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■2025年4月2日
お客様が財布をなくされたらしい。中身は十円ぽっち。財布は百均のマジックテープ式。免許証やカード類は別で持っていたから、入ってない。
それで誰かに盗まれたんじゃないか、店の責任者を出せと大騒ぎ。結局、鞄から出てきた。
疲労困憊の皆で愚痴る。その財布の値段以上に無駄働きさせられたな。
お題・なくした財布
■2025年4月2日
我が城地下深くには、呪われた槍が封印されている。解き放ったが最後、辺り一帯を火で埋め尽くしたと記録にある。
この槍に私は今、手を掛けていた。解き放てばどうなるか。思わず笑みが漏れる。
既に妻子も民と共に隣国へ脱出済みだ。城は敵兵に囲まれている。我が命と引き換えなら安い物だろう。
お題・祝福の槍
■2025年4月3日
ゾンビにショットガンを向けると、ヤツは両手を上げた。
「ヘイ、ジョン。これは命乞いということかしら?」
「まさかだよ、メアリー。だってゾンビは死んでるんだぜ。命のないヤツが命乞いだなんて。ハッ! 最高のジョークさ!」
と銃が火を噴く直前。ゾンビは思っていた。
死体も命乞いしたい。
お題・死体の命乞い
■2025年4月3日
教会に冒険者がやってきた。魔物に呪いを受けたので、解除してほしいという。
「予知の呪いさ。今の自分には未来が見える」
「それは便利じゃないですか? 別に解除しなくても」
「構わないからやってくれ! あんな……恐ろしい……」
呪いは解除したが、未来に何が起こるか。私まで恐くなってきた。
お題・未来の呪い
■2025年4月3日
引っ越すn君と交わした大切な約束。ずっと友達だよ。あれから十数年が過ぎた。けど私、ずっとあの約束を大切に生きてきたよ。そして遂にn君と再会できた。
彼が私に尋ねる。
「約束、覚えてる?」
「私たち結婚するんだよね!」
「記憶の確かさまでは約束されなかったか~」
お題・確かな約束
■2025年4月3日
恋を打ち明けるのに、この村にだけ咲く■■の花を使ってはならない。あの花は思いと共に魂を宿す。仮に受け取ってもらえなければ、送った者の魂も失われる。
昔、許されぬと知りながら恋を打ち明けた娘がいた。当然、その思いは通じぬが。その死に顔は送った花のように、咲き誇る笑顔だったという。
お題・咲き誇る花をあなたに
■2025年4月4日
俺たちは母校でも最悪の不良たち。人呼んで台無しの世代。
万引き、破壊と近所には迷惑をかけまくり。あちこちから母校は出禁になったそうだ。
そんな俺たちも大人。武勇伝とか残っているか聞いたら、あんな奴らと恨まれていた。
俺たち台無し世代はなかったことになっていた。
お題・台無し高校生
■2025年4月4日
二十四節気の清明。朝は少し寒いが、空は透明。ビルの向こうに、遠い山の稜線のが浮かぶ。週末はさぞや花見日和だろう。と鼻をかむ。
さては花粉症も活発化してるな。さっきから鼻水と涙が止まらない。
青空とかどうでもいい。こんなことなら雨でも降って、大気中の花粉を洗い流してくれと願った。
お題・清明
■2025年4月4日
「私と仕事どっちが大事なの!」
残業から帰ると妻に叱られた。
「もちろん君だよ」
「だったら家事やってよね」
家の中は荒れ放題だ。
「じゃあ私、また仕事だから」
と出て行く妻。彼女はワーカーホリックだ。顔を合わせたの何ヶ月ぶりだろう。
彼女は僕と仕事、どっちが大事なのかな?
お題・私と仕事どっち
■2025年4月4日
恋人と別れた。デリカシーがなく、部屋も片付けない、最悪な男。別れて清々した。
一人になったマンションで、私は孤独を謳歌する。誰かに気遣いする必要はない。物もちゃんと片付いてる。私は別れた時は、確かに清々したのだ。孤独も楽しい。
なのに別れた後になってから、胸の奥が鬱々としている。
お題・清々する別れ




