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■2025年5月1日

ニッチ商業校は、次世代の隙間産業家を育てる教育機関だ。

「よし、これから入学式やるぞ」

「今は昼休みですよ!?」

だから入学式も隙間時間に行われる。だが問題ない。

「どうせ生徒数が少ないんだから良いだろ」

こんな学校に入る物好きが珍しいから。商業校としてのコンセプトがニッチ過ぎた。


お題・ニッチ入学式



■2025年5月1日

若気の至りかね。私にも夢があったさ。バンド組んで上京、ロックスターになんてね。


えっ。お爺ちゃんの若い頃ならビートルズも来日してないだろう?


うるさいなあ。そんな時代考証どうだっていいよ。私だって若気の至りを語りたい時があるさ。


そういう嘘も許されるのが年の功ってヤツだろう。


お題・若気の至り



■2025年5月1日

私の好きな彼はバスケ部のキャプテン。明るい性格で皆の人気者。私なんて入り込める隙なんてない。


だけど彼は怪我で部活を引退してしまった。以来すっかり暗くなり、周囲からキャーキャー言う女どももいなくなる。


やった。これで私にも光明が見えてきたぞ。と後ろ暗い希望を抱く。


お題・明るさを失って



■2025年5月1日

「見事だ。だが我は常に貴様を見ているぞ」

遂に僕は同じ姿に能力を持つ、影なる自分を打ち倒す。これで完璧な自分になれた、はずだった。なのに仲間は

「けど影の方が頼り甲斐あったよな」

「影はここで奢ってくれたのに」

何かと影と比べられる。どうやら影との戦いは未だに続いているらしい。


お題・影との戦い



■2025年5月2日

我が社のダジャレ部長がリストラされることになった。皆が忙しい時にダジャレを言って回るだけの人だから、だれも残念がらない。けど当人は大慌てだ。

「だったら真面目に働けばいいでしょう」

「けどね私もダジャレで三十年やってきたんだ。今さらリスを相手にトラと呼ぶような真似はできんよ」


お題・ダジャレのリストラ



■2025年5月2日

私が離婚を決意したのは、彼が浮気をしていたからではない。そんなこと前々から知っていて黙っていた。もう彼からの愛を感じられなくなったからだ。だったら、もう一緒にいる理由もない。本当に薄情な男だ。


私が浮気をしていた証拠を見つけても、知らんぷり。黙ったままでいるなんて。


お題・見て見ぬふり



■2025年5月2日

彼はずっとヒーローとなる将来を期待されてきた。生まれは名家。超能力は強力。品行方正で教養もあり、肉体も頑健。いざとなれば死地へ飛び込む勇気もある。


人々は彼に過大な期待を寄せる。だから彼は本心でヒーローになんてなりたくない、料理人になりたかった……なんて言える勇気が出てこない。


お題・勇気のないヒーロー



■2025年5月2日

世界はずっと静かに踊り続けている。ある場所に夜が来れば、その裏には朝が来る。合図なんてなく、ただひたすら、くるくると惑星は何十億年と回ってきた。


だから朝が来たと知りたいなら、自分らで区切りを付けないとね。私は目覚ましの音を切る。世界に静寂が取り戻された。


お題・世界は静かに踊る



■2025年5月2日

僕らは工場で産まれた。今や自然妊娠や家族は贅沢品。だけど、それでは人格形成が歪むということで、今日は母親役の女性が来る日だ。


楽しかった。やはり家族はいいな。そうだ、明日は姉を頼もう。すると昨日と同じ女性が来た。

「派遣会社も人手不足でね。実は私、今日は姉をやってる日なの」


お題・母の日



■2025年5月2日

私は母に捨てられた。だからか、私の持つ母親像は歪んでいる。つまりは異常に美化されていた。それは失望したくないがゆえの自己防衛。


だけど、遂に母と再会できることとなった。まるでドラマのように理想的な感動のシーン。母は泣く、私も泣く。


ずっと育んできた失望が壊されたことが悲しくて。


お題・母

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