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■2024年5月30日

ある日、苦労して貯めたお金ごと貯金箱が浮かんでいた。

「おいおい困るよ」

「しかし金とは羽のついたように飛んでなくなるのが常ですから」

と貯金箱が言い訳する間にも、空の彼方へ消えていった。


今度は鉛の貯金箱でも買うか。ああ、金が幾らあっても足りやしない。


お題・羽根より軽い貯金箱



■2024年5月31日

「大臣邸に強盗です。ただ盗んだのが愛用している万年筆一本だそうで」

「それはマズいな、主戦派が勢いづくかもしれん」

「万年筆一本で?」

「あれは先の敗戦条約締結に使われた万年筆だ。奴ら屈辱の象徴を手に入れかったのだろう」

「ペンは剣より強し。一本のペンが民の命を左右しますか」


お題・好戦の文房具



■2024年5月31日

「遂に物質転送装置が完成したぞ」

「やりましたね!」

「ところがこの装置、鰹節しか転送できない」

「またニッチな。しかしなぜ」

「物質を構成する原子、分子、電子といった素粒子。どうやら鰹節の中にしかない素粒子が関係しておるらしい」

「それは一体」

「ワシはそれをカツオブ子と名付けた!」


お題・デジタル化したカツオブシ



■2024年5月31日

「本当に上京しちゃうの?」

服だけ入れた鞄を持つと首肯する。

「やっぱりN君を探すの?」

同級生のN君、初恋だった。けど村八分で家ごと引っ越してしまった。

「まさか、見つかるわけないよ」

「じゃあなぜ」

「私の好きな人を追い出したこの村をもう好きにはなれない。私は新しい恋を探しに行くの」


お題・どこかにいる恋しい人



■2024年5月31日

何もない平野に流れる小川。だが太古、小川は大河であり、両肩には山脈があった。それを万年かけて川が削り、谷となり、今や平野となったのだ。その悠久の時を小川は偲ばせてくれる。


「という有名な詩があるのは知ってますが。それだけで観光資源にするのは、谷にしても、理屈に溝があり過ぎでは?」


お題・昔肩峡



■2024年5月31日

お前の進路希望書、昼寝って何だ。もう高校三年だぞ。人生ナメてんのか。本当にプロの昼寝士を目指してる奴はな、高校入学時から準備を始めてるもんだ。かくいう先生もな、憧れたもんだが。好きだけじゃやれない世界だぞ。今から対策しても受かるかどうか。それでも? じゃあ少しでも昼寝しないとな。


お題・プロの昼寝



■2024年6月1日

「今日のゲストはアイドルのN子ちゃんです」

「こんにちは~」

「どんぐり集めがご趣味なんですって?」

「どんぐりってぇ、実は一粒一粒の個性があって面白いんですよぉ」

「かーわいいー!」

「それに比べてアイドル業界こそ、まさにどんぐりの背比べ……埋没する個性……」

「はいっ、CMです!」


お題・どんぐり集めが趣味のアイドル



■2024年6月1日

通勤途中のカーラジオ。バナナはおやつか、なんて話題をやっている。戦後はバナナが高級だったから、そんな論争が出たのだろうとか。けど折角なのだから、そりゃ楽しみたいよな。


俺なんてコロナ禍で遠足に行った思い出が微かなまま社会人。せいぜい、こうしてカーラジオの話題だけが楽しみだ。


お題・バナナはおやつ派のラジオ



■2024年6月1日

同じクラスには蓑虫の亜人がいる。小学校からの付き合いだ。蓑虫だから長距離移動ができない。隣の家の俺が抱えて通学している。

「ありがと」

可愛いところもあるんだがな。


……おかしいな。これだけアピールしてるんだから、そろそろ告白される頃なんだけど。


同じクラスには弱虫の男の子がいる。


お題・クラスメイトの蓑虫



■2024年6月1日

子供の頃の奇妙な思い出。僕はお菓子の国を冒険していた。ミルクの川を、チョコの船で下る。果物の家来と共に進むは、キャンディーの密林。


確かに存在したんだ。けど話しても誰からも信じられず、あげく頭がおかしい扱いをされてからというもの。お菓子の国は苦い思い出となっている。


お題・思い出のお菓子の国

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