。

「儂もな、元は山のでっかい岩だったんじゃ。それが雨に風に流されて、今はここよ。貴様も儂を見習っていいぞ」

と未だに大岩の気でいる砂粒は、思考も頑固で自分が変わったと認めないだろう。


僕は少し思い直すことにした。


お題・ロック

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