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■2025年4月10日
七色に輝くイモを掘ってしまった。こんなもの、どうしよう。
とりあえずイモなのだから食うか。とチップスに揚げると美味かったし。
天井から吊るすと、ミラーボールの代わりになって、フロアがアガった。
お題・きらびやかなジャガイモ
■2025年4月10日
遺跡から謎の機械が発掘された。現代をも遙かに凌駕するテクノロジー。何に使うのかも不明。国を挙げての研究が進められる。
しかしなぜ、こんな進んだ技術を持つ古代文明は滅んだのだろう。だが機械の用途が分かり、謎も解けた。
この機械は兵器だ。世界を滅ぼすほどの。こうして動いて分かった。
お題・ロストテクノロジー
■2025年4月10日
出世したはずの友人が暗い顔をしている。なぜか訊いたら自分の家系は妖怪塗り壁に取り憑かれているというのだ。
先祖代々、ある程度までは出世できる。だがある地点で壁にぶち当たったかのように転落するというのだ。
ははは、まさかと笑ったが。友人の顔は来る将来への恐怖に塗り潰されていた。
お題・塗り壁
■2025年4月10日
魔法使いに呪いをかけられた。お前は一生、この草原から出られない。なるほど、行けども行けども同じ光景。四方一面の地平線。
私は足元の土を掘り出した。掘った土で山が出来る。できた山を登ると、向こうは町のそば。
草原から出られないなら、草原ではない景色を作ってやれば良いだけの話なのさ。
お題・永遠の草原
■2025年4月11日
僕は呼吸が趣味だ。腹式呼吸、息吹、ラマーズ法、色んな呼吸法をやっているだけで心が弾む。けど分かってくれる人がいない。
そんなある日、溺れた人に人工呼吸したのがきっかけで、恋人ができた。
「実は私の趣味も呼吸なの!」
今では結婚。ふたり幸せな家庭を築き、阿吽の呼吸で生きている。
お題・趣味の呼吸
■2025年4月11日
あまりに久しぶりの帰郷。すっかり変わった町並み。もう、どこに何があるかすら忘れたな。ここが故郷だという実感すらない。
と春風で、今いる場所が原っぱだったと思い出した。今は住宅地。もはや、誰と遊んだか、どんなだったかも思い出せない。
ただ、春の青臭い匂いだけは同じだと気付いた。
お題・春の匂いで
■2025年4月11日
王国辺境、魔獣の森に面した場所に砦がある。魔獣の襲来に備えてと、領主が王に建てさせたのだ。
ところがこれは真っ赤な嘘。森から魔獣が出てきたことなどない。だが砦の維持費補助という名目で領は潤っている。もちろんこれは部外秘。
砦は魔獣から国を守らないが、秘密だけは守ってる。
お題・秘密の砦
■2025年4月11日
祖父さんは若い頃、人に騙されて酷い目に遭ったらしい。その時のことを、しつこく何度も俺に言って聞かせた。
いいか、人と約束をしちゃいけねえ。約束なんて守られない。こっちが痛い目を見るのが、お約束ってもんだからな。
と語る祖父が最も、約束は守られると信じているように俺には思えた。
お題・約束は守られない
■2025年4月11日
お前と俺とは同期の桜。もちろん散るのは覚悟の上だと語り合う。そうして、一人は南洋で、一人は空で、一人は密林に、次々と散っていった。残ったのは俺一人。
焼け野原の中、この桜だけが残ったのは皮肉なもんだ。今日はちょうど花冷えの雨。落ちる花が吹雪のように、俺の心胆を凍えさせやがる。
お題・桜吹雪
■2025年4月12日
軍病院に憲兵がやって来る。
「士気に関わるので敗戦のことは黙るように、だって」
「あー、俺もそれ言われたわ」
と戦友と話してたら、憲兵が飛んでくる。
「話すなと言っただろう!」
後に憲兵は愚痴った。
「生き残りも、どれだけいると思ってるんだ。全て黙らせるとか、戦争に勝つより大変だぞ」
お題・口封じ戦場




